【オリコンニュース】
レイヤーとカメコの生態描いた漫画
 世界に誇る日本のポップカルチャー、「マンガ」や「アニメ」のキャラに扮し、その魅力を全世界に発信するコスプレイヤーたち。一方で、彼女たちの写真を撮るべく、日々奔走する“カメコ(=カメラ小僧)”たちの姿がある。そんな、レイヤーとカメコが織りなす“日常の舞台裏”を描きSNSを中心に話題となった漫画『野良カメコのピラミッド』について、作者・だよね氏にインタビュー。撮影現場における中年カメコの悲哀、そして、コスプレ界のヒエラルキーとも言える“野良カメコのピラミッド”とは一体何なのかを聞いた。

【漫画】レイヤーとカメコの関係が丸わかり、「コスプレあるある」マンガをイッキ読み

■「有名カメコ」と仲良くなって、カメコ界の中での“わらしべ長者”になる人も

――まず野良カメコの定義は、コスプレイベントなどで撮影をメインとして活動し、同行者がおらず単独行動をするカメコのことだと聞きました。そうした野良カメコの割合というのは?

【だよね】大きなイベントだとカメコ全体の8割くらいだと思います。

――本漫画がユニークなのは、そうした野良カメコが、上位の「認知カメコ」や「有名カメコ」にジョブチェンジというか、クラスチェンジするために頑張ったり、あるいは野良カメコとして留まったりする世界があることをつまびらかにした点だと思います。仮に、カメコとして有名になろうと思った場合、どんな才能が必要ですか?

【だよね】野良カメコが上を目指そうと思った場合、必要なのは写真の腕を磨くかコミュニケーション能力を上げるかの二択になると思います。

――「写真テクを上げる」というのは分かりやすいのですが、カメコにコミュニケーション能力が求められる理由というのは?

【だよね】コミュニケーション能力があればレイヤーと仲良くなれますし、有名なカメコと仲良くなって、言い方は悪いですがその知名度を利用することもできます。カメコ界の中でのわらしべ長者じゃないですけど(笑)、有名なカメコは本当に顔が広くて、自分の名刺を持ち歩いている人も多いです。レイヤーも、まだ撮影で絡んだことはなくても有名カメコの名前だけは知っていたりする。「あの人気レイヤーを撮ってる〇〇さんだ」って。すると、現場でのレイヤーの態度や対応も全然違ってくるんです。

――イベント会場では、名刺を配っている、いわゆる「名刺カメコ」を見かけます。

【だよね】レイヤーが自分の名刺を作っている場合が多いので、名刺交換をするという意味で名刺を作っているカメコはいます。名刺はレイヤーに自分の名前をアピールするための手軽なツールですからね。有名なカメコになると、名刺をブラ下げているだけで、レイヤーの態度が変わることもあるんです。それはなぜかと言えば、有名なカメコは写真も上手いし、写真を撮ってもらったことで箔がついたりするからです。有名なカメコって、フォロワーも1万人を超えていたりしているんですよ。

■多くの「野良カメコ」は、シャッターを押すことで満足している

――カメコとしてはヒエラルキーの上、いわゆる「有名カメコ」になりたいものなんでしょうか。

【だよね】人によると思いますが、有名になって単純に嬉しいってことはあると思います。例えばイベントへ行ったら、「撮ってください」ってTwitterで連絡がきたりとか。漫画の中でも書いたんですけど、僕のような独身の中年カメコの場合だと“モテたい”よりも、「必要とされて嬉しい」って気持ちが大きいかもしれません。だって、35歳を超えてくると、周りから必要とされるシチュエーションがどんどん無くなっきますから(苦笑)。もちろん、ちょっとは“モテたい”って願望もありますけどね(笑)。

――カメコとしてステージが上がっていくと顔も広くなるし、知り合いも増えるし、レイヤーにも認められるというメリットがあります。一方で、有名になっていくことでマイナス面はありますか? 例えば、やっかみであったり。

【だよね】有名レイヤーと繋がっていることでやっかみはあると思います。もうひとつ、マイナスというわけではないんですが、カメコとして有名になっていくと、レイヤーから「質の高い写真」を求められるという点があります。

――レイヤーも、名が知れた「有名カメコ」の写真に期待をするということでしょうか。

【だよね】そうですね。レイヤーも写真を撮ってもらう以上はキレイに撮ってほしい。カメコに写真を撮らせる対価として、「質の高い写真」をもらえることを期待するわけです。だから、名前が知られているカメコは、自身で撮る写真のハードルも上がるわけです。

――基本、撮った写真をレイヤーに送るかどうかはカメコ次第なんですね。

【だよね】はい。ただ有名カメコの場合、写真を渡さなければ「あの人、私を撮ったのにくれないじゃん」って言われてしまう。野良カメコの良いところは、そうした制約が少ないことです。僕も最初はそうでしたが、特に理由もなく何となくイベント会場に来ている野良カメコは多いと思います。レイヤーからも聞いたことがあるんですけど、「写真送るよ」って言っても、ほとんどのカメコは送ってこないそうです。10人に撮ってもらって送ってくるのは1人というレベル。

――つまり、カメコのほとんどは、レイヤーと“繋がろう”という意識はなくて、写真を撮ることが目的なんですね。

【だよね】そんな気がします。「シャッターを押しに来ている」というか撮ることで満足しちゃってる人も多いのかもしれません。いま、カメコの多くが高級カメラや高級機材を使っています。プロのカメラマンよりも良い機材を使っているくらいです。

――趣味のレベルで、それほどの高級機材は必要なんでしょうか?

【だよね】それは、フェラーリ好きに対して「フェラーリに乗ってるのに飛ばさなくてどうするんですか?」って聞くのと同じです。そのカメラは確かに宝の持ち腐れかもしれないですけど、高級機材を使うだけで満たされる部分も多いですからね。

■「モテたい」を優先する若いカメコはレイヤーとのBBQがシンボル

――なるほど、それならわざわざレタッチしてレイヤーに写真を送るのは手間かもしれません。

【だよね】レタッチするって作業はけっこう時間がかかるんですよね(笑)

――「有名カメコ」にもそれなりのメリットはあると思いますが、自由を謳歌しているという意味では野良カメコのほうなんですね。

【だよね】有名なカメコたちって、イベントの場で頻繁に挨拶している印象があります。挨拶してちょっと撮影しての繰り返しって感じ。レイヤーに認知される喜びはあるでしょうけど、気軽にカメコを楽しむという点では、満たされない部分やしんどい部分もあるように思います。

――複雑ですね。よっぽどメリット的なことが突き抜けないと、そっちに重心を傾けるのは大変そうです。

【だよね】「カメコ」をやっていると、知り合いが増えていって楽しくなってくる部分と、人間関係が重荷になってくる部分とがあるんです。だから野良カメコのままでいいって人も多い気がします。最近は撮るだけの野良カメコと、繋がりを求めるカメコの“二極化”している印象があって、「野良でいいや」とシャッターを押しに来ている人は高級なカメラの“シャッター音”で満たされている。

――もう一方の“繋がり”を求めるカメコの傾向というのは?

【だよね】写真集になるようなレベルの高い作品を撮りたいとか、レイヤーと仲良くなってスタジオで撮影したいってカメコたちですね。こちらが本来のあるべき姿かなと思います。もっとも、「撮りたい」より「モテたい」を優先しているような若いカメコの場合はアグレッシブで、レイヤーと仲良くなってバーベキューに行くっていうのが中年の野良カメコから見た“あるある”になっています。バーベキューが1つのシンボルみたいな(笑)。これらは、カメコの実態のごく一端でしかありませんが、今後イベント会場などで彼らを見かけたら、野良カメコにも色々なバックボーンがあるんだってことを思い出してもらって、温かい目で見守ってほしいですね。

(提供:オリコン)
漫画『野良カメコのピラミッド』/著:だよね
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