3/27 「KUNU-KUNU」代表 小川由起子

前回ご紹介した「染と織 櫟(くぬぎ)」代表の小川由起子さんは、2017年10月、50歳の時、新たに「KUNU-KUNU(クヌクヌ)」というブランドを立ち上げました。「KUNU-KUNU」は、乳がんで切除手術を受けた人向けのファッションブランドです。

ブランド立ち上げのきっかけは、乳がんで摘出手術を受けた友人から「私でも着られる洋服を作って欲しい」と言われたこと。小川さん自身もがんを経験、そして人生の節目の50歳を迎え、何か世の中のお役に立てることはないかと思っていたところだったそうです。これまでの自身の経験や染め織りの仕事がうまく重なって「KUNU-KUNU」立ち上げに至ります。

摘出手術を受けた友人は、ブラジャーの中にシリコンを入れて過ごしていたため、「夏とにかく暑い」「肩が張るのでブラジャーはしたくない」との要望があったため、切除した側にボリュームのある刺繍を施した服を作ったそうです。

小川さんは「医療用の洋服はちょっと堅い、おしゃれじゃないイメージが強いので、手術を受けた方でも自然体でいられる服というのが第一条件。素材感、デザインもおしゃれというのが大切なポイント」と語り、「外に出かけよう!」と明るい気持ちなれるようにおしゃれのお手伝いができればと、左右どちらでもボリュームが出せるオリジナルマフラー、パットを入れられるベストなど様々なアイテムを作っています。そして、乳がんの手術をした、しないにかかわらず、女性がエネルギッシュにおしゃれができるように作っているということです。

乳がんで手術をした方へのお見舞いに贈答品として購入した人から、「プレゼントを見て、暗い表情から明るい表情に変わったので、よかったわ」と感謝のメールが届いたときには、作っていて良かったと励みになったそうです。

小川さんは、「乳がんの切除手術をした人には、若い人もいるため、単価を抑える工夫をし、地元桐生の素材も使って試作したい」「医療関係のイベントにも前向きに参加してPRしたい」と今後を見据えています。

KUNU-KUNU

https://nini-funi.net/

小川由起子さんは、4月5日(金)~9日(火)まで、高崎の大和屋でイベントを行います。

https://www.yamato-ya.jp/

インタビュー:川上直子

 

3/20 「染と織 櫟(くぬぎ)」代表 小川由起子

小川由起子さんは、地元桐生市で、蚕の繭から糸をつくる製糸、染め、織りを手がけ、服飾品を製造販売する「染と織 櫟」を営んでいます。昨年11月には群馬県ふるさと伝統工芸士に認定され、小川さんの作り出す「桐生座繰布(きりゅうざぐりふ)」は群馬県ふるさと伝統工芸品に指定されました。

   

   

小さいときから好奇心旺盛だった小川さん。着物好きだった母親の衣擦れの音や紬の匂い、桐生の路地裏に響く機の音を聞きながら育ったそうです。

高校生のころから布に興味はあったものの、”染”や”織”と出会うきっかけは意外なことに19歳の時の入院でした。隣のベッドの患者が染屋のおばあちゃんで、退院後そのおばあちゃんのところに遊びに行くようになり、アルバイトをし始め、植物染めの講習会を受講するチャンスもあり、染めだけでなく手織りの勉強もしたりと、いろいろな技術を身につけるようになります。また、桐生の織物製造販売業や加工業の社長、和紙の先生など活躍している方々との出会いもありました。当時、茶道の稽古で知り合った人に頼まれて紬を織ったりしていた小川さんが、本格的に「染と織 櫟」を立ち上げたのは、30歳頃。友人がお店を始めるにあたり、「作品があるのなら発表してみないか」と声をかけてくれたため、展示会をすることになったからだそうです。

初めての展示会では、自分がコツコツ織っていたものを多くの人に見てもらう事ができ、「好きなことを続けて行こう!」とアルバイトをしながら「染と織 櫟」の活動を続けます。

そんな中、2008年に卵巣がんの告知をされ、「人生、いつ、何があるかわからない」と痛感。悔いの無いように生きようと「染と織 櫟」の仕事1本で生きていく決意をしたそうです。

「自分で糸をひく、染める、織る・・・形にしていくまでは、自分の目の行き届くようにこだわったものを作っていきたい」と小川さんは熱く語ります。

「染と織 櫟」

https://kunugi-higi.com/index.php

小川由起子さんは、4月5日(金)~9日(火)まで、高崎の大和屋でイベントを行います。

https://www.yamato-ya.jp/

インタビュー:川上直子

 

 

  

3/13 服飾デザイナー 梅澤美穂

2017年6月、前橋にアトリエを構え、自身のブランド「miho umezawa」を立ち上げた服飾デザイナー梅澤美穂さん。

ブランドを立ち上げた当初、梅澤さんは「作ったものを発信したい」とSNSを中心に作品の画像を投稿し始めます。そんな中、自分以外にも一人で活躍している作家がいること、そしてひとりでお店を運営しているセレクトショップが地方にたくさんあることも知ります。

ブランドを始めるきっかけが、セレクトショップの女性オーナーから声をかけてもらったことだったという梅澤さん。洋服を置いていただくなら私と同じように、自分の好きなものを集めているオーナーさんが運営しているお店が、一番シンプルで伝わりやすいという考えに至ります。

販売を委託するショップ選びにあたっては、どういった雰囲気でどんなものが置いているか、運営しているのはどんな方なのか知りたいという思いがあり、まずは自分で直接お店を訪ねるそうです。いいなと感じたお店には「自分の洋服を置いていただけないか」と飛び込み営業し、取り扱いが始まることが多いとのこと。そうするとそのお店のお客様と梅澤さん自身の好みがぴったり合うということになり、シンプルに価値を共有できる流れをつくることが出来るそうです。

 

ブランド立ち上げからもうすぐ2年。投稿した画像に対する反応・メッセージをもらうことも増え、それが勉強にもなり、やり甲斐も感じるという梅澤さん。縫製に関しては群馬の工場で服をつくる体制が整い、信頼できる関係づくりが出来てきたそうです。今後は縫製以外でも可能性を広げ、生地をつくるところから始めたり、刺繍や染色に関する分野の方とも関わり合いながら、今まで出来ていなかったデザインを生み出していけたら・・・とビジョンを語ります。

 

梅澤美穂さんの服は、各地のセレクトショップやWEBショップで販売されています。今年秋には1点ものの展示販売会も企画しているそうですよ!

mihoumezawa.com

@umezawamiho

県内取り扱いショップ SABI  https://sabi-web.com/

インタビュー:川上直子

 

3/6 服飾デザイナー 梅澤美穂

梅澤美穂さんは、アパレル企業の服飾デザイナーを経て独立し、地元前橋に戻ってアトリエを構え、2017年6月に自身のブランド『miho umezawa』を立ち上げました。

「洋服は物心がついた時からすごく好きで、気がついたらデザイナーになるのが夢でした。思ったものをイメージのままに、ギャザースカートなどを母のミシンを借りて作っていました。高校卒業後に文化服装学院というファッションの専門学校で洋裁の基礎を学び、卒業後、アパレル企業に就職しました。

本当に新鮮なことばかりで、専門的な仕事をしている人と関わりを持ちながら洋服をデザインすることが出来て、楽しくデザインしていたのですが、年齢を重ねるとともに自分の実際に着たい服が変わってきてしまいました。装飾がある洋服よりも、もっとシンプルなものが着たいと思うようになってきたのです。そうすると、自分自身の好みのものを作るというよりは、誰かに喜んでいただけるものを作るという考えになっていたので、具体的にどういったものを作ればいいのか徐々にわからなくなってしまいました。すごく悩んでいる時期があり、そのタイミングで仕事の区切りがつく時があったので、一度会社を辞めてみよう!と決意しました。

退社してからどうしようかと考えていたのですが、もともとやりたかった自分が本当に着たい服を作るということを一度やってみようと思い、一から自分でパターンを引いて、生地を選んで、洋服を縫製するところまで行い、友人たちにだけ声をかけて展示会を行いました。そうしたところ、友人を通してセレクトショップのオーナーさんが来てくれました。その方のセレクトが私自身すごく好きなのですが、私の作った服を見たそのオーナーさんが、そのとき私の服をセレクトしてくれました。

  

会社を辞めて、さあ独立しよう!という気持ちではなかったのですが、選んでいただけたことで、あぁこの気持ちで自分が心から着たい服をつくるということでいいのかな・・・と思えたのが、独立をしようと思った一番のきっかけだったように思います。

今はシンプルに、どういうものを作っていくかということを突き詰められるので、自分で納得できるものを作れる環境なのかなと思っています。」

  

シンプルだけどシルエットに動きがある、さりげなく個性があってコーディネイトしやすいことを目指しているという梅澤美穂さんの服は、各地のセレクトショップやWEBショップで販売されています。

mihoumezawa.com

@umezawamiho

県内取り扱いショップ SABI  https://sabi-web.com/

インタビュー:川上直子

 

 

 

2/27 タイルクラフト作家 小倉香

小倉香さんは、アンティークタイルを使った作品を作るタイルクラフト作家。クラフトイベントに出店したり、沼田市にあるアトリエ、ギャラリーで、企画展示やワークショップを行ったり、2010年から毎年夏には、みなかみ町でイベント「かんざん市」を主催しています!

タイルクラフト作家になっていろいろなイベントに参加するようになった小倉さんは、夏場にイベントが少ないことに気づき、どこかイベントをできるところはないかと考え、みなかみ町にある知り合いの温泉宿で「かんざん市」を始めます。「かんざん市」は宿の中庭で行うため、まわりに緑がたくさんあり、後ろには谷川岳がある、とてもロケーションのいい場所です。

タイルクラフト作家になってからそれほど経たずに「かんざん市」を主催するようになった小倉さん、昔から思い立ったらやってしまうタイプだそうです。しかし、自分だけではできないため、周りの作家さんたちにお願いしたり、その作家さんの友達を紹介してもらったりして、なんとか開催まで漕ぎ着けます。年に1回の開催で今年夏10回目を迎える「かんざん市」。10店舗ほどの規模でこじんまりとスタートしましたが、今は40店舗ほどが出店する、お客さんも出店者も毎年楽しみにするイベントになりました。景色もいいところなので、谷川岳を見たり、日帰り温泉に入ったり、ロープウェイに登ったりと、観光もかねて「かんざん市」を楽しんでもらえていると感じるそうです。

その他、沼田市にある工房にギャラリーを作り、月に一度、いろいろな作家さんに来てもらってイベントをして、作品を見てもらったりしているそうです。

   

         

次は何をしようかと考えるのがとても楽しく、飽きさせないように少し今までと違った視点で、見てくれる方がワクワクするようなことを企画しているそうです。それも突拍子もないことではなく、共感してもらえるようなことが出来たら・・・と考え、自分の引き出しを増やせるよう日々学びを心がけているそうです。

小倉さんが主催しているイベント「かんざん市」、10回目となる今年は7月28日(日)開催です!

小倉香さんのギャラリー ALGO のHP             https://www.algo-ogura.com/

インタビュー:川上直子

2/20 タイルクラフト作家 小倉香

沼田市在住の小倉香さんは、アンティークタイルを使った作品をつくるタイルクラフト作家。クラフトイベントに出店する他、アトリエ、ギャラリーで手作り講座や企画展示を行ったり、毎年夏にみなかみ町でイベント「かんざん市」を主催しています。

そんな小倉さんは、子どもの頃から物を作るのが大好き。高校生の時、家庭科の時間に先生に作った作品を褒められ、ミシンにすっかりはまり、自分の服や鞄はもちろん、友達のものまで作っていたそうです。当時、「装苑」という雑誌を見て服を作っていた小倉さんは、その雑誌の出版社に専門学校があることを知り、文化服装学院に進みます。卒業後は靴のデザインをさせてもらえる職場に就職し、その後、広告のデザインにかかわる仕事にも携わります。

その後、ご主人と出会い、沼田に住むことになった小倉さん。子育てや沼田生活になれる日々で何年かが過ぎ、余裕が出てきたところで、何かしたい!と思うようになります。そのとき子どもと行ったクラフトイベントで、作家さんたちの作品を見て、作品が出来上がるまでの物語を聞いて感動し、そんな風にものづくりが出来たらいいなと、作家として活動することになります。

    

 

タイルを選んだのは、実家が建材卸をしていて子どものころからタイルが身近にあったため。その頃見た色合いが心の中に残っていて、昭和の時代の古いタイルの色合いで身につけるものを作ったら、とてもいい物ができるのではないかと考えたそうです。

    

作品づくりのこだわりは、自分が出来ることを最大限に活かすこと。タイルだけでなく、縫い物、編み物、染めなどを組み合わせて、自分だけのオリジナルの作品を生み出します。

   

マルシェやクラフトイベントに出店するようになると、周りの作家さんたちから他のイベントを教えてもらったり、誘ってもらったりとどんどん参加できるようになり、作品づくりも一層楽しくなったという小倉さん。周りの人たちと繋がっているのが実感できるようになり、タイルクラフト作家としての活動を通して、それまでの生活とは違った新しい生活が始まったそうです。

小倉香さんのギャラリー ALGO のHP

https://www.algo-ogura.com/

インタビュー:川上直子

 

 

2/13 子育てネットワークゆるいく 代表 井上昭子

井上昭子さんは子育てネットワークゆるいくを立ち上げ、「子育てサロン」や赤ちゃんと親が老人ホームやデイサービスに出向いてふれあう「赤ちゃんがいく」、そしてまえばし市民提案型パートナーシップ事業にも採択された「いのちの授業」を開催しています。

「いのちの授業」は、中学校に出向いて「赤ちゃんふれあい体験」、「妊婦体験」「いのちの話」の三本柱で行われます。

「赤ちゃんふれあい体験」では、中学生5~6人と赤ちゃんゲスト1組が約20分を過ごします。赤ちゃんとふれあってもらいながら、お母さんたちは赤ちゃんが生まれてきた時の話をしたりします。最初はとまどっている中学生が「赤ちゃんってかわいいなぁ」とニコニコしてふれあうようになり、感想でも「本当に赤ちゃんがかわいかった」「お母さんが素敵だった」「自分も赤ちゃんだったから親に感謝したい」といった声があがると井上さんは喜びます。

    

「妊婦体験」では、男子も女子も全員が約4キロの水を入れた妊婦エプロンをつけて、妊婦さんがどんな日常生活を過ごしているのかを体験します。水の中には生卵が入っていて、生卵が命だと思って大切にしてね!と言うと、みんなとても慎重な動きで体験してくれるのが印象的で、「動くのが大変だった」「重かった」「寝返りはとても大変だった」「階段を降りるとき、下が見えなくてこわかった」といった声が聞かれるそうです。

「いのちの話」では、お腹の中にいたときのことや、産まれてくる時にこんな力を発揮して産まれてきたんだといった生命誕生の素晴らしさや命の大切さについての話をし、「自分ってすごい」「命ってすごい」ということを実感してもらいます。また妊婦ゲストにも来てもらい、話を聞きくことで、妊婦さんに対する優しさも芽生えます。

    

「中学生には自分が産まれて来たことの奇跡を感じて、自分と他人を大切に思う心を養い、自己肯定感を高めるきっかけになってほしい。」「時代の流れに沿いながら、より良い居場所づくりをしていきたい。」「一人でも多くの人がここ群馬の地で子育てをしたいと思えることを目指して、これからも笑顔の循環、学びの循環を広げていきたい」と井上さんは目を輝かせています。

子育てで人と人、社会をつなぎ、笑顔の輪を広げる井上さんの活動には、先月産まれたばかりの可愛いお孫さんも、赤ちゃんゲストとして参加予定だそうですよ!

子育てネットワークゆるいくの活動については、フェイスブックでご確認ください。

https://www.facebook.com/yuruikugunma/

インタビュー:川上直子

 

2/6 子育てネットワークゆるいく 代表 井上昭子

井上昭子さんは、2014年に「子育てネットワークゆるいく」を立ち上げ、ママたちの居場所づくりとして「子育てサロン」を開催したり、赤ちゃんと親が老人ホームやデイサービスに出向いてふれあう事業「赤ちゃんがいく」、そして中学校に出向いて、「赤ちゃんふれあい体験」「妊婦体験」「いのちの話」の3本柱で中学生に命の大切さを伝える「いのちの授業」など、様々な活動を行っています。

   

目指す形があって、子育てネットワークを立ち上げた訳ではないという井上さん。33年前、仕事を辞めて結婚し、普通の主婦として現在30歳の長男、28歳の長女、24歳の次男の3人の子育てをする中、子ども育成会やPTAの役員など3人分務めたそうです。子どもたちと関わる中で、「私って本当に子どもが大好きなんだな」と思い、教師という道を選ばなかったことを悔やみ、25年目となるマタニティヨガの講師活動の中でも「私って本当に命の誕生を応援していくことが大好きなんだな」と改めて思い、助産師という道を選ばなかった自分を悔やむ日もあり・・・そんなある日、命の誕生や子ども達の未来を支える活動を知り、教師でも助産師でもない自分に出来ることはまさにこれだ!と思い至り、いのちの大切さを伝える「いのちの語り部」の道を2008年から歩み始めます。

小学校などへ行って「生命誕生の素晴らしさと命の大切さ」を伝える活動をしたり、親と子の愛着の絆の大切さを実感して前橋市内の産婦人科で産後教室”はぐいく”を開催。そんな活動を通して出会ったママたちから「私たちにも何かできることがないかな?老人ホームに行ったり、妊婦さんとふれあう機会もあったらいいですね」といった声がわき上がり、赤ちゃんの命の力、ママたちのエネルギーはすごい!何かできそうだなと思ってママたちに声をかけたのが「子育てネットワークゆるいく」立ち上げのきっかけだったと振り返ります。

また行ってみたい、あそこに行くと実家に帰ったみたいにリラックスできて楽しい!と思えるような「ゆる~」っとして子育てサロン展開。「ひとりで抱え込まずにみんなで楽しく育児しようよ」と呼びかけています。

   

子育てネットワークゆるいく フェイスブック  https://www.facebook.com/yuruikugunma/

インタビュー:川上直子

1/30 無農薬ハーブ農家 渋川飯塚ファーム 飯塚歩

飯塚歩さんは、2012年春、夫とともに農業に従事し、無農薬ハーブの栽培とハーブを使った加工品の製造販売を手がける「渋川飯塚ファーム」を始めました。群馬のフルーツにハーブを組み合わせた無添加ジャムやハーブティー、ピクルスなどを高崎駅東口 イーサイト高崎2階の直営店で販売しています。

7年前ハーブに焦点を絞った滑り出しは順調だったそうです。開発段階の様子をブログにUPすると、それを見た伊香保温泉の旅館から「うちの旅館で売らないか?」と声をかけられ、急いで商品化し販売。新聞にも掲載され、一気に伊香保の旅館が仕入れてくれて販路が広がります。しかし、お土産物としては瓶もので、一箱買って大勢に配れるものでもないので、ほどなく売れ行きも落ち着いてしまいます。そして「ハーブが組み合わせてあるというのは、特徴でもあり、わかりづらさでもある。これは自分たちで説明しながら売っていくほうがいいのではないか」と考え、伊香保温泉から撤退します。

その後、知り合いからマルシェ(イベント)への参加を奨められ、群馬県内のマルシェに出店したところ、SNSで拡散されたりと好評を博し、東京のイベントにも出店。売れ行きも好調でしたが、もっと広げていくにはどうしたらいいのか?と悩みが生じます。そこへ地元の百貨店から出店のオファーが舞い込み、出店するものの、挫折感を味わいます。それまでは、「このクオリティーでこの値段って安いね」と言われていたのに、「高い高い」と言われ、心がくじけたそうです。一瞬、安くしなければいけないのか・・・と思ったものの、値段を変えてはいけない、ひたすら商品の良さを知ってもらわなければしょうがないと思い直し、作り手の顔が見える店づくりを心がけるなどアピールしていきます。

加工品を作っていく上で心がけているのは、奇をてらったものを作らないこと。例えばいちごと、ローズヒップ・ハイビスカスを組み合わせたジャムも、いちごの良さを引き立たせるためのハーブ使いを心がけているそうです。

「直営店が百貨店から高崎駅イーサイト高崎に移転したのを機に、さらに多くの人に知ってもらい、”渋川飯塚ファーム”の商品だから大丈夫!と信頼してもらえるように努めたい。そして渋川にお店がない状況なので、いつか渋川にお店+見学できる製造所+商品が食べられるレストランがある総本店を作りたい」と飯塚さんは今後の夢を熱く語ります。

渋川飯塚ファーム   https://ameblo.jp/ikaho-farm/

インタビュー:川上直子

 

1/23 無農薬ハーブ農家 渋川飯塚ファーム 飯塚歩

飯塚歩さんは、新潟県出身。東京の大学で栄養士の資格を取得し、食品関係の会社に勤めた後、結婚。転勤族の夫とともに各地で生活を送ります。そして、2012年春から夫婦そろって夫の出身地・渋川で農業に従事し、無農薬ハーブの栽培、加工品の製造販売を手がける渋川飯塚ファームを始めました。

27歳で一人目をを出産。30歳になったとき突然太ったり体調が悪くなり、原因不明の体調の悪さを調べているうちにハーブに行きつきます。プランターでハーブを栽培したり、ハーブティーをブレンドして飲んだりと、ハーブにとても興味を持っていた飯塚さん。一方、サラリーマンのご主人は、もともと自分で何かしたいという考えを持っていたそうです。三人兄弟の末っ子のご主人は、兄(長男)が病床で「自分は何を残したんだろう」という言葉を残して亡くなったこともあり、サラリーマン生活のままでいいのか・・・と思ったそうです。そうして、ご主人の実家・渋川市に帰って農家になるという結論に至ります。

しかし、最初からハーブ農家になるつもりはなく、最初は青梗菜を栽培します。地元の農協が力を入れていたこと、収穫までのサイクルが早く、最初お金がないときに栽培するには良いのではないかと取り組みます。しかし、初回の収穫・出荷後、葉が縮れたり、黄色くなったりと良い青梗菜が収穫できず、窮地に陥ります。そんなとき、せっかくだからとプランターから畑に植えかえていたハーブだけが、なぜか元気に育っていたため、しょうがない、これを売ろう!とハーブを販売することになります。

あとあと考えると青梗菜を育てていた畑はとにかくやせた土壌で、軽石・礫が多く水はけが良すぎたのですが、それがハーブには非常に適した環境だったことに思い至ります。

ハーブに助けられ、ハーブに活路を見いだした飯塚さん。伊香保温泉まで車で10分の距離に畑があり、温泉もハーブも癒やし効果があるという、癒やしつながりで、ゆくゆくは渋川市・伊香保温泉も盛り上がられる農家になりたい、とハーブでやっていく決意をしたそうです。

渋川飯塚ファーム   https://ameblo.jp/ikaho-farm/

インタビュー:川上直子