バレーボールができる喜びと感謝の気持ちを込めて~14日にリーグ復帰戦

選手、スタッフに新型コロナウイルス陽性者が出たため、一時、活動を休止していた女子バレーボール・Vリーグの群馬銀行グリーンウイングスが、活動を再開させた。幸いにも、陽性になった選手、スタッフは重症化することなく、無事に回復し、チームは、2月14日日曜の大野石油戦から、およそ2か月ぶりにリーグ戦に復帰することになる。しかし、この間、選手、チームのとっては先の見えない厳しい時間を過ごすことになった。それでも、そうした時間を周囲の力も借りながら、チームワークで乗り越え、再び、バレーボールができる、真剣勝負ができる環境に戻ってくることができた。選手たちは、大きな喜びを感じ、感謝の気持ちを抱きながら、また歩みをはじめた。当時の様子、そして、ここからの戦いについて、今回、チームを代表し、上地野乃香選手、新井祥選手、安福若菜選手の3人が、インタビューに答えてくれた。

グリーンウイングスは、1月7日に選手1人の新型コロナウイルス陽性を発表、10日には、濃厚接触者だった選手、スタッフ、あわせて4人の感染を発表した。すでにVリーグの他のチームでも選手、関係者の感染が報告され、緊急事態宣言のもと、活動自粛や大会参加を辞退するチームも出ているという状況だった。グリーンウイングスも、感染防止策を徹底していたが、それでも感染者が出てしまったことにショックも大きかった。

当時の様子について選手たちは、「この先どうなるのか、試合はできるのか、トレーニングはいつ再開できるのか、不安が大きかった。」と振り返った。一方で、「いつか活動が再開したときにどう頑張っていくのかを考えた。」と、不安な気持ちとともに、前向きな気持ちも忘れないようにしていた。

グリーンウイングスの選手は、基本的に寮生活を送っている。陰性であっても濃厚接触者となった選手たちは、およそ2週間、自室で過ごすことになった。寮内と言えども、自由に出歩くことはできず、食事や入浴、敷地内の散歩など、部屋から出る、限られた時間も、人との接触を避けるため、時間差で行われ、チームメイトと対面することはなかった。当たり前だったチームメイトとの楽しく過ごす時間は無くなり、選手たちは、「人に会えないストレスがあり、笑うこともなくなってしまった。」と当時を振り返る。

それでも、SNSやビデオ通話を使うなど、工夫をしてコミュニケーションを取り合い、お互いに、同じ時間を過ごしたり、励ましあったという。今シーズンのチームは、例年以上の仲の良さがウリにもなっている。苦痛を強いられる時間は長かったが、そうした仲の良さも、自粛期間をなんとか乗り越える力となったようだ。

2週間の隔離期間を経て、グリーンウイングスは、リーグとチームによるPCR検査を行い、陽性となった5人も含め、選手、スタッフ全員の陰性が確認された。その後、コンディションの整っている選手から、個別練習を開始、感染防止の観点から、少人数で、午前午後など時間差での練習から始め、練習中は、マスクの着用を徹底するなど、より対策を強化した。その後、徐々に全体での練習へと移行し、1月29日には、チームのホームページで活動再開を報告することができた。

活動が再開できたことについて上地は、「普通にできたこと、当たり前にできていたことが急にできなくなり、当たり前じゃないんだと感謝しないといけないと思った。それに、いい環境でバレーをやらせてもらえることにあらためて感謝をしないといけないと感じた。」と話した。また、新井は、「バレーができず、休んでいる時間が多くなって、改めてバレーが好きなんだなというのが分かった。人に会えて、一緒にバレーができてうれしかった。」と話し、安福も、「みんなと会って、笑えて、一緒にバレーができて楽しいなと思った。」と仲間とともにバレーボールができる喜びを再認識したという。

幸いにも、グリーンウイングスは、活動再開ができ、リーグ復帰もできることになったが、この間にも、V2女子は、新型コロナウイルスの感染者が出たり、緊急事態宣言が解除されない状況で、9チーム中、4チームが、今シーズンの大会参加を途中辞退することになった。また、こうした中、リーグをなんとか成立させるために、必要試合数を減らすなど、大会規定も変更せざるを得ない状況に追い込まれてしまった。

グリーンウイングスも、再開後、レギュラーシーズンは3試合のみとなる。他方、大会規定の変更で、リーグとしては成立し、勝率で上位2チームに入れば、V1との入れ替え戦に挑むチャンスも残されている。難しいシーズンとなったが、リーグ戦に復帰するからには、V2優勝、V1昇格という目標を達成したいところだ。

一方で、気になるのはコンディションだ。リーグ戦は、去年12月6日の大野石油戦以来、およそ2か月ぶり、そして、自粛期間中のおよそ2週間は、練習ができず、その後も、満足な練習ができているとは言えない。選手、チームともに、現状は100%とは言えない。

練習が再開して感じたのは、体重が落ちて、「絞れた」という感覚ではなく、どこか締まりのない、どんよりとした感じだったという。チームスタッフによれば、実際に、筋肉量も大きく落ちてしまった選手もいるという。現在のコンディションについて上地は、「感覚の中で少しずつ戻って来ているという状況だが、試合をしていないので試合勘は不安だ。」と口にし、新井も、「休み明けは、体力的にも、精神的にもきつかった。徐々に慣れてきたが、100%ではない。それでも、ゲームまでにはどうにかなると思っている。オフ明けに体力を戻す感覚とは違う感じだ。」と説明した。また、安福も、「持久力や動体力という部分でまだまだ。頭ではわかっているが、反応しきれていない。ゲームまで期間は短いが、調節しないといけない。」と急ピッチでの調整が行われている。

ベストコンディションではないが、それでも、今は、仲間とともに、バレーボールができる事、試合ができる事の喜び、そして、復帰に向けて支えてくれた皆さんへの感謝の気持ちのほうが遥かに大きい。実際に、体力回復のためのきついトレーニングでも、今は、チームメイトがそばにいることで自然と笑顔になるといい、コート内でも、選手たちが、バレーができる事に楽しさを感じ、笑顔が戻ってきたという。

リーグ再開へ向け上地は、「大会を辞退するチームもあり、ゲーム数も少なくなるが、最後まで走り切れるのがうれしい。入れ替え戦もあるので勝つことも大事だが、プレーで感謝の気持ちを示したい。」を話し、新井も、「辞退したチームの分まで戦えることに感謝してやらないといけない。やれることは100%出し切らないといけない。そして、チームの力で残り3試合を勝って入れ替え戦に行きたい。」と思いを語った。そして、安福は、「今シーズンは、1位で入れ替え戦に行くという目標でスタートしたので、絶対に1位になって、入れ替え戦に行きたい。ファンの皆さんには心配をかけた。ファンの皆さんのためにも頑張りたい。」と応援してくれる皆さんへの思いも、いつも以上に大切にしたい考えだ。

リーグ再開後、選手たちにとっては、勝負に勝つという部分、そして、バレーボールができるという喜び、さらに、困難を乗り越えるために支え、応援してくれた皆さんへの感謝の思いをコート内で表現するという時間になる。そして、それはまた自粛期間中、グリーンウイングスのバレーボールを見ることができなかったファンにとっても、一番に待ち望んでいることにもなるだろう。制限のある状況は変わらないが、選手とチーム、そして、応援する皆が一緒になって、歩んでいける時間が帰ってくるのだ。残り試合は少ないが、群馬銀行グリーンウイングスとともに、今シーズンをしっかりと駆け抜けよう。

<群馬銀行グリーンウイングス 試合予定>

・2/14日曜 vs大野石油(ホームゲーム/ヤマト市民体育館前橋)

・2/27土曜 vsアランマーレ(長野県東御市)

・3/6土曜 vs浜松(静岡県袋井市)