【オリコンニュース】
カツラ芸で盛り上げる佐藤棋士
 藤井聡太棋聖の躍進で盛り上がる将棋界のなかでも、棋士界きってのエンタテイナーと名高い佐藤紳哉七段。テレビ番組やイベント、時には対局中にも“カツラ芸”を披露することで、ネットやSNSでもたびたび話題になってきた。6月23日に出演した情報番組『バイキング』(フジテレビ系)では、坂上忍とヒロミから唐突にカツラ芸を見せるよう振られ、勢いよくカツラを外して薄い頭頂部を披露。共演者を唖然とさせる姿が大きな話題を呼んだ。カツラや薄毛と言えばデリケートな問題であり、多くの人は隠そうとするもの。そんななか、彼のカツラ芸はどのように生み出され、どんな心境で外し続けているのか。率直な思いを聞いた。

【写真】フサフサの美青年だった20歳の佐藤紳哉七段…熟練の「カツラ芸」もコマ送りでお届け!

■『バイキング』でも話題、カツラ外しに一部で批判も「坂上さんには感謝しかない!」

 佐藤七段は、1997年のプロ入り以来、活躍を続ける42歳の棋士。前述のカツラ芸はもちろん、独特の語り口でも人気だ。2012年放送のNHK杯将棋トーナメントでは、対戦相手の豊島将之六段(現・名人)について「豊島? 強いよね」とイケイケのスタースポーツ選手のような口調で回答。棋士らしからぬ独特なトークは“伝説”とも言われ、Twitterではその口調を真似たbotまで登場している。将棋の解説などでメディアに登場する機会も多く、ネットやSNSでも注目を浴びる存在だ。

──先日も『バイキング』でのカツラ芸が話題となりましたね。反響を受けて感じたことは?

【佐藤紳哉】カツラ外しはこれまで100回以上こなしていますが、ネットやSNSでは「坂上さんが雑に振ったから、変な空気になった」といった批判の流れが起きてしまいました。これは本当に申し訳ない。カツラで出演して、カツラを外すことは僕の一つの“売り”。坂上さんはそれをわかって、披露する舞台を与えてくれたわけですから、感謝しかないんですよ。つまり、僕がもっと、皆が沸くようなパフォーマンスができれば一番いいんです。

――…カツラ芸を磨いていきたいと?

【佐藤紳哉】カツラの取り方は、とても奥が深い世界。場面、環境、取る角度、タイミング、同じことなどありえない。一度うまくいったからと言って、次もうまくいくとは限らない。僕は棋士歴20年、カツラ芸10年。カツラ外しも10年間、ひたすら研鑽を積んでいるんです。将棋と同じく、なかなか成長するのが難しい世界ですね。

――ご自身のなかでの「ベスト・オブ・カツラ取り」はどの場面でしたか。

【佐藤紳哉】やっぱり格好いいのは、僕は棋士なので、勝ちが見えた時にパッと(カツラを外す)。これはシドニー五輪で高橋尚子選手が最後にサングラスを外したあの勝利宣言にちなみ、高橋尚子スタイルと呼んでいます。

――カツラ外しを始めたのは?

【佐藤紳哉】初めてカツラをかぶって対局したのが、「豊島、強いよね?」のインタビュー時、豊島名人(当時六段)戦(2012年)です。その時は、NHKということで自主規制でカツラは外さなかったのですが…。それ以前にも、プライベートで遊びでカツラをかぶったりしていたんです。ややチャラい感じのカツラをかぶると、印象がこんなに変わるんだなと。そこで「これを外したらもっと面白いんじゃないか」と思い至ったんです。それで、女性向けの将棋普及イベントの時、不意に外して見せてみたんですね。すると、女性から悲鳴が上がって。

――その悲鳴を聞いてどう感じたのですか。

【佐藤紳哉】悪くないなと思いました。予想を超えるリアクションが来たなと。

――なるほど。ちなみに毛髪が薄くなり始めたのはいつ頃?

【佐藤紳哉】20歳ではフサフサだったんですよ。ですがそこから少しずつ薄くなっていき、23~25歳の間は悩みましたし、辛かったですね。でも26歳の頃、開き直って髪の毛を短く刈り揃えるようにしました。これも“個性”だと感じられるようになったのです。そして、その個性をプラスに転じようとし始めたのが29歳。カツラをかぶったり取ったりするのが面白いと話題になるなら、これは“武器”ですから。だって、ハゲてないとできないことですよね。

■傷つく人を心配、でも「薄毛の方は堂々としている方が格好いい」

――その言葉に励まされる薄毛の方も多そうですね。

【佐藤紳哉】“ハゲ”だけに…ですか?

――やはり薄毛の方へのエールもあるのでしょうか。

【佐藤紳哉】それはないんです。ハゲで笑わせるというのはハゲを笑うことでもある。それで傷つく人もいるんじゃないかということは、とても気になっているところで。でも「励まされた」という声を頂くことも確かにあるんですよ。個人的には、薄毛の方は、堂々としている方が格好いいと思っています。

――堂々とすることで、より女性ファンも増えたのでは?

【佐藤紳哉】露出が増えると、女性ファンから声をかけられることも増えます。ですが、「格好いい」「素敵」といった感じではないですね。まるで、珍しい生き物を見るような…そんな感じなんだと思います。

――カツラ外しの奥深さについて教えて下さい。

【佐藤紳哉】例えば「神のような一手」という言葉が出たら、その「神(かみ)」に反応して外そう…とか、イメージの中ではいろいろ考えるのですが、大事なところで噛んじゃったり、なかなか上達しないんです。自宅でも、よりアクロバティックな外し方を模索しているのですが…。3年前、藤井聡太くんの29連勝で将棋が盛り上がってテレビに呼ばれることも増え、なんとか面白くしなくてはと思い悩んだ時期もあったんです。ですが、考えてもできないものはできない。だから今はできる範囲で気楽にやれたらいいなと。

――将棋より難しい世界かもしれない、と。

【佐藤紳哉】いや難しいですよ。藤井聡太くんもね、これ(カツラ芸)はうまくできないですよ。カツラ外しに関しては、僕に一日の長があります。将棋では挑戦する立場ですが。

――昨今では見た目至上主義やルッキズムが話題になっています。佐藤七段のお考えは?

【佐藤紳哉】「ハゲ」のほか「チビ」や「デブ」という言葉も見られますが、その人たちが格好悪いんじゃなくて、そういう人たちに「チビ」「デブ」「ハゲ」と言う人の方が格好悪いと僕は思うんです。とは言え、それに対して「言うな」と強く言い過ぎるのは、この問題を触れちゃいけない、タブーの世界に持ってきているようで、じゃあ僕はタブーなのかという話になる。僕はいじられたいんです。ですから、それも“個性”と認められる世界になって、自分でも堂々とできるようになればいいなと感じます。

■自宅でもカツラ芸、「6ヵ月の娘も気に入ってくれたのかな?」

――薄毛は佐藤七段にとって“個性”とのことですが、今は薄毛を医学的に治す技術も発展しています。治したいと思いますか?

【佐藤紳哉】思いません。むしろもっと技術が進んで、周囲の人の薄毛が治れば、僕の“ハゲ”はより個性として貴重に、強固になる。そのためにも、どんどん医療が発展してほしいと願っています。

――ご家族は何と?

【佐藤紳哉】妻は僕の芸を喜んでくれるんです。娘は現在6ヵ月。今日、家でカツラをかぶったり外したりしていたら、すごく笑ってくれて。あんなに笑うことなかなかないから、気に入ってくれたのかな?

――今後、将棋界でどんな役割を果たしていきたいですか?

【佐藤紳哉】年齢や実績に応じて立場は変わっていくでしょうが、常に思っているのは、一芸ある僕が将棋で活躍すれば将棋界はもっと盛り上がるんじゃないかと思うんです。そのためには、藤井聡太くんに一泡吹かせる場面を見せられたらうれしいですね。藤井くんに勝って、カツラを取って。また、僕だけじゃなく、棋士界は個性豊かな人が多い。将棋の面白さ、将棋の楽しさ、様々なことを皆さんに伝えていけたらうれしいです。

(文:衣輪晋一)

(提供:オリコン)
カツラ芸で人気の佐藤七段、“着用中”と外した後 の様子(C)oricon ME inc.
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