再び山の頂を望める場所に辿り着くためにー新体制まもなく1ヶ月

「監督が変われば好転する」、「現実的なサッカーをすれば勝ち点を拾えるようになる」ー

そう思っていたサポーターも少なくないかもしれないが、やはりそう簡単に行くほど、甘い世界ではなかった。

成績不振により沖田優監督が解任され、依田光正コーチが監督に就任。交代直後の高知戦では勝利したが、熊本、愛媛と連敗。監督交代後の3試合で1勝2敗と思うように勝ち点を伸ばせていない。J3優勝、J2復帰という目標は諦めていないが、現状は18位と下位に沈んでいる。理想と現実の乖離がもどかしい。

新体制となり間もなく1ヶ月になろうとする。選手、監督は、何を意識し、変化、成長をどう感じているのか聞いた。


中島大嘉 選手
実際に沖さんが切られた(解任された)のを目の当たりにして、プロとしての終わり、死がすぐそこにあるんだなというのを自分事として皆が感じたことが、ピッチの雰囲気、みんなの意識がまた一個、変わった理由だと思う。相手どうこうではなく、自分たちが、しっかり準備をしていいプレーを見せるだけだ。百年構想リーグでもJ2勢にかなわない事はなかった。J3にスーパーな奴はいない、だから自分たちにフォーカスして、いい準備をすることが大事だ。

玉城大志 選手
監督が代わってから、守備でやらなければいけない当たり前の所は言ってくれている。選手も、それをまずは表現しようとしている事が出ていると思う。意識の部分はもちろん、やり方の部分も、エリアごとの守備の行き方だったり、守備の約束事も結構、細かくやっているので、試合になって迷わずできているのは良いと思う。攻撃では、よりボールホルダーを追い越す動き、ゴール前に入る動き、最終ラインを押し上げる動き勢いが必要、そして、ラスト1/3での個人のクォリティー、連携が必要だ。必要なのは勝ち点3、最低でも勝ち点1、それが自信につながると思うし、それがあれば、どんなやり方をしても上手く転がっていくと思う。勝利への執着心が、個人にも、チームにも今、一番必要だと思う。

モハマド ファルザン佐名 選手
守備はだいぶ整ってきて、どこで奪うとかできてきたが、まだ成長段階でこれから完成されていくものだと思う。攻撃はみんなで、息を合わせながら点を取りたい。粘り強く守れているし、声かけながら出来ている。(できている理由は)一番はその意識、ポジティブな声掛けができているし、監督からも最後まで粘り強くと言われている、それをやっている結果だ。(得点の所は)チャンスを決めきれないといけないし、チャンス数を増やさないといけない、そこは自分が特徴を出せるところだと思う、得点、アシストは、個人の所で数字を残したい。そこは、監督交代関係なく自分に目を向けてやりたい。

小柳達司 選手
(依田監督になり)練習メニューで、対人要素も増えて、理不尽な、理屈ばかりじゃうまくいかない要素も入ってきている。そこはサッカー選手としても人間としても試されているメニューが多い。そこで、ああだこうだ言うのではなく、まずは自分に勝たないと、ポジションだったり、対面する相手に負けてしまう、そんな練習メニューが多い。そこはサッカーの本質だと思うし、僕たちが取り組まないといけない課題だ。雰囲気的には、明るく、楽しく、元気よくというのはよく言っている。みんな好きな事(=サッカー)を皆やっている、厳しい中にも、楽しさを見出さないとイキイキプレーできない、自分はサッカーが好きなので練習に入れば、楽しくできるが、みんな、もっとハツラツとやっていいのになと思う。

米原秀亮 選手
監督も、「元気よく、ポジティブに!」というのは声がけしてくれている、よりそこの所は選手からも出ているが、まだ足りない。元気よくやるのもそうだが、もっと、お互いに要求することをやっていかないと厳しい、監督も主体的にと言っている、それはこれまでも、ずっと言っているが、やっていくのは選手。みんなやろうとはしているが、味方を動かしたり、どうして欲しいとか、監督変わる前からの課題だが、もっとやらないといけない。自分がピッチに立った時にどういう発信ができるか、プレーができるか、それはキャプテンだからとか、キャプテンじゃないからとか関係なくやらないといけない。

依田光正 監督
大事なのは、何かひとつだけでなく、ゲーム全体を見て奪いに行くところ、粘り強くいく所だと思う。(得点力を上げるには)個人も、チーム組織も両方あると思う、決めきれなければ、チャンスの数を増やすことも必要、そして、チャンスをきちっと決めきる事も大事。ただ、チャンスクリエイトはまだまだ足りていない、相手ゴールに向かっていくプレー、スピード感、人数が足りない。メンタリティはすごく大事だが、それを守って終わりではなく、攻撃につなげる、勝ち点につなげるのが大事。監督交代の前から粘り強くやるとか、メンタリティを大事にするというのは言ってきた、実際に(高知戦で)ゼロに抑えて、実感できている事は大事だがそれが目的地ではない、勝ち点につなげる事が大事だ。


依田監督になり、より粘り強く戦う事を意識させ、誰か任せではなく、自分事として主体性を持つこと、そして、皆で一体感を持ってやっていく意識改革に注力していて、その一端はピッチ上でも見る事ができている。

戦術でも、1年半の沖田ザスパで培ったものも活かしながら、新体制になり、新しいサッカーにも取り組んでいる最中だ。

以前の様な、守備の選手がビルドアップや攻撃に積極的に関わっていく姿は少なくなった。だが、愛媛戦の中島大嘉のゴールの様に、沖田ザスパで培ってきた、つなぎ、剥がし、連携といった中から得点を奪う事もできている。

守備では、高い位置から1トップ、2シャドーの3人が緊密に連携を取りながら、ボールを奪う、そこからチャンスを作ろうと狙う姿も印象的だ。

一方で、依田監督が話す様に、チャンスを感じて、もっとゴールに向かい、追い越し、人数を掛ける部分は、以前も、今も物足りない。特に経験値が多くない選手は、チームとして示したもの、スタッフに言われたことに意識が重くなりすぎることが多い。チームの基本はそれとして、状況を判断する力、対応する力、積極性や柔軟性というものをもっと見せて欲しい。

これまで取り組んできたことも活かしたい、ただ、過去に縛られすぎてもいけない、そして、新しいスタイルを作り上げていかなければならないし、ピッチで起きるその瞬間へも対応しなければいけない。簡単ではない。

シーズンは、すでに始まっている。きょうの試合が終われば、すぐに次の試合がやってくる。限られた時間で、新たにチームを作りながら、出てくる課題にも対応し、ゴール、勝利という結果も求めていく難しい作業になる。

前段にも触れたが、目指すべきゴールと今、ザスパがいる位置のギャップは大きい。数字上で可能性は残されているが、そうしたチーム目標を成し遂げられる状態なのか。いたずらに、「可能性がある限りは」という言葉で誤魔化すのは好きではない。ただ、チャンスがあるのに諦めるのも好きではない。

ここから何となく、勝ったり、負けたりを繰り返し、またどうにか残留して、「来シーズン、頑張りましょう!」ではあまりにも寂しすぎる。

依田ザスパとしてのマインド、やるべきサッカーは示されている。ただ、ぼやけたレンズで遠くを見ても目指す場所には届くことはない。それでも、先が見えない、濃い霧の中にいるとしても、ひとつひとつ、自分と仲間にフォーカスし、やるべき事を遂行し、形作りながら進んだ先にはなにかあるはずだ。

もちろん、簡単に目標であるJ3優勝、J2昇格の可能性に到達できるなどと、今の状況でおこがましい事は言わないが、選手も、チームも、そして、応援する我々も、依田ザスパとしてのやるべき事をやり切れば、再び、山の頂が望める場所には戻れるのではないかと思う。


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