【オリコンニュース】
「体の厚み2センチ」になった猫
 以前よりは各段に減ったとはいえ、いまだ外で生きる猫はいる。危険が多い環境下では、事故に遭うなどしてケガを負うことも多く、NPO法人『ねこけん』ではそんな猫もケアし、幸せな生活へと導いている。ここでは、そうして大ケガを負いながら、なんとか復活した2匹の子猫の物語をお届けする。

【写真】「身体の厚み2センチ!?」でも生きる猫、コインパーキングで九死に一生…ピピの現在

■コインパーキング事故で重傷、ボランティアと犬たちに守られ幸せに

 ピピは、子猫のときに瀕死の状態で千葉県の愛護センターに収容された猫。地元のボランティアがセンターからピピを引き出し、急いで病院に搬送してくれたのだという。なぜピピが瀕死だったのかというと、コインパーキングのロック板に挟まれ、運悪くその上を車が通過してしまったからだ。

 「身体のいたるところがぐしゃぐしゃで、正直、助からないと思いました。でも、いくつもの病院で処置してもらうことができ、奇跡的に生き延びた猫なんです」(『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏/以下同)

 挟まれ、車に踏まれたピピの体は、壊滅的に背骨が変形。さらに膀胱破裂、肺挫傷、腎臓も片方が破裂寸前、骨盤骨折、両後ろ脚が複雑骨折…。本当に生きているのが不思議なくらいの重症だったが、ピピは九死に一生を得て生き延びた。

 とはいえ、ピピの体には大きな障害が残った。治療や特別なケアが必要なため、なかなか受け入れ先が見つからない。そんななか、「治療を含めて引き受けます」と手を上げてくれたのが、預かりボランティアをしているIさんだ。必要な通院を行うことができ、ケアの知識や心の強さ、もちろん猫への愛情のあるIさんは、ほかにもケガや障害のある猫を受け入れてくれている人だった。

 ピピは、そんなIさん宅に受け入れられ、数度の手術を経て今に至る。下半身不随のために圧迫排尿が必要で、ごはんを食べるにも少しばかり介助がいる。挟まれ、骨の変形などがあったことから、体の厚みはわずか2センチ。だからこそ体が冷えやすく、保温にも気を配らなくてはならない。

 不自由な体ではあるものの、ピピはIさんの元でケアを受けながらのんびり暮らし、今では8歳になった。しかも、愛情を注いでくれるのはIさんだけではない。その愛犬や保護犬たちが、ピピをそっと守ってくれている。ピピはやっと、安心して暮らせる穏やかな環境を手に入れたのだ。

 「やはり、外で生きる猫には危険が付きもの。ピピのような目に遭う猫を増やさないためにも、しっかりと不妊・去勢手術を施すことが大事です」

 もう一例。むーちゃんは、発見時1.5キロほどだった子猫。ある相談者が「歩き方がおかしい」と感じて病院に連れて行ったところ、なんと両脚骨折の大ケガをしていた。今は食事も排泄も自分でできているが、今後は骨が飛び出してしまう可能性が高いとのこと。相談者はむーちゃんを保護することは叶わなかったが、なんとか助けたいとの思いで『ねこけん』に連絡を取ったという。

 「猫を保護したくても、家庭や仕事の事情で難しい人もいます。それでもこの相談者さんは、いろいろなところからお金をかき集め、少しずつ協力して手術代を出し合ってくださったと聞きました。むーちゃんは本当に幸運でした」

 こうして、無事に手術にこぎつけることができたむーちゃん。調べてみると、後ろ脚の関節部分の骨が折れ、もう一方の脚も太い骨が折れていた。複雑で時間のかかる手術だったものの、外科の腕は日本でも指折りだという動物病院の院長が手術をしてくれた。

 バキバキの脚を治療できたむーちゃんは術後も意外なほど元気だったが、そのあともケアが必要なこともあり、やはり受け入れ先が問題だった。そこで手を挙げてくれたのが、ピピも預かるボランティアのIさんだった。

 さまざまな幸運をつかみ、やっと落ち着ける場所を得ることができたむーちゃん。その後は完全復活し、Iさん宅にいる半身不随のおばあちゃん猫「キューピー」とべったり。優しいおばあちゃんにくっつき、いつも一緒にすごしているのだとか。同じく、脊髄損傷の猫「うずら」や保護犬たちとも仲良しになった。

 そうして11月末、むーちゃんは新たな家族と一緒に暮らすべく、『ねこけん』を巣立っていった。Iさん宅で大きく、より可愛らしく育ったむーちゃん。きっとこれから、治してもらった脚で、幸せへの一歩を踏み出していくのだろう。

(提供:オリコン)
コインパーキングで事故にあったピピ(写真:ねこけんブログより)
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