ラスト2試合も仲間とともに、そして、笑顔で終わろう

「早かったけど、長かった」

副キャプテンの松尾由紀子は、相反する言葉でここまでの戦いを表現してくれた。

リーグ初参戦の群馬銀行グリーンウイングスにとって、4が月に及ぶリーグ戦は、想像以上に厳しく、険しいものだった。だが、そんなリーグ戦だからこそ得られる経験、喜び、一体感も大きなものだった。

リーグはラスト2試合だ。願うことは、応援する我々に勝利を届けて欲しいということ以上に、大きな歴史の1歩を、勇気をもって踏み出し、全身全霊で今シーズンを戦い抜いてくれた彼女たちのチャレンジが、勝利という結果で報われて欲しいと言うこと。それ以外にない。

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前週、山形・酒田で首位のトヨタ自動車と対戦したグリーンウイングスは、内容こそ上回ったが、フルセットの末、敗れ、勝利を掴むことができなかった。そして、目の前で、相手チームの優勝決定という苦汁を味わう結果となってしまった。

グリーンウイングスは、現在、4連敗。リーグ中盤以降は、なかなか思い通りのバレーができず苦しんでいる。

こうしたチーム状況に、佐藤智美は、「負け癖が付いてしまった。」と話し、キャプテンの須﨑 杏は、「いい時期もあったが、それを維持したり、向上させることがなかなかできなかった。」と振り返った。チームは、苦しい中で、初参戦チームとしての経験のなさが出てしまい、悪い流れを断ち切れず、自分たちのバレーもできず、勝利から遠ざかる日々が続いてしまっている。

前週、スタメンを外れた柿沼杏奈も、結果につながらない状況に「自分に何ができて、何ができないのかわからないくらい悩んだ。結果に縛られてしまった。」ともがき苦しんだ胸のうちを教えてくれた。チームだけでなく、選手それぞれも、はじめてとなるVリーグのリーグ戦で苦しい時間を過ごすことになった。

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だが、苦しんだだけのシーズンではない。彼女たちのチャレンジは、自身はもちろん、群馬の我々に多くの幸せを届けてくれたシーズンだった。同じバレーボールといえども、大きく違う6人制への移行に対し、期待以上の不安もあったろうが、それを撥ね退け、チャレンジした彼女たちのおかげで、チームだけでなく、群馬に、バレーボール界に大きな一歩を記すことができた。ホームゲームには、毎回、1500人近い人が訪れ、彼女たちのバレーボールに魅了された。そのプレーに、1本に、勝利に、スポーツの楽しさ、バレーボールの楽しさを新たに知った人も多い事だろう。また、コートで躍動する選手たちは、バレーボールに取り組む子どもたちにとって身近な憧れとなり、目標にもなった。チームの歴史だけでなく、群馬のバレーボールシーンにおいても、新たな時代へと導く大きな扉を押し開けてくれたと思う。いままで、誰もできなかったことをグリーンウイングスの選手たちはやってのけてくれたのだ。そして、この広がりは、これから先、もっともっと大きなものになるだろう。だが、それも今シーズンをもがき苦しみながらも投げ出すことなく一体となって戦い抜いてくれた彼女たちがいたからこそなのだ。

だからこそ、土日に控える、今季最終の2連戦は、勝利という結果になって欲しい、彼女たちの努力が報われて欲しいと願わずにはいられないのだ。

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選手たちも、心身ともにギリギリの状態だが、ラスト2試合へ向け、気持ちを奮い立たせている。佐藤は「負けてシーズンが終わるのは嫌だ。どれだけ自分たちのプレーを出せるかだ。」と話し、柿沼も「どういう状況でもチームのために頑張る。」とこれまで同様、チームのため、仲間のために戦うことを誓ってくれた。また、松尾も「チーム内で『ラストふたつ、全力でやろうね。』と話し合った。」と、リーグラスト2試合にすべてを出し切るチームの思いを話してくれた。

そして、キャプテンの須﨑杏は「納得するだけじゃなくて、勝たないと意味がない。Vリーグはそういう世界。個人としても結果にこだわりたい。そして、全員と最後まで戦いたい。」と2連戦に臨む思いを教えてくれた。

彼女たちは、我々にたくさんの幸せと喜びを届けてくれた。リーグラストの2連戦は、より自らのためにプレーして欲しい。自らを、仲間を、支えるすべてのものを信じて、すべてを出し切ってほしい。そして、最後は、最高の笑顔で締めくくってもらいたい。

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VCL2 静岡・浜松大会

20日 プレステージ・インターナショナル・アランマーレ戦 13:00  浜北総合体育館

21日 GSS・サンビームズ戦 12:00 浜北総合体育館

VCL2 2月19日現在

1位 トヨタ自動車 11勝4敗 32ポイント

2位 GSS 9勝6敗 26ポイント

3位 ブレス浜松 8勝6敗 25ポイント

4位 群馬銀行 6勝8敗 20ポイント

5位 プレステージインターナショナル 2勝12敗 5ポイント