まさかのリーグ開幕2連敗でスタートしたザスパ群馬は、19日水曜に、群馬県代表として天皇杯1回戦に臨み、宮城県代表の東北学院大学と対戦した。大学生が相手といえども、開幕2連敗、さらに直近の相模原戦は、1-4と大敗した上に、内容面でも厳しいものだっただけに、「万が一」も頭を過ったが、3-1と勝利を掴めた。ノックアウト方式の天皇杯は、何をおいても結果が重要だ。ただ、中2日で、すぐにリーグ戦の滋賀戦を控える今のザスパには、この日の勝利が、現状の閉塞感を打破する原動力になって欲しいと願う。
沖田優監督は、「連戦で、試合が続く時に、勝って次の試合ができると、できないでは全然違うものなので、滋賀戦に向けても、苦しいゲームだったが、相模原戦の最後に点を取って終われた事、それと、天皇杯の勝利で繋げられる事が、良い弾みになったと思う。」と、滋賀戦に繋がるものだった話す。
選手起用では、相模原戦からスタメン10人を入れ替え挑んだ。岡田慎司、シルヴァン・デランドがザスパデビュー、高卒ルーキーの原田高虎がスタメン・フル出場、出間思怒はザスパ初ゴールを含め2得点で勝利に貢献した。
沖田監督は、「みんなが『やってやろう』という気持ちや、プレーでアピールする事を存分にしてくれたゲームだった。引き続き、みんなで連戦を全員の力で乗り越えないといけないし、ひとつでも多く勝ちながら、新たな発見、驚きが、毎試合の様に出てきたら嬉しい。」と、更なる底上げにも期待している。
選手たちも同様に、自分の力をチームの勝利につなげたい、チームを良くするための役割を果たしたいと願っている。
先制点含め2得点を挙げた出間は、「勝った部分は良かったが、内容はもっとやれたと思う。苦しい時間で、僕が2得点できたのは良かった。」と冷静に振り返る。また、得点シーンについても、「どちらもヘディングだった。走る所とタイミングが、僕の中でどちらも理想的でいい得点だった。この得点で少し自信が付いたし、リーグ戦に活かしたい。」と闘志を燃やす。
百年構想リーグでは、出場8試合で無得点、プレータイムもわずかだった。前線の駆け引き、意欲的なプレーで、チームを前から活性化できる選手だ。リーグ戦でもゴールを奪って、チームに勢いをもたらして欲しい。
公式戦、初スタメン、初フル出場となった原田は、「個人としては得点の機会があったのに決めきれなかったのは、もっと練習の中でもこだわらないといけない。ただ、公式戦で初めて90分出たのは、自分の中で大きな収穫になったと思う。スタメンで選んでもらったからには『やるしかない』と思った。そこに向けての準備もできたし、90分走り切れたと思う。」と自信を深めている。
プロの速さ、上手さ、強度を感じながらも、原田は順調に成長しているように見える。そして、原田の特徴である高いテクニックは、練習でも、試合でも、十分通用する事を示してくれている。
自身も、「チームが苦しい状況で、ミスが増えた時に、自分のテクニックでカバーしたり、自分が相手を1枚剥がして、味方に優位な状況を生み出したい。一番大事なのは、試合に出ていない選手が、底上になる事だ。そのために、自分が下から引っ張っていけたらいいと思う。」と、その武器を活かし、チームを勝利に導こうと強い思いで取り組んでくれている。
高校を卒業してまだ半年ほどだが、彼は、プロ選手であり、ザスパの大事な戦力だ。年齢は関係ない。リーグ戦でもチャンスを掴み、ザスパを押し上げる活躍を見せて欲しい。
新加入で加わった岡田は、リーグ戦2試合はサブだったが、この試合でスタメンのチャンスを得た。
岡田は、ザスパデビューとなった天皇杯を振り返り、「百年構想リーグは、なかなか出場がなかったので、久しぶりに、試合に出て楽しかった。ようやくザスパの一員としてスタートを切れた安心感、嬉しさがあった。」と喜ぶ。
もちろん、個人の喜びだけでなく、チームの勝利のためにも、岡田の良さであるコミュニケーションの部分で力を尽くしてくれた。
彼は、「今回のメンバーは、出場機会のない選手、若い選手が多かった。コミュニケーションは自分が得意で、経験ある選手として伝えていきたいと思っていたので、コーチングの部分でチームをまとめ上げたり、チームが上手くいかない時に、声掛けをして、しっかり勝利を掴めるようにと言うのを意識して取り組めた。」と自らの役割を振り返った。
一方で、ザスパの弱点のひとつに、ピッチ内でのコミュニケーション不足がある。調子が良い時は、自分たちのスタイルで、一気に押し切れるが、試合展開が苦しく、難しい時に、ピッチ内でのコミュニケーションがうまく機能せず、十分な状況対応ができず、ズルズル崩れ、失点に繋がってしまうパターンだ。
コミュニケーションの大切さ、そして、難しさについて岡田は、「コミュニケーションは、ゲームで経験していく事が大事で、それを伝えていく事もそう。経験ある選手がしっかり伝えないといけないが、それが天皇杯の中で出来たのは良かった。」と話す。
ただ声を出せばいい、何かを言えばいいというものではないだけに難しいが、ザスパにとっての課題だ。岡田をはじめ、経験値の高い選手、コミュニケーション能力に長けた選手たちを中心に、プレーとともに、チームでしっかり積み上げないといけない。
天皇杯での勝利、そこで見せた各選手の好パフォーマンスは、もちろんプラスだが、やはり、リーグ戦の1勝目を掴めていない今は、どこか重たい雰囲気があるのは否めない。それだけにこの状況を、滋賀戦に勝つことで打破したい。そのためには、選手、チーム、そして、クラブ、サポーター含め、やはり、みんなが役割を果たせるか?という事になる。
岡田は、今後の戦いに向け、「試合に出場したいし、それが目標だが、僕は、チームがJ2復帰するためにの僕は来た。チームが勝利するために、出ている時、出てない時も、できる事は必ずある。そこに目を向けて日々取り組みたい。」と話す。
自分の事だって簡単じゃない、ましてや、誰かのため、チームのために尽くせるか。それこそ、身体を張って、犠牲になってでも、役割を果たさなければ勝利はつかめない。
開幕2連敗を取り消しにはできないが、天皇杯に勝利し、すぐにホームでやり返すチャンスがあるのは素晴らしい事だ。失敗を繰り返さず、力を出し切り、26/27シーズンの1勝目を皆で掴もう。
