M1> For My Lady [feat. The Shirley Horn Trio] /
Toots Thielemans & Shirley Horn(トゥーツ・シールマンス/シャーリー・ホーン)
歳を重ねるほど、“派手さ”よりも、音の奥にある温度に惹かれるようになる。
「トゥーツ・シールマンス」のハーモニカには、まさにそんな深みがある。
1991年リリースのアルバム『For My Lady』
再生した瞬間から、もう空気が変わる。
哀愁をまとったブルース。柔らかいのに、どこか人生を背負ったような音色。
静かに流れていくのに、耳も心も、自然とそこへ引き寄せられていく。
ハーモニカって、こんなにも感情を宿す楽器だったんだと、
改めて思わされる。時折混ざる口笛もまたいい。洒落ているのに、少し切ない。
まるで夜更けの街角みたいな空気が漂っている。
そして、このアルバムをさらに特別なものにしているのが、
Shirley Horn の歌声。決して派手ではない。声量で圧倒するわけでもない。
歌が始まった瞬間、空気の色が変わる。
マイルス・デイビスが彼女を気に入り、「彼女を先に歌わせろ」と言った逸話も、
なんだか分かる気がする。
上手いとか、技術がどうとか、そういう尺度だけでは測れない魅力。
…ただ、ラジオで流したいのに曲が長い。それだけが悩ましい(笑)
M2> There You Are / Martina McBride(マルティナ・マクブライト)
“カントリー・ミュージック”と聞くと、人によっては少し土の匂いがするような、
アメリカ南部の風景を思い浮かべるかもしれない。
でも、時々そのイメージを、静かに覆してくれる曲に出会う。
Martina McBride の「There You Are」もそんな1曲。
1966年カンサス州シャロン生まれ。
カントリー界を代表するシンガーとして、長く愛され続けている彼女だけれど、
その魅力は、ジャンルを超えて届いてくる“声”にある気がする。
力強いのに、どこか繊細。
真っ直ぐなのに、押しつけがましくない。
だからこそ、バラードになるとその歌声がより深く心に残る。
2001年にリリースされた『Greatest Hits』は、彼女にとって初めてのベストアルバム。
5枚の作品を経て辿り着いたその1枚は“ベスト盤”という言葉以上に、
彼女の歩いてきた時間そのものを感じさせる。
その中に収録された「There You Are」。
初めて聴いた時、“これ、本当にカントリー?”
そんなふうに思った。それくらい、美しいメロディと空気感に包まれます♪

