ザスパチャンネルコラム#124 求められるチャンス創出へのクオリティ

7日に行われた水戸との北関東ダービーで0-0と引き分けたザスパ。これで開幕から9試合を終えて1勝3分5敗 勝ち点6でリーグ19位。苦しいシーズン序盤を強いられています。

躍進を遂げた昨シーズンと比べると、粘り強く戦い、失点を少なく、勝ち点を積み重ねる戦いができていないこと。また、昨シーズンから続く得点力不足も改善できていない状況です。

思うようなサッカーができていない要因は、ライバルチームのザスパ対策が厳しいというのもありますが、ここまでのゲームを見ていて、それ以上に課題と感じるのは、ゴールチャンス、シュートシーンを創出する部分のクオリティだと感じています。

ザスパは、シーズン序盤の早い段階からシステム変更に着手。守備4バック、攻撃3バックの可変システムから、常時3バックのスタイルに戦い方を変えました。後ろでボールを動かしながら自分たちの時間を長くし、チャンスを作るスタイルは変わりませんが、左右のワイドを張る選手がより高い位置を取ることで、より相手チームのエリアでボールが入るようになりました。

また、水戸戦では、足元でつなぐだけでなく、リスクも鑑みながら長いボールも効果的に使うスタイルを見せ、チームとしても改善、変化に取り組んでいる姿が印象的でした。大槻スタイルとして積み上げてきたものを大切にしながらも、全体のサッカーの重心がザスパゴール前に寄りすぎていましたから、ケースバイケースで長いボールを使うことは攻撃でも押し込むことができ、守備でもリスク回避につながります。状況でのいい判断が求められますが、私はいいことだと思っています。

一方で、先ほど触れたチャンスを生み出すためのクオリティについては不満が残りました。

いい形でボールを奪い、カウンターやパスワークで相手エリア深くに攻め入っても、FW陣に供給するパスが乱れたり、精度が低かったりと、ゴールやシュートにつながる形を作れないことにもどかしさを感じます。

ザスパのシュート本数は、リーグ最少の66本です。最多の千葉は134本で倍以上、ひとつ上、19番目の山形でも86本と20本も少ない状況です。

試合を見ていても、昨シーズンのように、相手ゴール前でシュートを選択できる場面でパスを選択しているからシュート本数が少ないのではなく、ゴール前に近づく、相手の脅威となるチャンスメイク、ラストパスが入らないことによる少なさと感じています。

改善のためには、出し手の精度向上、出し手と受け手の関係強化が求められます。

個人的な感想として、今シーズンは、昨シーズンと比べて、新加入選手たちが、あまりゲームに関われていない、出場機会をつかめていない印象があります。そうしたことからも、チームとしての理解度、連携面がまだまだしっくり来ていないのかなと感じますし、シーズン序盤の戦いに反映されてしまっているように感じます。

一方で、多少強引でも、積極的にゴールに矢印を向けたプレーが増えていかないと、状況は好転しないとも感じます。

試合後や練習場で選手たちから聞こえる声でも、「もっと自信を持っていい」、「もっと積極的に足を振らないと」という声はよく聞こえます。何か事を動かすには、こちらから仕掛けなければはじません。岡山戦では川上エドオジョン智慧選手が、意欲的にゴールに向けたプレーをしたことで、相手オウンゴールを生むということもありました。

うまくいかない状況、苦しい状況では、気持ちの部分で自らを抑えてしまい、安全な選択をしがちですが、そこを乗り越えなければこの状況は、いつまでたっても変わらないでしょう。

チーム、選手としての成長は、応援する側には如何ともしがたいですが、選手たちに自信を持ってプレーしてもらう雰囲気作りは、我々、サポーターができることだと思います。繰り返しになりますが、今こそザスパにエールを、力を届けてください。この壁を乗り越えて、皆でさらなる高みを掴みましょう。(笹川裕紹)