10/11 音訳専門員 矢尾板洋子 

音訳専門員 矢尾板洋子さん

視覚に障害がある方のために、様々な書籍などを、音に訳す「音訳ボランティア」。矢尾板洋子さんは、この音訳ボランティアに20年以上携わっています。ご自身も音訳ボランティアをしながら、10年以上、養成講座の講師もつとめ、現在は音訳専門員として、群馬県内で活動する80人ほどの音訳ボランティアのサポートも含めて活動されています。

音訳専用のパソコンソフトや、収録機材を使いながら音声を収録。読み間違いがないかを確かめる「校正」をおこない、聞きやすいように編集を加えた上で「録音図書」として完成します。1冊の録音図書が完成するまで、1ヶ月から半年ほどかかるそうです。

音訳は、文章だけでなく書籍の中に出てくる絵や図、写真、表なども言葉で説明し、利用する方に音声を聞いただけで書籍の内容が伝わるようにする必要があります。その過程では、音訳ボランティア同士で説明の仕方を相談し合ったり、先輩からアドバイスをもらったりと、力を合わせて進めていくこともあるそうです。

分厚く難しい内容の本を音訳する時など、苦戦することもあるけど、音訳ボランティア同士や校正のボランティアの方や、他のスタッフの方など、皆で一緒に仕上げていくそんな過程も、音訳ボランティアの魅力ややりがいに繋がるという言葉もありました。

音訳ボランティアとして活動する中で特に大切なのは、自己満足ではなく、自分の音訳した本を、利用する方が待っている人がいるという「責任」だと話す矢尾板さん。誰かが待っているからこそ続けてこられているという言葉も印象的でした。