浮上のために必要な攻撃力を得るために

讃岐戦のヒーロー・青木翔大は、ゴール、勝利の余韻に浸ることなく、気持ちを次の試合、この先の戦いに向いている。

「なかなか自分たちの思うような内容になっていなかった。その中でも良かった所もあった。何より今は勝ちが必要な中で勝てたのは良かった。自分はここまでチームに何も貢献できていなかったので、ひとつ貢献できたのは良かったが継続しないと意味がない。次の試合が大事になる」

下位同士の対戦に負けは許されなかった。そこで勝ち切れたことは良かったが、公式記録上、シュートはわずか2本。青木が言うように内容面、特に攻撃面で精彩を欠いたのは間違いない。

一方、守備面では、依田光正監督が就任して以来、「粘り強く」というキーワードのもと、改善が図られ、まだまだ満足できるところではないが、大崩れはしなくなってきた。

久々の試合出場となった相馬丞も守備面での手ごたえを感じている。

「やられない守備を作れているとやっていて感じる。讃岐戦は、相手も、こちらも、クオリティの部分もあったけど、無失点で抑えられたのはポジティブに考えていきたい。依田監督になり、守備の意識付けは、全体にしてくれている、当たり前のこともよく言ってくれている。これをやっていたら、もっといいチームになれると思う。ここからは複数得点をしている相手、無失点に抑えれば自信になる、チームでもう一個上に行けるよう頑張りたい。」

後ろの不安が取り除かれつつある今、やはり勝つためには、ゴールが必要で、チャンス機会を増やさなければいけないが、ザスパはそこに苦しんでいる。

沖田優監督のもと培ったビルドアップで、ハーフウェイまではボールを繋ぎ、運ぶことはできるが、そこから先が上手くいかない。

それはスタッツにも表れている。

総得点12点は、リーグワースト2位タイ。依田監督体制になってからも、1試合平均得点は1点を下回る0.85点だ。

そして、得点以前のチャンスを作る部分でもスタッツは総じて悪い。

シュート総数は、1試合平均10.8本でリーグ19位、シュート決定率は、8.5%でリーグ17位といずれもリーグ下位の数字。さらに、ペナルティエリア内へのスルーパス成功数、クロス成功数、ラストパスの合計値であるチャンスクリエイト総数は、114でリーグ17位、とくに、スルーパス総数は117本でリーグワーストだ。

ゴールはおろか、チャンスを作る所までも行きつけないのが現状だ。

途中出場ながら7試合ぶりにピッチに立った瀬畠義成も、この部分の課題を口にする。

「どんな形であれ、勝ち点3を取れたのは良かったが、内容だけ見たら、良いとは全く言えず、課題が山積みの試合だった。ボールを持てていないわけではないが、効果的にアタッキングサードまで運べていない、シュートチャンスのところまで運べていない、それは、沖田監督の頃から、ボールは持っているけれど改善できていないままだ。プレーの精度、質を上げないといけないと思うし、監督たちからも求められている。」

そして、瀬畠は、監督が提示し、チームが共有する部分も大事としながらも、選手自身、選手同士が、試合の中で状況に対応できる力を持つことが大事だと考えている。

「自分たちからゴールチャンスを作れるか、それは、監督どうこうではなく、選手が、何をすれば点を取れるのか、セットプレーか、カウンターか、崩しか、試合をやりながら、相手を見ながら出来るようにならないといけない。もちろん、それが一番難しい事だが、それができればどんな相手でもいいゲームになると思う。監督からの指示や提示はあるが、試合の中で、相手がやり方を変えてきた時に、ベンチの指示を待っていては間に合わない。選手同士で、変化や、相手の弱点に対応しないといけない。スカウティング通りにいかない事を、選手たちでできたら進化と言えると思う。試合出場できればそこにトライしたい。」

狙い通りに、予想通りに行かないのがサッカーだ。自分たちで状況に対応する力がなければ、相手を上回り、ゴール、勝利を掴むことは難しいだろう。

ただ、それは個人だけで、全てに対応する事は難しい。だから依田監督は、仲間をひとりにしないことを要求する。声を掛け合い、要求し合う、お互いが気にかけていれば、何か足りない時、ピンチの時に、周りが見て、サポートする事ができる。それが状況の理解、共有、そして、連携面も含めた一体感に繋がり、チームとして戦えることにもつながるのだ。

今季初スタメンとなった松本皐誠も、チームとしての更なる向上にその点を挙げる。

「チームとしてもやっている形もあるし、練習で積み上げられている部分もある。積み上げて、突き詰める事が大事だと思う。ピッチの中で、選手同士が、喋りながら出来ているのは良い事、連勝が順位を上げるには大事、1戦1戦勝つためにまず次の試合、絶対に勝つためにチームで良い準備をしたい。」

練習の中では、チームで戦うための声掛け、要求が、以前にも増してできるようになってきている。それを今度はゲームの中で発揮したい。

そうしてチャンスが増えてくれば、後は最前線の選手が、よりゴールへの意識を強くしながら、全体を牽引し、結果に繋げるのみだ。青木翔大も、その部分を強く意識する。

「ゴールに向かう強い姿勢、意識だったり、そういったものを前の選手はもっと持たないといけないと思う。質が伴わないなら量をやるしかない、量をやるから質が伴ってくると思う、そういう意識で、前線の選手はもっと貪欲に『自分が取るんだ!』というのを自分を含めて、見せていかないといけないと思う。僕もまだまだ足りていない、そこをチームで一番出せるようにしたい。」

言葉で言うほど簡単ではないのは重々承知だが、その部分の意識をより強くし、1試合でも早く、攻撃面での強さを身に付けたい、そして、ボトムゾーンからの脱却、上位戦線へ食い込まなければならない。

次節以降は、上位チーム、そして、得点力のあるチームとの対戦が続いていく。勝利には複数得点が必要になるだろう。浮上のためにも、勝利必須の連戦だ。力強く、打ち勝つザスパにならなければこの連戦は乗り切れない。


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