ザスパチャンネルコラム#38 ~FMGUNMAザスパ中継連動企画 第29節ヴァンフォーレ甲府戦レビュー~

~FMGUNMAザスパ中継連動企画 第29節ヴァンフォーレ甲府戦レビュー~   残留争いを抜け出すべく、強く吹いていた風が突然止んでしまったような気分だ。チャンスがありながら2試合続けて勝ち点を掴むことができず2連敗。ただ、この結果に俯いているだけでも、苛立っているだけでも、意味のあるものにはならない。この連敗を糧に、どう成長するか?どう乗り越えるか?ザスパクサツ群馬というクラブが、一段階、上に行くために大きな分岐点を迎えているように感じる。   甲府戦は、早い時間に失点したが、チャンスがなかったわけではない。何度も、相手ゴール前に、押し込み、決定機を迎えたがシュートが決まらない。枠をとらえきれず、ポストをたたき、相手の粘り強い守備に阻まれ、あと少し、もう一歩、ゴールには届かなかった。久藤清一監督は、「組み立ては悪くなかったが、奪い切れなかった。3試合連続で無得点になったが、そこはトレーニングするしかない。あとは感覚のところ。もう少し研ぎ澄ましていきたいと思う。」と振り返った。   チームは、引き分けた金沢戦から3試合続けてノーゴールだ。ただ、前節の秋田戦も含め、チャンスがないわけではない。上位、下位、どんなスタイルの相手にもチャンスができていることは前向きにとらえたい。白石智之は、「小さの所を詰めている。シュートの精度や、一つ一つのプレーの詰めの甘さ、そういったところをみんなで詰めている。」「内容は悪くないが、結果が出ていない。小さなところの問題だ。」と、結果につなげるために、前を向いて取り組んでくれている。足踏みをしている余裕はないが、前を向く材料が少ないわけではない。手ごたえがあるならば、突き詰めていくしか道はない。     一方、守備では、前回対戦同様、早い時間の失点、それと、セットプレーからの失点という課題が突き付けられた。 大武峻は、「失点する時間が悪かった。1点目のところは前節もセットプレーから失点している、甘さが出てしまった。」と振り返った。前節の秋田戦も、押し込みながら点が奪えず、最終盤にセットプレーでやられ、甲府戦も、試合開始早々に押し込みながら、直後に、セットプレーで仕留められてしまい、気持ちの面でもショックの大きい失点だったし、セットプレーの大切さを高い授業料を払って知ることになってしまった。     また、ゲームが進みにつれ、選手の間を突く動き、攻撃に後手を踏み、一気に勢いを失ったのも気がかりだ。大武は、「ゲーム全体でコミュニケーションがとれずにポジションが被ったりして、そこは声の部分で解決できるところがあるので、選手たちが解決していかなければいけない。」と’振り返り、小島雅也も、「サイドの声掛けや受け渡し、コンパクトさを保つことが大切」と守備でのポイントを口にする。6試合負けなしで勝ち点を積み重ねた時は、こうした連携面が上手くいっていたが、甲府戦では、そこが上手くいかなかった。チームとしての対応、選手個々が、状況で判断する部分など、一律に何かをすれば解決することではないが、守備の部分での再確認は必要だ。     幸いにして、今のザスパは、五里霧中という状態ではない。ベースになるものがあり、そこに立ち返る、再確認をして立ち向かえる状態にはある。次の試合までの時間を有効に使い、もう一度、結果につながるチーム状態へと戻したい。そして、既報の通り、大前元紀や田中稔也、藤井悠太など、この所、メンバーを外れていた選手たちも、コンディションを上げつつある状況だ。力のある面々が戻ることで、チーム内の競争、チーム力は確実に上がる。ザスパにとって、プラスの要素をしっかりと積み上げていきたい。   その上で、「自分たちが全員でハードワークし、攻守で、全員で戦い伝わるサッカーをするだけ。」と、白石が語るように、相手がどこであろうとやることは変わらない。未来を切り開けるのは己のみだ。それは、我々、サポーターも同じことだ。J2に留まり、ザスパをより魅力的なクラブへと前進させるために、今が正念場なのだ。そのためにも、ザスパクサツ群馬の誇りを胸に、ともに目の前の1試合を全力で戦い抜くのみだ。     文・写真/笹川裕昭