【オリコンニュース】
大腸全摘出、SNSで患者たちの絆
 大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患で、血便を伴う下痢や激しい腹痛などの症状が現れる「潰瘍性大腸炎」。内科的治療により症状が改善することもあるが、重篤になると大腸全摘出手術が行われることもある。元美容師の「りんごっち」さん(@ykmm3012)も、その一人だ。彼女は20歳で発症し、30歳で大腸を全摘出。同じ病気の人たちとSNSでつながり、互いに励まし合いながら闘病生活を送ってきた。症状が緩和した現在は、自身のTwitterで「病気に関しての相談」も受け付けている。「SNSに助けられた」と話す彼女に、闘病生活と患者同士の新たな交流の形を聞いた。

【写真】「人工肛門ってどんなの?」全摘出した大腸と入院時代…『明るい病人』となったキュートなりんごっちさん

■美容師になった初日に発症、副作用に悩まされた投薬治療の10年

――りんごっちさんは、もともと美容師をされていたのですね。

 「そうです。他には、カフェでバイトをしたり、フォトスタジオで七五三や成人式、ウエディングのヘアメイクもしていました。今は、腸閉塞で入院することもあるので、家で家事をやっています。いずれ落ち着いたら、お年寄りや障害者の方のいる施設に出向く訪問美容師になるための勉強を始めたいと思っています」

――潰瘍性大腸炎を発症したのは?

 「発症は20歳の時でした。美容師になった初日に、お腹に激痛が走ったんです。病院で検査をしたら『潰瘍性大腸炎』と診断されて、一旦美容師はお休みすることに。その後は病状が落ち着いたら美容師をやって、悪くなったらお休みして…の繰り返しでした。年4回くらい入退院を繰り返したりするので、仕事をするのも難しいですね」

――治療はどんなことをしてきたんですか?

 「発症後10年は、おもに投薬治療です。ほかにも、自分の血を一旦抜いて濾過して、悪い成分を取り除いて身体に戻す『Gキャップ』という治療も行いましたが、その時は吐き気がすごくて。免疫抑制剤を使った時は貧血が出たし、副作用には悩まされました」

――大腸摘出手術はどのような流れで?

 「『潰瘍性大腸炎の最終手段』と言われる薬で治療していたんですが、ついにそれも効かなくなって。『大腸を全摘出するしかない』と言われたのが、30歳の時です。大腸全摘は2回に分けて手術するんですが、1回目は11時間くらいかかりました。人にもよりますが、私の場合は薬のおかげでそんなに痛くなくって(笑)。大腸全摘に恐怖を感じている人には、『今は良い鎮痛薬があるよ』と伝えたいです」

――その後、人工肛門をつけられたとか?

 「1回目の手術で作ってもらったんですが、愛着が湧いて人口肛門に『梅チェル』と名付けました(笑)。名前を付けるのは“患者さんあるある”みたいです(笑)。術後、腸閉塞になったりもしたんですが、その治療をしながら2期のオペを受けて、3週間くらいで人工肛門を閉じました。人工肛門の期間は人によりますが、私はオペも4時間くらいで終わり、成功したのでラッキーでしたね」

――現在は普通に生活できているんですか?

 「はい。排便も普通にできるようになりました。排便の回数は1日13回くらい。少ない人は5~6回くらいだそうです。潰瘍性大腸炎は脂質制限があるのですが、今はマクドナルドやケンタッキーにも行けます(笑)。たまに腸閉塞で入院することもありますが、これは病院に行けば治りますからね。投薬治療中は副作用が出て大変だったけど、私は手術を受けて良かったと思います。これは、手術をしようか迷っている人たちにも強く言いたいです」

■ハードル高い『患者会』、Twitterやオフ会で励まし合う若い患者たち

――長い闘病期間だったと思いますが、どうやって気持ちを前向きに保っていたんですか?

 「同じ病気の人たちとTwitterでつながって、すごく励まされました。やっぱり、一番わかり合えますからね。手術の前にはLINEでたくさんのメッセージをいただいて…本当にありがたかったです」

――SNSでつながっている方々と、リアルで会うことは?

 「20~30代の若い患者たちが集まる、SNSのオフ会に参加しています。『患者会』だとご年配の方が多く、私にはハードルが高いのですが、このオフ会はすごくラフな感じなんですよ。みんなで同じホテルに泊まって、お互いの部屋を行き来して、ツイキャス(ネット上のライブ配信サービス)で配信したりし(笑)。会を行うお店選びも、「ここにトイレがある」とか、みんな気になることは一緒なので、とてもラクです」

――やはり、SNSのお陰で仲間が作りやすくなったと思いますか?

 「そう思います。20代前半の頃は当時流行っていたミクシーをやっていたんですが、そこでは同じ病気の人を見つけられなくて。25歳頃からTwitterを始めたら、一気に仲間ができるようになりました。そうなるまでは「どうせ病気だから仕事も続かない」と、一人でふさぎ込んでしまっていたんです。でもTwitterで仲間ができてから、性格も明るくなりました。SNSは人を傷つけることもあるけど、逆に人を助けることもあります。私はこうしてSNSに助けられたことに、すごく感謝していますね」

――実際、りんごっちさんのTwitterでは、すごく明るい雰囲気ですね。

 「『明るい病人』です(笑)。病気になってしまったものは仕方ないから、明るく生きたい。いま闘病中の方も、一人で戦わないで私に相談してほしいと思います。『大腸全摘するくらいなら死にたい』と言う人もいますが、『そんなに怖くないよ』と言ってあげたいんです」

――メイクやオシャレも楽しんでいらっしゃるようですね。

 「はい。病院に行く前って、『嫌なことを言われるんじゃないか』と気持ちが沈みがちになるんですけど、オシャレをして行くと気分も変わるんですよ。病院だからと言って、地味じゃないといけないなんてことはないですから(笑)。『明日はオシャレして行こうかな』と考えるだけでも、元気が出ます」

――オフ会でも、メイクやファッションを諦めない人は多いですか?

 「多いですね。変な話、オフ会に来る患者の人たちはあまり多く食べられないせいか、スタイルの良い人が多くて。それをいいことに、患者のみんなはオシャレもメイクも楽しんでいますよ。元美容師だから、『りんごっち、メイクして!』と言われることもあります」

――やっぱり仲間がいると、力になるようですね。

 「はい。誰でも病気になると気持ちが閉じてしまいがちですが、SNS上には仲間がたくさんいるから、『みんな、一人じゃないよ』と伝えたいです。励みにもなるし、『潰瘍性大腸炎でも食べられる物』などの情報も回ってくるので、情報共有のツールとしても活用できます。大腸全摘についても経験者の立場で、どんどん相談に乗っていきたいと思っています」

(提供:オリコン)
潰瘍性大腸炎で大腸を全摘出したりんごっちさん、現在の姿(左)と入院中(写真:本人提供)
【関連記事】
【写真】「ショック…」女子高生ダンサーを襲った原因不明の難病、副作用で顔がまん丸に
ダイアモンド☆ユカイ、妻の難病明かす「生きてるうちはオレが守る」
八木亜希子、線維筋痛症で休養を発表 全ての仕事をキャンセル「心よりお詫び」
【動画】ワッキーがYouTubeで復帰を発表!相方・ヒデは安堵の涙
【写真】難病乗り越え…高橋メアリージュン、4きょうだいの集合ショット公開「美男美女」「似てるー!」

▲ページTOPに戻る