【オリコンニュース】
27年目『鉄腕DASH』色褪せない理由
 農業・漁業をはじめ、島の開拓などTOKIOがさまざまなことに挑戦。その真摯な姿勢での奮闘ぶりが長年にわたり愛されている『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系/以下DASH)。今年放送27年目を迎え、番組開始当初20代だったTOKIOのメンバーも40代、50代に。近年は自ら挑戦するだけでなく、かつて名人たちより学んだ技術を後輩たちへと継承し、番組に新たな風を吹かせている。長寿バラエティ番組が次々と姿を消す中、27年もの間、コンテンツ強度を保ったまま、番組を継承していく秘訣とは? 同番組のこだわりとあわせて、番組プロデューサーの田中俊光氏に聞いた。

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■「失敗って何?」TOKIOがプロデューサーに諭した“DASHの流儀”

 1995年、深夜枠での放送がスタートして以来27年。その間、形を変えながらも強度を維持し、今や日本テレビの看板と言っても過言ではないほど、人気を保ち続けている。その秘訣を田中氏に聞くと、「やりたいことをやっていることだと思います」とひと言。

「多くのバラエティ番組は、パソコンに向かって企画書を書いたり、会議室で企画を練ったりしていると思います。でもDASHでは、TOKIOさんとスタッフがロケの移動中や休憩時間などの何げない会話から企画が生まれることがほとんど。『危ないかな』『怖いかな』『できないんじゃないかな』ではなく、『どうなるんだろう』『やってみたい』『とりあえずやってみようよ』『行ってみようよ』という感じで、まずは実行に移してみる。そうやって毎回、出演者もスタッフも本気で楽しみながらロケを行っているのが、最も大きな理由なのではないかと思います」

 そう語る田中氏が、DASHと関わるようになって驚かされた流儀がある。それに気づかされたのは、TOKIOのメンバーから発せられた「失敗はない」という言葉だった。

「何かのロケのときに、僕が『先週のロケでこことここを失敗したので、今回はこんな感じで』と言ったら、TOKIOの皆さんに『失敗って何?』って言われて、ハッとしたんです。バラエティ番組ではゴールを決めて、そこに到達することを100点とすることがほとんどなので、10点しか取れなければ90点分失敗となります。ところがTOKIOの皆さんは、うまくいかなかったことは次につながるから、失敗とは思っていない。DASHの場合は10点でもいいし、今回やってみて、10点って分かったことだけでもすごいという考えなんです」

 それもまた、番組の人気を支える大きな要因といえるだろう。視聴者からすれば、TOKIOの挑戦を、リアリティをもって、一緒に体験しているかのごとく、身近に感じながら見ることができるからだ。

「60分間(1回分の放送)見たけど、結局できなくて次週に続くとか普通です。DASHでは、(番組が終了する)60分後にこれは完成しているかどうか予想できませんからね(笑)。成功した映像を撮ることが大前提になってしまうと、過剰な演出や嘘が加わる原因のひとつになる場合もあると思います。何より、DASHが大切にしているのは、成功すること以前に、TOKIOとスタッフが一緒に汗をかき、全力で取り組むこと。だからこそ、うまくいったときは一緒にガッツポーズして心から喜び合える。結果はわからない。けど一緒に真剣に汗をかいて楽しんでいるから面白い。その意味では、スポーツと似ている感じがあるかもしれません」

■一周回って親目線 番組で描かれる成長物語

 TOKIOとスタッフが一緒に作り上げてきた一体感。2019年、そこに準レギュラー的な形で、草間リチャード敬太(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)を皮切りに、森本慎太郎(SixTONES)、岸優太(King & Prince)ら若手ジャニーズの面々が継続的に加わるようになった。

「DASH島で重たい石を運ぶとき、『20代のパワーある人を呼んでいいですかね』ってことで、慎太郎さんとリチャードさんに来てもらったり、若手の方々を単発ゲストで呼んだのが始まりでした。TOKIOの皆さんも40代、50代と年齢を重ねてきていますので、一緒にできる仲間がいたほうがいいかなという感じで。そうやって体験入部みたいな形で来てもらって、お互い楽しかった。『また来たい』『またおいでよ』と、それを繰り返していくうちに、『もう入部ってことでいいんじゃない?』という感じで仲間が増えている状態です」

 とはいうものの、この展開が番組の魅力をさらに高め、長寿番組としての存在感をより増す要因になっていることは間違いない。というのもこれまでDASHでは、TOKIOに技術を伝授するさまざまな分野のプロフェッショナルが出演。例えば、農業の師匠といえる三瓶明雄さんがDASH村で、何もわからないメンバーたちに農業をゼロから教えてくれた。そこで教わった“いろは”を今、メンバーは若手に伝授。番組を継承していくために“第二世代”を育てるべく…と計画したわけではないが、視聴者の中には、若手の成長とともにその姿にかつてのTOKIOを重ねて楽しむ人も多く、番組HPには「昔が今に繋がり、今度は次世代に繋がっていく……とても感慨深かった」などの感想メールも寄せられている。

「TOKIOの皆さんも、若手に教えながら、何もわからなかった当時の自分たちのことを思い出すようで、『明雄さん、よく教えてくれたよな~』と感慨深げに口にされています。また太一さんは、3年連続で春の七草が何かを岸さんに聞いていました。岸さんは3年とも答えられなかったんですが、『俺、今、偉そうに言ってるけど、岸くんくらいの年齢のときに七草なんて言えてなかったよ』とか『岸くんは去年2個しか言えなかったけど、今年は倍以上になってて偉い』と言っています。皆さん、後輩たちの成長を一周回って、親目線のように温かく見守っていらっしゃるような気もします」

■毎年同じ「米作り」も切り取る角度で異なるそれぞれの物語

 そんなDASHならではの魅力を活かすべく、番組作りにおいては、「成長をしっかり描くこと」にもこだわっているという。

「例えば、米作りの場合、米に物語があり、米を作っている農家の人たちに物語があり、TOKIOの皆さんと仲間たちの物語もあります。ざっくり言えば米を植えて、収穫して食べているだけで毎年同じことをやっているわけですが、その裏には毎年、さまざまな物語が生まれます。それに、米を品評する人が登場して『もっと美味しくなる』という。そうすると、美味しくするためにどうすればいいのか、みんなで考える。それが物語になる。100点満点をゴールにしている番組ではないだけに、そういったいろいろな物語を、成長を軸にどう描くかが肝になると思っています」

 27年間、変わらず描かれてきた挑戦と成長の物語。そのスピリッツがある限り、番組はまだまだ続いていくだろう。今秋には28年目に突入するDASHは、今後どのような野望を抱いているのだろうか、聞いてみると……。

「とりあえず30周年に向けて、何か大きいことをしたいなというのはうっすらとあります。今、そんな話も、ロケの合間にお昼ご飯を食べながら、TOKIOの皆さんと話したりもしますけど、どうなるかなぁ。でも走り続けてきて27年、どの企画に関しても、出演者とスタッフが、DASHファミリー、TOKIOファミリーという感じで、一緒に汗をかいて、泣き笑いして、心底楽しんで作っています。歳を重ねてスピードは遅くなるかもしれないけど、まだまだTOKIOの皆さんと仲間たちの冒険は続くし、まだまだ“ダッシュ”していきたいと思っています」

 2019年に東京湾海の環境再生賞「国土交通大臣賞」を受賞したり、これまでのさまざまな取り組みから、現在では、SDGsの面でも注目を集めている『ザ!鉄腕!DASH!!』。だがそれも、「おもしろいと思ってやってきたことが、結果、地球のためにいいことだったというだけ」とサラリ。TOKIOと仲間たちのアンテナが次はどんな「やりたいこと」をキャッチし、楽しませてくれるのか。さらなる成長物語に期待したい。

取材・文/河上いつ子

(提供:オリコン)
TOKIOと若手ジャニーズの面々が一緒に汗を流す27年目の『ザ!鉄腕!DASH!!』 (C)日本テレビ
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