1980年代前半に人気が爆発した『ガンプラ』文化は、HG・MG・RG・PGといったカテゴリー分けで進化するだけでなく、モデラーたちの創意工夫により様々な楽しみ方が生まれた。今回紹介するのは、ガンプラ版ボトルシップを制作するボトール氏(@Joehigasi37)。わずか2センチ程の瓶の口と格闘する日々や、使用する接着剤の選び方など“制作秘話”を聞いた。
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■コルクビンに入れたズゴックを組み立てるため、“3日”格闘したことも…
――ボトールさんのプラモデル歴を教えてください。
【ボトール】小学生の時に「ガンプラブーム」があったのでよく作っていましたが、中学生になるとパソコンにハマってプラモ作りとは疎遠に…。2004年辺りからフラっと復帰しましたので、プラモ歴としては20年位でしょうか。
――ガンプラ版ボトルシップを作ろうと思ったキッカケは?
【ボトール】Googleで検索結果のキャッシュが表示できていた頃、掲示板のキャッシュで「ホワイトベースでボトルシップを作った」というコメントを見つけたんです。なにそれ!スゴイの!? 見たい!と思ったのですが残っているのは文字だけ。検索しまくりましたが、結局画像は見つかりませんでした。仕方ないので、「無いなら自分で作ろう!」と思ったのがキッカケです。
――使用するキットやボトルのサイズを教えてください。
【ボトール】艦船が多いので1/2400、1/2200、1/1200やノンスケールの小型のものが多いです。大きいサイズだとパーツが瓶の口に入らないので自ずと避けています(笑)。瓶の口の直径は大体20ミリ~22ミリ程なので、そこに入るサイズを選択しています。
――ボトルを選ぶ際のポイントを教えてください。
【ボトール】やはりキットが瓶の中に収まるかが大事で、かつキットに対して大きすぎないかを目安に選んでいます。瓶の中にタイトに詰まっているとスゴい!と思っちゃいますから。
――ピッタリなサイズを狙いすぎて失敗したことは?
【ボトール】ガラスの厚みがあるため内側のサイズが分かりにくく、作成途中で入らないことが分かって焦ったこともあります(笑)。それから瓶の底に気を付けています。ペットボトルの底は中央に向かって膨らんでいて底上げされています。それを考慮せずに瓶の高さだけ見ていると、やっぱり入らなくて後で焦ります。あとワインの瓶の様に首が長いものは、ピンセットが物理的に届かないので避けています。なので、本家ボトルシップを作っている方々はスゴいなと尊敬しています。
――では、これまでに使用した最小のボトルは?
【ボトール】東急ハンズで売っているコルクビンです。高さ23ミリ、直径15ミリ、口が内径7ミリの極小瓶に1/1200ガウに付属しているズゴックを入れました。下半身を入れた後、上半身を接続するのに3日ほど格闘しました。胃がキリキリするので、もうこのサイズはやりたくありませんね(笑)。
――ボトルシップのガンプラバージョンですが、ネーミングはありますか?
【ボトール】「ボトルガンプラ」や「ボトルガンダム」、ガンダム以外も入れるなら「ボトルプラモ」でしょうか。色々候補はあると思います。漫画の『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』でも「ボトルガンダム」は登場しましたね。
――今までに何作品ほど制作されましたか?
【ボトール】ガンプラ以外も含めて約20個です。05年から始めているので、14年で約20個…、我ながらスローペースですね(苦笑)。
■ボトルガンプラ制作で“壁”を感じるのは「ピンセットが届かない時」
――ボトルガンプラの難しいポイントは何でしょうか。
【ボトール】ボトル内での組み立て工程をいかに減らせるかだと思います。ボトル内で組み立てるのはやはり難しいので、瓶に入れる前にどこまで工作を終わらせるかで腐心しています。1/2400ホワイトベースは多数のパーツからなりますが、瓶に入るパーツに再構成して10パーツに減らしました。それから接着です。瞬間接着剤を使いたいのですが白化するので、そうなるとパーツや瓶の内側が白く曇ってしまいます。そこで、2液性のエポキシ接着剤を使っています。硬化時間が比較的短いので便利ですが、ちょっと臭いです(苦笑)。なので、接着剤の代わりにネオジム磁石を使うこともあります。近づければバチンと狙った位置にくっついてくれるので重宝しています。
――ボトルガンプラ制作で「壁」を感じたのはどんな時ですか?
【ボトール】ピンセットが届かない!そんな時です(笑)。あと、ボトル内のガンプラパーツがハズれたことがあるのですが、ピンセットで摘むことができても元の位置に戻せない。ピンセットの代わりに治具(補助工具)を作ろうにもどう作ればいいのかわからない…。ガラスの壁が立ちはだかった時は、思わず瓶を割りたくなりました。
――この問題をどうやって突破しましたか?
【ボトール】諦めて数年間放置していたのですが、ある時「両面テープを使えばいいのでは?」と閃いて、半日もかからずに治せました。「創意工夫で突破した」と言いたいところですが、時間が解決したのだと思います(苦笑)。
――ボトルガンプラで一番のお気に入りは?
【ボトール】最初期に制作した「ボトルシップホワイトベース」です。300円のキットと100均の瓶を使用したのですが、制作には5000円程投資しています。どうやれば瓶に入って、どうすれば組み立てられるのか。試行錯誤を繰り返しながら、一番時間をかけて制作した思い出深い作品です。
――今後、ボトルガンプラで制作したいキットは?
【ボトール】今、RGガンダムのボトルプラモを作成中です。パーツ割が細かいキットですが、瓶の口に入るかという点ではなかなか手ごわいキットです。現在股関節の構築方法で悩んでいます。「ボトルシップホワイトベース」が2011年作なので、RGガンダムを自分の新たな代表作にしたいと思っています。
(C)創通・サンライズ
(提供:オリコン) |
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作品:ボトルシップホワイトベース/制作:ボトール(@Joehigasi37) |
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