緊急地震速報 FMぐんま緊急地震速報スタート
「緊急地震速報」とは?

「緊急地震速報」とは、地震発生による大きな揺れが到達する前に各地に大きな揺れが到達する時刻や、各地の揺れの大きさなどを推定して事前に知らせる情報です。

地震の発生とともに、P波(初期微動)と言われる比較的弱い揺れ(秒速約7キロ)と、S波(主要動)と言われる強い揺れ(秒速約4キロ)が発生します。
日本全国に置かれた気象庁の「地震計」がこのP波を感知して、地震の発生時刻、地震の規模(マグニチュード)、震源地、各地の到達震度などを推定し、指定公共機関、ラジオ・テレビ各社、二次配信業者に配信します。 二次配信業者からJR、私鉄などの交通機関、デパート、地下街などの大規模集客施設、ビル管理会社などに伝えます。
>>「緊急地震速報」のメリット
>>「緊急地震速報」の利用の心得

地震が起きてからこのシステムが動き出しますので、地震情報の解析に要する時間などから、揺れが到達した後に情報が届くことがあります。
つまり、震源地の近くでは間に合いません。
>>「緊急地震速報」の限界
大きな揺れが到達する前に、この情報を身の安全の確保やエレベーターの制御、電車の減速などに利用することにより地震被害を防いだり、軽減することが期待されています。
>>「緊急地震速報」のメリット
>>「緊急地震速報」の利用の心得

これまでの例を見ますと、かなり大きな地震でも、家の倒壊や死傷者が多く出る震源から近いところにはこの「緊急地震速報」の伝達は間に合っていません。
>>「緊急地震速報」過去の実績
また、時間との勝負で、「地震計」からの限られたデータで地震の強さなどを推定しますので、誤差が出てきます。
これまでの例では、気象庁が発表した「推定最大震度」が通常でも プラスマイナス1~2の誤差があり、場合によっては「推定震度5強」で実際の揺れは「震度1以下」というケースもありました。
>>「緊急地震速報」の限界

FM GUNMAではどう伝えるか

エフエム群馬は2008年4月1日から「緊急地震速報」の放送運用をしています。

「緊急地震速報」の放送運用を2008年4月1日から開始、今後さらに認知度のアップを図るためPR活動等を展開する。
※このホームページをはじめ、番組等で防災や「緊急地震速報」についての情報を、随時  お伝えしていきます。 
「緊急地震速報」は地域性の高い情報であり、それぞれのサービスエリアに密着した情報として放送することが最もふさわしいと考える。

※群馬県内で震度5強以上(次の項参照)の地震が予測される時のみ「緊急地震速報」を放送します。
「地域情報」という「緊急地震速報」の特性から、それ以外の地区で大きな地震が発生しても「緊急地震速報」は放送しません。
これまでも放送している地震の揺れが済んだ後の「震度速報」は、これまで通り群馬県内の震度、状況により全国の震度をお伝えします。

放送にあたっての震度基準を、過去の地震災害の実態や二次被害発生の懸念等を踏まえ、「震度5強」に置くことにする。

※「緊急地震速報」には、「伝えることによる減災効果」と「伝えることから生じる二次被害」という2つの側面があると私たちは考えます。「伝えることから生じる二次被害」を考慮すると、放送する際の震度基準を「震度5弱」に置くことには検討の余地があると考えています。というのも、最近起きた比較的大きな地震でも「震度5弱」では建物にも人的側面でも大きな被害はほとんど発生していません。
新しい耐震基準による建物が増えたことが大きいと考えられます。
一方、「伝えることから生じる二次被害」という観点では、例えば高速道路上のドライバーによる過剰反応によって事故が発生するなどが想定されます。高速道路、幹線道路では渋滞、又は繋がって走行している状態も多くみられます。
こうしたことからFMぐんまでは「緊急地震速報」放送の震度基準を「5弱」ではなく、「5強」としました。しかし、震度基準は、こういった地域の特性などもあり、全国一律に決められるものではないと考えています。
ちなみに、全国の他の地区のテレビ・ラジオのなかには気象庁の発表基準と同じ「震
度5弱」以上で放送している局もあります。

速報の「報知音」は、いつでも誰でも認識できるよう各局で統一することが望ましく、NHKと同一音声を使用することとする。
※民放テレビは、緊急テロップ送出のシステム上の問題で報知音をすぐに統一するのは難しいようです。将来的には統一する方向で検討しています。
  • ? 「緊急地震速報」は秒を争う「速報」のため、通常番組、コマーシャル、提供クレジットを放送中でも、中断して放送します。
緊急地震速報のメリット

「緊急地震速報」が伝えられることによって、次のようなメリットが考えられます。

 
建物の中では・・・
揺れが来る前の時間に、上から落ちてくるものや、倒れてくる家具から、とっさにテーブルの下に隠れるなど、身を守ることができます。
ビルの中では・・・
揺れが来る前にエレベーターを近くの階に止めることによって、閉じ込め事故を減らすことができます。
屋外では・・・
危ない場所(自販機やブロック塀の近く、崖の下、上から物が落ちてきそうな場所、など)からすみやかに離れることによって、身を守ることができます。
デパート、地下街など人が多く集まる場所では・・・
危険物の売り場、倒れてくるものがある場所から避けることができます。
電車に乗っているときは・・・
運転士が指令を受けて減速することによって、停止しなくても高速運転中に比べ、事故が起こらない、又は被害が少なく済みます。
車を運転中では・・・
減速することによって、停止しなくても高速運転中に比べ、事故が起こらない、又は被害が少なく済みます。
緊急地震速報の限界

「緊急地震速報」は、どんな地震でも揺れる前に情報が届けられ、正しく揺れの大きさがわかるオールマイティの情報ではありません。秒を争う短い時間にデータを処理し伝達することは、おのずから限界があります。

伝達時間の限界
「緊急地震速報」は、全国に約2200箇所に設置された地震計のうち、震源に近い地震計で感じた地震波を解析し、地震の規模(マグニチュード)、震源、各地の到達震度を推定します。
このうち、1箇所の地震計では、落雷や近くの発破、大きな動物の移動などの揺れを地震と間違えてデータを送ることがあります。これを防ぐために、気象庁では2箇所以上の地震計が感じた地震のみを速報として伝達することにしています。この2箇所以上の揺れを感知して「緊急地震速報」を発するまでに、これまでの試験運用では平均7秒程度の時間を要しています。
更に、これをラジオ・テレビで放送するためには、解析するために約3秒の時間が必要です。合わせて、平均的には10秒程度の時間が必要です。地震の強い揺れ(S波 主要動)が伝わる速度は地質にもよりますが秒速約4キロですので、震源地から半径40キロ以内では「緊急地震速報」は間に合わないことになります。
これと反対に、震源から離れるほど「緊急地震速報」伝達後の猶予時間は長くなりますが、揺れは小さくなり「緊急地震速報」が地震災害の軽減には役に立たないことになります。
推定震度の誤差・誤報
「緊急地震速報」は、既に「地震が起きた」という「事実」と、その揺れが「どのくらいの強さで伝わるか」という「推測」の二つが合わされた「速報」です。
(1)の項で、2箇所以上の地震計で感知した時発せられるとしましたが、この時点では絶対的にデータ不足です。
しかし、データがより多く入るのを待って、地震発生から60秒後に「緊急地震速報」が出されたのでは強い揺れで被害が起きそうな場所では、既に揺れがおさまっているかも知れません。ですから、少ないデータで「速報」を出さざるを得ません。 そうすると、現状では、ある程度の誤差があるのはやむを得ません。将来的には、地震計の数を増やしたり、コンピューターの解析性能を上げるなどによって、少しづつ改善されることはあるでしょう。
なお、これまでの「試験運用」でのデータでは、予測震度と実際の震度が一致したケースが37%、これを含む震度が上下1階級以内のときが83%で、17%が「はずれ」でした。
もう一つ、気象庁のコンピューターが短時間にデータを処理し、回線を伝ってそれぞれの機関に伝達、それを放送局で自動放送システムに載せるまでの間に「誤作動」の可能性もあります。時間的余裕があれば未然に防ぐとこと可能ですが、秒単位での処理・伝達ですので、「誤報」ということも考えられます。
緊急地震速報の過去の実績

「緊急地震速報」の本運用は07年10月1日から始まりましたが、それに先立って、気象庁は、「試験運用」として一部のマスコミや公共施設に速報を流してきました。
以下のデータは、気象庁の発表した「試験運用」データに、今後在京民放ラジオ局が放送するシステムを適用した場合に加わる要素を加味しました。

「地震センサー」に落雷など地震以外の揺れを感じたときの誤ったデータを排除するために、2点以上のデータが入った場合のみに、「緊急地震速報」が発せられることになっています。

07年3月25日(日)午前9時42分 能登半島地震

  • 2点以上の地震計のデータを用いた最も早く提供された情報 ・・・ 第二報
  • 第二報が、「緊急地震速報」の、一般情報としてデータ送信される。
  • 第二報は地震発生から 5.7秒後 推定マグニチュード 6.1 推定最大震度5強程度(実際は6強)
  • 気象庁からのデータ送信まで 5.7秒 + 放送のための解析時間 約3秒 ・・・・ 8.7秒後に放送
  • 8.7秒 × S波の秒速 約4キロ = 約34.8キロ
  • 放送された時点では、震源から 約34.8キロ以内はすでに揺れが到達している。
  • 輪島市(震度6強)では、既に間に合わなかった。能登町(震度6弱)での猶予時間は 2秒。珠洲市(震度5強)での猶予時間は 4秒。

07年7月16日(月・祝)午前10時13分 新潟県中越沖地震

  • 2点以上の地震計のデータを用いた最も早く提供された情報 ・・・ 第三報
  • 第三報が、「緊急地震速報」の、一般情報としてデータ送信される。
  • 第三報は地震発生から 7.1秒後 推定マグニチュード 7.1 推定最大震度6弱程度以上(実際は6強)
  • 気象庁からのデータ送信まで 7.1秒 + 放送のための解析時間 約3秒 ・・・・ 10.1秒後に放送
  • 10.1秒 × S波の秒速 約4キロ = 約40.4キロ
  • 放送された時点では、震源から 約40.4キロ以内はすでに揺れが到達している。
  • 柏崎市、刈羽村、長岡市(震度6強)では、既に間に合わなかった。長野県飯綱町(震度6強)での猶予時間は 16秒。
緊急地震速報で懸念されること

現在、ラジオは、家庭や職場で聴かれているのと同じくらい、車の中で多くの方に聴かれています。 高速道路で高速運転中、カーラジオで「緊急地震速報」が伝えられた時、前の車との車間距離が十分でない場合は一台でも急ブレーキを踏む車があると、追突事故が起きる可能性があります。
また、長い橋の上を走行中やトンネルの中で「緊急地震速報」が伝えられた時、道路施設管理者は「高速道路の橋やトンネルの耐震構造は完璧」としていますが、人間の心理的には高いところや暗いところから早く逃れようと言う心理が働きます。
そこで、橋やトンネルの手前で急ブレーキをかけたり、橋の上、トンネルの中から急いで外れようと急加速したり、ということが考えられます。気象庁の「緊急地震速報の本運用開始に係る検討会」で紹介された千葉大学工学部の「複数ドライビングシミュレーターを用いた緊急地震速報の効果検討」では、結論として「前後に走行車両が居る状態で、高速道路に緊急地震速報を流すシミュレーター実験を行ったところ、前方車のみに警報を流した実験では前方車と後方車との車間距離が短くなり、2割が追突事故を起こしている。」としています。

これを防ぐには・・・

  1. 高速道路上では、車間距離を十分とる。
  2. 「緊急地震速報」を高速道路上で聞いたときは、後方を確認してハザードランプをつけ、ゆっくり減速して止められる状況にあったら、停車する。

以上のことを、「高速道路走行のこころえ」として、運転免許証取得時、更新時の講習、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアでのPR、ラジオを通じての事前PRなどが最低要件となります。
ラジオ各局もこのことを積極的にPRしますが、運転免許試験場、高速道路のSA、PAでの広報活動を期待します。

緊急地震速報の利用の心得

緊急地震速報を見聞きしてから強い揺れがくるまでの時間は、数秒から数十秒しかありません。
そのため、短い時間内に身を守るための行動をとる必要があります。
詳細は各シチュエーションをクリック!

家庭では 自動車運転中では 大規模施設では 屋外では 鉄道・バスでは エレベーターでは

緊急地震速報 FMぐんま緊急地震速報スタート
「緊急地震速報」とは?

「緊急地震速報」とは、地震発生による大きな揺れが到達する前に各地に大きな揺れが到達する時刻や、各地の揺れの大きさなどを推定して事前に知らせる情報です。

地震の発生とともに、P波(初期微動)と言われる比較的弱い揺れ(秒速約7キロ)と、S波(主要動)と言われる強い揺れ(秒速約4キロ)が発生します。
日本全国に置かれた気象庁の「地震計」がこのP波を感知して、地震の発生時刻、地震の規模(マグニチュード)、震源地、各地の到達震度などを推定し、指定公共機関、ラジオ・テレビ各社、二次配信業者に配信します。 二次配信業者からJR、私鉄などの交通機関、デパート、地下街などの大規模集客施設、ビル管理会社などに伝えます。
>>「緊急地震速報」のメリット
>>「緊急地震速報」の利用の心得

地震が起きてからこのシステムが動き出しますので、地震情報の解析に要する時間などから、揺れが到達した後に情報が届くことがあります。
つまり、震源地の近くでは間に合いません。
>>「緊急地震速報」の限界
大きな揺れが到達する前に、この情報を身の安全の確保やエレベーターの制御、電車の減速などに利用することにより地震被害を防いだり、軽減することが期待されています。
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これまでの例を見ますと、かなり大きな地震でも、家の倒壊や死傷者が多く出る震源から近いところにはこの「緊急地震速報」の伝達は間に合っていません。
>>「緊急地震速報」過去の実績
また、時間との勝負で、「地震計」からの限られたデータで地震の強さなどを推定しますので、誤差が出てきます。
これまでの例では、気象庁が発表した「推定最大震度」が通常でも プラスマイナス1~2の誤差があり、場合によっては「推定震度5強」で実際の揺れは「震度1以下」というケースもありました。
>>「緊急地震速報」の限界

FM GUNMAではどう伝えるか

エフエム群馬は2008年4月1日から「緊急地震速報」の放送運用をしています。

「緊急地震速報」の放送運用を2008年4月1日から開始、今後さらに認知度のアップを図るためPR活動等を展開する。
※このホームページをはじめ、番組等で防災や「緊急地震速報」についての情報を、随時  お伝えしていきます。 
「緊急地震速報」は地域性の高い情報であり、それぞれのサービスエリアに密着した情報として放送することが最もふさわしいと考える。

※群馬県内で震度5強以上(次の項参照)の地震が予測される時のみ「緊急地震速報」を放送します。
「地域情報」という「緊急地震速報」の特性から、それ以外の地区で大きな地震が発生しても「緊急地震速報」は放送しません。
これまでも放送している地震の揺れが済んだ後の「震度速報」は、これまで通り群馬県内の震度、状況により全国の震度をお伝えします。

放送にあたっての震度基準を、過去の地震災害の実態や二次被害発生の懸念等を踏まえ、「震度5強」に置くことにする。

※「緊急地震速報」には、「伝えることによる減災効果」と「伝えることから生じる二次被害」という2つの側面があると私たちは考えます。「伝えることから生じる二次被害」を考慮すると、放送する際の震度基準を「震度5弱」に置くことには検討の余地があると考えています。というのも、最近起きた比較的大きな地震でも「震度5弱」では建物にも人的側面でも大きな被害はほとんど発生していません。
新しい耐震基準による建物が増えたことが大きいと考えられます。
一方、「伝えることから生じる二次被害」という観点では、例えば高速道路上のドライバーによる過剰反応によって事故が発生するなどが想定されます。高速道路、幹線道路では渋滞、又は繋がって走行している状態も多くみられます。
こうしたことからFMぐんまでは「緊急地震速報」放送の震度基準を「5弱」ではなく、「5強」としました。しかし、震度基準は、こういった地域の特性などもあり、全国一律に決められるものではないと考えています。
ちなみに、全国の他の地区のテレビ・ラジオのなかには気象庁の発表基準と同じ「震
度5弱」以上で放送している局もあります。

速報の「報知音」は、いつでも誰でも認識できるよう各局で統一することが望ましく、NHKと同一音声を使用することとする。
※民放テレビは、緊急テロップ送出のシステム上の問題で報知音をすぐに統一するのは難しいようです。将来的には統一する方向で検討しています。
  • ? 「緊急地震速報」は秒を争う「速報」のため、通常番組、コマーシャル、提供クレジットを放送中でも、中断して放送します。
緊急地震速報のメリット

「緊急地震速報」が伝えられることによって、次のようなメリットが考えられます。

 
建物の中では・・・
揺れが来る前の時間に、上から落ちてくるものや、倒れてくる家具から、とっさにテーブルの下に隠れるなど、身を守ることができます。
ビルの中では・・・
揺れが来る前にエレベーターを近くの階に止めることによって、閉じ込め事故を減らすことができます。
屋外では・・・
危ない場所(自販機やブロック塀の近く、崖の下、上から物が落ちてきそうな場所、など)からすみやかに離れることによって、身を守ることができます。
デパート、地下街など人が多く集まる場所では・・・
危険物の売り場、倒れてくるものがある場所から避けることができます。
電車に乗っているときは・・・
運転士が指令を受けて減速することによって、停止しなくても高速運転中に比べ、事故が起こらない、又は被害が少なく済みます。
車を運転中では・・・
減速することによって、停止しなくても高速運転中に比べ、事故が起こらない、又は被害が少なく済みます。
緊急地震速報の限界

「緊急地震速報」は、どんな地震でも揺れる前に情報が届けられ、正しく揺れの大きさがわかるオールマイティの情報ではありません。秒を争う短い時間にデータを処理し伝達することは、おのずから限界があります。

伝達時間の限界
「緊急地震速報」は、全国に約2200箇所に設置された地震計のうち、震源に近い地震計で感じた地震波を解析し、地震の規模(マグニチュード)、震源、各地の到達震度を推定します。
このうち、1箇所の地震計では、落雷や近くの発破、大きな動物の移動などの揺れを地震と間違えてデータを送ることがあります。これを防ぐために、気象庁では2箇所以上の地震計が感じた地震のみを速報として伝達することにしています。この2箇所以上の揺れを感知して「緊急地震速報」を発するまでに、これまでの試験運用では平均7秒程度の時間を要しています。
更に、これをラジオ・テレビで放送するためには、解析するために約3秒の時間が必要です。合わせて、平均的には10秒程度の時間が必要です。地震の強い揺れ(S波 主要動)が伝わる速度は地質にもよりますが秒速約4キロですので、震源地から半径40キロ以内では「緊急地震速報」は間に合わないことになります。
これと反対に、震源から離れるほど「緊急地震速報」伝達後の猶予時間は長くなりますが、揺れは小さくなり「緊急地震速報」が地震災害の軽減には役に立たないことになります。
推定震度の誤差・誤報
「緊急地震速報」は、既に「地震が起きた」という「事実」と、その揺れが「どのくらいの強さで伝わるか」という「推測」の二つが合わされた「速報」です。
(1)の項で、2箇所以上の地震計で感知した時発せられるとしましたが、この時点では絶対的にデータ不足です。
しかし、データがより多く入るのを待って、地震発生から60秒後に「緊急地震速報」が出されたのでは強い揺れで被害が起きそうな場所では、既に揺れがおさまっているかも知れません。ですから、少ないデータで「速報」を出さざるを得ません。 そうすると、現状では、ある程度の誤差があるのはやむを得ません。将来的には、地震計の数を増やしたり、コンピューターの解析性能を上げるなどによって、少しづつ改善されることはあるでしょう。
なお、これまでの「試験運用」でのデータでは、予測震度と実際の震度が一致したケースが37%、これを含む震度が上下1階級以内のときが83%で、17%が「はずれ」でした。
もう一つ、気象庁のコンピューターが短時間にデータを処理し、回線を伝ってそれぞれの機関に伝達、それを放送局で自動放送システムに載せるまでの間に「誤作動」の可能性もあります。時間的余裕があれば未然に防ぐとこと可能ですが、秒単位での処理・伝達ですので、「誤報」ということも考えられます。
緊急地震速報の過去の実績

「緊急地震速報」の本運用は07年10月1日から始まりましたが、それに先立って、気象庁は、「試験運用」として一部のマスコミや公共施設に速報を流してきました。
以下のデータは、気象庁の発表した「試験運用」データに、今後在京民放ラジオ局が放送するシステムを適用した場合に加わる要素を加味しました。

「地震センサー」に落雷など地震以外の揺れを感じたときの誤ったデータを排除するために、2点以上のデータが入った場合のみに、「緊急地震速報」が発せられることになっています。

07年3月25日(日)午前9時42分 能登半島地震

  • 2点以上の地震計のデータを用いた最も早く提供された情報 ・・・ 第二報
  • 第二報が、「緊急地震速報」の、一般情報としてデータ送信される。
  • 第二報は地震発生から 5.7秒後 推定マグニチュード 6.1 推定最大震度5強程度(実際は6強)
  • 気象庁からのデータ送信まで 5.7秒 + 放送のための解析時間 約3秒 ・・・・ 8.7秒後に放送
  • 8.7秒 × S波の秒速 約4キロ = 約34.8キロ
  • 放送された時点では、震源から 約34.8キロ以内はすでに揺れが到達している。
  • 輪島市(震度6強)では、既に間に合わなかった。能登町(震度6弱)での猶予時間は 2秒。珠洲市(震度5強)での猶予時間は 4秒。

07年7月16日(月・祝)午前10時13分 新潟県中越沖地震

  • 2点以上の地震計のデータを用いた最も早く提供された情報 ・・・ 第三報
  • 第三報が、「緊急地震速報」の、一般情報としてデータ送信される。
  • 第三報は地震発生から 7.1秒後 推定マグニチュード 7.1 推定最大震度6弱程度以上(実際は6強)
  • 気象庁からのデータ送信まで 7.1秒 + 放送のための解析時間 約3秒 ・・・・ 10.1秒後に放送
  • 10.1秒 × S波の秒速 約4キロ = 約40.4キロ
  • 放送された時点では、震源から 約40.4キロ以内はすでに揺れが到達している。
  • 柏崎市、刈羽村、長岡市(震度6強)では、既に間に合わなかった。長野県飯綱町(震度6強)での猶予時間は 16秒。
緊急地震速報で懸念されること

現在、ラジオは、家庭や職場で聴かれているのと同じくらい、車の中で多くの方に聴かれています。 高速道路で高速運転中、カーラジオで「緊急地震速報」が伝えられた時、前の車との車間距離が十分でない場合は一台でも急ブレーキを踏む車があると、追突事故が起きる可能性があります。
また、長い橋の上を走行中やトンネルの中で「緊急地震速報」が伝えられた時、道路施設管理者は「高速道路の橋やトンネルの耐震構造は完璧」としていますが、人間の心理的には高いところや暗いところから早く逃れようと言う心理が働きます。
そこで、橋やトンネルの手前で急ブレーキをかけたり、橋の上、トンネルの中から急いで外れようと急加速したり、ということが考えられます。気象庁の「緊急地震速報の本運用開始に係る検討会」で紹介された千葉大学工学部の「複数ドライビングシミュレーターを用いた緊急地震速報の効果検討」では、結論として「前後に走行車両が居る状態で、高速道路に緊急地震速報を流すシミュレーター実験を行ったところ、前方車のみに警報を流した実験では前方車と後方車との車間距離が短くなり、2割が追突事故を起こしている。」としています。

これを防ぐには・・・

  1. 高速道路上では、車間距離を十分とる。
  2. 「緊急地震速報」を高速道路上で聞いたときは、後方を確認してハザードランプをつけ、ゆっくり減速して止められる状況にあったら、停車する。

以上のことを、「高速道路走行のこころえ」として、運転免許証取得時、更新時の講習、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアでのPR、ラジオを通じての事前PRなどが最低要件となります。
ラジオ各局もこのことを積極的にPRしますが、運転免許試験場、高速道路のSA、PAでの広報活動を期待します。

緊急地震速報の利用の心得

緊急地震速報を見聞きしてから強い揺れがくるまでの時間は、数秒から数十秒しかありません。
そのため、短い時間内に身を守るための行動をとる必要があります。