ザスパチャンネル#49 特別な事は要らない。皆がやるべきことをやり、そして、J2残留を掴むのみ。

~特別な事は要らない。皆がやるべきことをやり、そして、J2残留を掴むのみ~




シーズンも残り2試合となりました。残留圏の16位にいるザスパですが、降格圏の19位金沢とは、勝ち点差3。残り2試合の相手も、簡単な相手ではありません。毎年の事ですが、ここまで来たら特別なことはできません。今までやってきたこと、ザスパの強みは何かにフォーカスして、やるべきことをやるのみです。楽観もできませんが、それ以上に、悲観しすぎない事です。ポジティブな材料を拾い上げ、残り2試合に全力で向かっていけば、私は、J2残留を必ずや勝ち取れると思っています。


大混戦が続く、今シーズンのJ2残留争い。数字の上では、依然として、ザスパを含め、9チームが争っています。前節、ホームで新潟と対戦したザスパは、シュート4本、ボール支配率27%と、相手に圧倒的に支配されたゲームでしたが、全選手が奮闘し、引き分けに持ち込み、勝ち点1を上積むことに成功しました。ザスパよりも下位チームという意味では、勝利したのは1チームのみ、多くのチームは、引き分け、敗戦となり、ザスパもライバルとの差を保つような状態で前節を終えたことになります。


ザスパで言えば、ここ4試合勝利がありません。そうと言うと不安に駆られますが、直近5試合で敗れたのは1試合のみ、ここ3試合負けなしで勝ち点を積み重ねてきています。5試合で合計勝ち点6は、残留争い9チーム中、3番目です。残留争いをしているチームは、どのチームも苦しんでいます。簡単に勝つ事などできません。それどころか、引き分けにすることだって精一杯なのです。その中で、この終盤のザスパの戦いは、我慢しながら、今できる戦いができ、そして、結果につなげてきていると思います。


残留争いは、苦しみの連続です。早く抜け出したい、抜け出すために、特別な方法はないか、そんなことをいつも思います。でも、そんなものはありません。ここまで積み重ねてきた自分たちのサッカー、そして、強みをいかにゴールと勝利につなげるか、それだけです。今さら形を変えたり、特別な事をすれば、全てが崩れ、降格の二文字が現実のものになります。


今のザスパの強みは何か。ひとつは、奥野僚右前監督から構築されてきたスタイルです。後方から繋ぎ、ボールを動かしながらサイドを起点にチャンスをうかがう形は、しっかりと染みついています。受け継いだ久藤清一監督は、そこに多様性、柔軟性を加え、個の部分での強度や質をさらに追及してきました。また、経験豊かな選手が多く、チームの安定感、一体感、融和をもたらしているのもこのチームの強みです。キャプテンの大前元紀をはじめ、渡辺広大、岩上祐三、清水慶記、畑尾大翔、内田達也、青木翔大、そして、9月に加わった元日本代表の細貝萌。いずれも、長年、Jの舞台で活躍し、これまでのチームでも中心的な役割を果たしてきた存在で、そうした経験をザスパでも如何なく発揮してくれています。実際のプレーにおいても、安定感のある、計算できる活躍をしてくれています。


他方、そうしたチームとしてのベースや経験値の高い選手による安定感とは別に、チームに勢いをもたらしたり、劣勢の状況を好転させる選手、術に欠けるのが今のチームの課題だと思います。レギュラーメンバーと、控えメンバーの力量差、中堅、若手と呼ばれる年代の選手の活躍、台頭、もちろん、今シーズンもケガ人が多かったがために、そうした部分が遅れたこともあるかもしれませんが、この最終盤に来ても、残念ながらそうした部分が足りなかったのが、もう一段、二段、ザスパを上に押し上げられなかった要因だと感じます。もちろん、これはチームだけの問題ではなく、クラブ力からくるものだと思うので、いつまでもチーム任せにするのではなく、クラブ強化の面から一日も早く改善してもらいたいと思っています。



何にせよ、チームとしての強さ、課題、さらには、クラブ力含め、すべての結果が今の順位であり、残り2試合が終わった時の今シーズンのザスパの結果です。そういう意味では、よくやっているシーズンだと思います。J3のクラブにも劣るクラブ力の中、経験豊かな選手を中心にチームはまとまり、奮闘してくれています。クラブ目標の勝ち点50には届きませんが、16位以内の目標は十分可能性を残し、準ずる戦いができています。ザスパに関わる皆が、いろいろなものを削り出してくれて、この位置にいてくれていると思っています。だから、その頑張りを無駄にしないためにも、あと2試合、悲観や不安ではなく、自分たちの良さを十二分に発揮して立ち向かいたいのです。



残留圏にいるザスパは、自力で残留が決められる優位な立場です。とはいえ、次節は、J1復帰を決め、この試合にJ2優勝が懸かる首位磐田を迎えてのホーム最終戦です。新潟以上に手ごわい相手でありますが、新潟戦では耐え忍ぶことができました。また、90分間、一度もチャンスがないという事はあり得ません。新潟戦で課題となったチャンスでゴールを決めきる部分に集中して、勝利、勝ち点を掴むのみです。



状況的には、引き分けでも十分なゲームだし、ライバルチームの結果如何では、引き分けでも残留が決まる一戦です。仮に、最終節まで残留争いが持ち込まれても、最終節は、残留を争う大宮との一戦です。大宮もまた、監督交代、ケガ人、チーム構築など、様々な部分で苦しみながらシーズン最終盤まで来ているチームです。簡単ではありませんが、十分に勝負ができる相手であり、状況です。



2試合のうち、ひとつでも勝てれば、残留は約束されたようなものです。また、しっかりと、引き分けで勝ち点を重ねられれば、それでも残留は難くないと思います。



大宮然り、他の残留争いをしているライバルたちも、もがき苦しんでいます。ライバルチームが勝利、勝ち点を重ねることに怖さを感じています。ザスパだけが思い通りに行くわけではありませんし、ザスパだけが上手くいかないわけではありません。その際どい所で、チームの良さをどれだけ出せるか、それが勝敗を決することになります。



繰り返しになりますが、残留圏にいるザスパは、自力で残留が決められる立場です。ライバルたちの多くに比べれば、残留に向け、優位な立場にいます。これまで同様、目の前の試合に向かい、自分たちにできる事を積み重ねる、それだけです。長く書いた割には、禅問答のような結論かもしれませんが、選手も、チームも、クラブも、ファンも、サポーターも、残り2試合、できる限りのすべてを出し尽くす。これ以外に道はありません。長いシーズンも、あと2試合です。チーム、選手は、やってくれます。だから、応援する私たちも、すべてを出し切りましょう、そして、みんなでJ2残留を掴みましょう。来シーズンも、J2で戦いましょう!




文/笹川裕昭