【オリコンニュース】
“グラドル”は死語? 再起あるか
 日向坂46『日向坂で会いましょう』(テレビ東京ほか)、齊藤京子(日向坂46)の『キョコロヒー』(テレビ朝日系)、また『THE TIME,』(TBS系)など、アイドルのバラエティ番組や情報番組での活躍が目立つ昨今。かつては細川ふみえや小池栄子、MEGUMI、壇蜜ら、グラビア発のタレントがその役割を担っていたことを覚えている人も多いだろう。アイドルのバラエティ番組席巻による、専業グラビアアイドルの現在の立ち位置は? また、再起の可能性は?

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■“巨乳ブーム”の先駆け小池栄子、MEGUMIの活躍とイエローキャブの功績

 「グラビアアイドル」は和製英語。主に、雑誌のグラビアページやポスター、写真集などで活躍するタレントを指す言葉として作られた。その第一号が1975年に一斉を風靡したアグネス・ラム。日本人では榊原郁恵が初代巨乳アイドルといわれている。そもそもグラビアタレント活動は、芸能界において新人の知名度を向上させるためのステップの一つであった。だがここからさらに強固な“グラビアアイドル”ブームを作り、グラドル→バラエティ番組→女優という“道筋”をより明確に築いた事務所がある。

 それが“巨乳ブーム”の立役者である芸能事務所「イエローキャプ」だ。所属タレントにはかとうれいこ、細川ふみえ、雛形あきこ、小池栄子、MEGUMIなどがおり、90年代に、グラビアにとどまらず、バラエティ番組を席巻する現象が起きた。当時は、人気が出たら「服を着せてゆく」という手法を取っており、小池栄子やMEGUMIはいまや演技派女優に。セクシーな前屈姿勢、通称・雛ポーズで話題だった雛形あきこはフジテレビの『めちゃ×2 イケてるッ!』(フジテレビ系)へのレギュラー獲得により、一気にお茶の間での認知度を増した。

「ですが世間はすぐに巨乳に飽きてしまう。ここで登場したのが優香さん」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「グラドルとしては元祖癒やし系であり、その“グラドルっぽくなさ”(=巨乳orセクシー系ではない)が売りでした。その後、井川遥さん、乙葉さんなどにその系統が受け継がれていきます。その後、小倉優子さん、若槻千夏さん、現役女子大生だった眞鍋かをりさんの登場でグラビア界はレッドオーシャン化。可愛い系、知性派、美乳系など多様化していき、2000年代は群雄割拠の時代を迎えます」(同氏)

 当時、主戦場だった紙雑誌は『FRIDAY』(講談社)、『FLASH』(光文社)、『FOCUS』(新潮社※2001年休刊)、『週刊ヤングマガジン』(講談社)、『週刊プレイボーイ』(集英社)、『EX大衆』(双葉社)など。今や人気主演女優である綾瀬はるかもデビュー当時は主戦場としていた。

■アイドリング!!! が芸人並みにバラエティもできるアイドルの礎を構築

 先述したように、グラドル出身のタレントがバラエティ番組に出ずっぱりになるという時代がしばらく続いたが、一方ではモーニング娘。など、アイドルが再注目される現象も重なってくる。2005年にはAKB48が誕生。だがモーニング娘。の人気は、一部の熱狂的ファンを除いては下火になっていき、AKBもまだ“地下アイドル”の域を脱出できずにいた。

 「その時代、アイドルのバラエティ番組出演に関して、一石を投じたのがアイドリング!!!」と前出の衣輪氏は指摘する。フジテレビが番組初のアイドルグループとして世に送り出したグループで、冠番組『アイドリング!!!』(フジテレビ系)で登場。基本的に、歌やダンス、パフォーマンスを見せるのがアイドルの仕事だったのが、アイドリング!!!は、“汚れ役”も果敢に挑戦。“笑われるアイドル”を生み出した。

 さらに『AKB1じ59ふん!(後のAKBINGO!)』(日本テレビ系)など、『アイドリング!!!』を思わせるような体を張った企画が話題の番組がこれに追随していく。AKB48のブレイクをきっかけに、これがスタンダードとなり、グループアイドル全盛期には、ももいろクローバーZ、乃木坂などの坂道系など“いじられキャラ”もできるアイドルが活躍するようになった。

「元々、井森美幸さんのようなバラエティアイドル(バラドル)ブームがありましたが、彼女らはバラエティ色が強かった。それが、アイドルがバラエティも行うというポスト・バラドルブームが到来。グラドルがバラエティに出演する機会もこの頃から減少。この流れを作ったのはフジテレビ社員で、アイドリング!!!のプロデューサーでもあった門澤清太氏でした」

「門澤氏は、『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)のプロデューサーでもあり、以前のインタビューでは“特にアイドルが好きなわけでも、詳しいわけでもない”とお話されていました。つまり、異業種の人がアイドル業界に関わったことで、アイドリング!!!は突然変異的存在となり、礎(いしづえ)に。歌って踊れるだけでなく、笑いもできるアイドルたちの躍進は『日向坂で会いましょう』などにも受けつがれ、グラドルブームが衰退、アイドルがバラエティを席巻するようになったのです」(衣輪氏)

■異業種からのグラビア回帰、出版不況…グラビアアイドルの評価が一変

 
 さらにはAKB48をはじめとする人気アイドルが水着になるというブームも起こり、肩書が“グラビアアイドル”である人気タレントが減少。ここへ来てインターネット社会とも重なり、出版不況が目に見える形で明らかに。そしてSNSの普及で、誰もがグラビアを発信できる時代になった。バラエティ番組でメインを張るようなグラドルは見られなくなった。

「昔とは違い、SNSや撮影会で水着になるだけで誰でもグラドルと名乗れるようにもなりました。カメラや画像修正ソフトの進化がこれに拍車を。グラドルそのものへの希少性がますます薄まるなか、女優やアナウンサーなどの異業種から、グラビアへ“回帰”する流れも。グラビアアイドルは肩書ではなく、表現の一つへと変化したのです」(衣輪氏)

 グラビアは最初から“性的消費”のイメージが強かったが、深田恭子や吉岡里帆、田中みな実などの写真集がヒットすることによってその価値観に変化が起こった。モデルとグラドルを同時に行う“モグラ女子”の存在もあったが、ますます同性から注目されるようになっていった。そして2020年、宮崎美子の40年ぶりの水着グラビアが話題に。グラビアのネガティブな側面が払拭されたかのように、同性を中心に大絶賛が贈られた。

 女優、タレント、アイドルなど異業種がグラビア進出するようになった結果、グラビアは「リアルな自己表現の場」、もしくは「フォトグラファーとタッグを組んだ作品」のニュアンスが強まる傾向に。“性的搾取”から、女性の“憧れの自己表現”への色を強くしていったのだ。

■SNSの普及によりグラドルの成功ルートが崩壊 テレビを主眼としない今、グラドル再起に必要な課題

 これまでのグラドルは、テレビでの活躍が目的であり、かつゴールだった。だからこそ、「登竜門としてのグラドル」という流れが一つの路線となりえた。しかしながら、YouTubeやネットライブ配信などのSNSが普及し、年々メディアが細分化。もはやテレビを主眼的立ち位置で見据える必要も無い。つまり、グラドルそれ自体の価値が低下したのではなく、グラドル発テレビタレント行きという成功ルートが薄れただけなのだ。

 グラビアアイドルの倉持由香は、かつてORICON NEWSのインタビューで「グラビアアイドルは(性的搾取的な)“露出”だけでは勝負にならない時代です」と語っている。また、現在のグラドルに求められるものとして「個性」「“キャッチーさ”SNSをみんなやっている時代ですから、ネットを上手く使った“発信力”、そのベースになる“自己プロデュース力”」が重要とも分析もしている。

 時代の変化に対して必要以上に悲観的に捉える必要はない。これまで規定路線だったテレビを主眼とした戦略とは異なる、新たな手法によるグラドルの台頭は、決して夢物語ではないはずだ。時代の変化やメディアの多様化によって、かつては絶滅危惧視されていた“グラビアアイドル”。紙雑誌や写真集への露出が減った一方で、テレビに頼らずともSNSで自在に発信・表現できる今、彼女たちはどこを主戦場とし、“成功”とするのか。再起の道は彼女たち自身にかかっている。
(文/西島亨)

(提供:オリコン)
現在もバラエティやドラマで活躍する小池栄子、MEGUMI、優香、若槻千夏 (C)oricon ME inc.
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