【オリコンニュース】
河合&板尾、『上下関係』語る
 6月20日に閉幕した米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭『ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2022』(SSFF&ASIA)で、映画祭特別賞を受賞したLINE NEWS「VISION」の縦型ミステリードラマ『上下関係』。本作で、青森から上京してきたヒロインを演じた河合優実と、刑事役の板尾創路が、縦型映像作品に出演した感想やショートフィルムの魅力などを語り合った。

【動画】”実験的”縦型ドラマ『上下関係』

 映画祭特別賞は、ショートフィルム文化の発展、表現の可能性にチャレンジした作品や人物に贈られる賞。映画『恋する寄生虫』などの柿本ケンサク監督が、LINEが運営するスマートフォン向けのニュースサービス「LINE NEWS」の動画プロジェクト「VISION」シリーズとして、縦型のミステリードラマの表現に挑戦した。

――俳優として縦型ドラマに参加して、これまでの映像作品との違いを感じたことはありましたか?

板尾:役者はあくまで撮っていただく側なので、画角が縦だからといって、演じ方が変わるかと言われれば、特別意識したことはなかったですね。まあ、縦だと映る領域が狭いので、おいしいところが画角から外れてしまうと「もう一回」とテイクが増えることはありました。でもそれがストレスに感じることもなかったです。

河合:クランクインする前は、例えば横に大きく動き過ぎたらカメラから外れてしまうのかな……みたいなことが気になるかなと思っていたのですが、実際現場に入ると、柿本監督がまったく制限的なことをおっしゃらなかったので、縦型ということを意識して芝居をした記憶は正直なかったです。

――実際縦型として映像が切り取られた作品をご覧になって、どんな感想を持ちましたか?

河合:これまでの作品は、人物が中央にいた場合の余白が左右にあったのですが、縦型だとそれがないので、最初は慣れないところはありました。スマホで撮る写真など見慣れているはずなのですが、そこは不思議な感覚でした。でも寄りのカットが、いつもの作品よりもより寄っている感じがして、視線の逃げ場がないので、画面に映っている人との距離が近いなと思いました。

板尾:そうだね。特にワンショットのシーンは、こちらに語りかけてくるように感じられるので、メッセージが伝わりやすいなと思いました。寄りだけの会話だと、こちらと話しているような没入感がありますね。なんか電話でしゃべっているような感じかな。

――先ほど撮影前は特に縦型だからと言って演じ方に違いはないとお話されていましたが、出来上がった作品を観て、次もしまた縦型作品に出演するとなったら、意識は変わりそうですか?

板尾:どうなんでしょうね。思ったのは、撮る監督によって全然違うのかなということ。柿本監督は、こちらに縦型を意識させない演出でしたけれど、人によっては結構狙ってくるだろうし。なにぶん経験が浅いので、正直なにが正解か分からない。そこは難しいですね。

――板尾さんはご自身でも映画を撮られますが、縦型で映像を撮るならどんなものを撮りたいですか?

板尾:没入感があるので、私小説的な題材はいいかもしれませんね。逆に学園ものとかは厳しいかも。クラスメイトとのやり取りや、クラブ活動などの描写は縦型だとあまりイメージが湧かないかな。なんとなく思い浮かぶのは、撮る側の目線が意識できるような作品。誰の目線だろうという意識を持てるような題材はいいかもしれません。

――1話5~10分ぐらいの作品の撮影というのは俳優としていかがですか?

河合:今回ほぼ順撮りだったということもありますが、ストーリーを追っていく意味では、長編とそこまで違いは感じませんでした。また撮影もシーンを重ねていくことに変わりがないので、特にやりづらさもありませんでした。

板尾:普段のドラマとあまり変わらなかったかな。ただテンポよく進んでいく感じはあったので、その意味ではやりやすい部分もありました。

――10話のストーリーを繋げて105分の物語として上映されました。こうした試みは?

河合:「LINE NEWS」の「VISION」というフォーマットは携帯で観るということを前提で作られたものですから、板尾さんがおっしゃられたように、没入感がありますよね。それをスクリーンで長時間にわたって観るとどうなるのか――まったく違う感覚になるのかなという楽しみはあります。

――本作は『ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2022』(SSFF&ASIA)で映画祭特別賞を受賞しました。それぞれショートフィルムの魅力はどんなところにあると思いますか?

河合:長編映画というのは、約2時間のなかで思いを積み重ねて作品のメッセージを伝えるものかと思うのですが、ショートフィルムというのは、ひとつひとつのシーンごとの空気感とか、より瞬間的なものを込めてもいいのが魅力だと思います。

板尾:観る側としては手軽に観賞できるので、いろいろなジャンルのものをたくさん観ることができるのは魅力ですよね。なかなか長い作品だと、1日に何本もということが難しいじゃないですか。まとまって観ることで、いい意味でほかの作品との比較もできるし、食わず嫌いで逃していたものと出会えて新たな発見もある。そういう楽しさがあると思います。

――SSFFでは、WOWOWが企画した俳優が監督を務める「アクターズ・ショート・フィルム」で制作された作品がジャパン部門にノミネートされました。河合さんは映画を撮ってみようという思いは?

河合:私は脚本をもらったとき「これをどうやって皆さんと作り上げていくのか」という過程にワクワクするので、映画監督というのはとても興味はありますが、いまはまだその段階ではないと思います。お芝居もそうですが、もっといろいろ勉強すべきことはたくさんあると思うので。生半可な思いで手を出したくないという感覚があります。

――本作『上下関係』は映画祭特別賞を受賞しましたが、どんなところを観てほしいですか?

河合:いろいろ話をしていて、スマホで縦型の映像を観る大きな魅力は没入感だと改めて思ったので、登場人物の視点で夢中になって観てほしいです。

板尾:全編が繋がったものを観たいなという思いもありますが、1話が短いので、何度も観ることで、いろいろな発見がある物語だと思います。また僕が観ていて思ったのは、シーンでスクリーンショットを撮りたくなるような瞬間が結構あるんです。そういう一つのシーンを切り取ったとしても深いものが感じられる作品になっていると思います。(取材・文・撮影:磯部正和)




(提供:オリコン)
縦型ドラマ『上下関係』の可能性を語った(左から)板尾創路、河合優実 (C)ORICON NewS inc.
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