【オリコンニュース】
吉岡里帆×中村倫也、インタビュー
 世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの“生みの苦しみ”を描いた、“胸熱”お仕事ムービー 『ハケンアニメ!』(5月20日公開)。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳役の吉岡里帆は「10年先にも心に残る作品になったと思います」と自負。彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴役の中村倫也も「僕らで名シーン作っちゃった」と語るなど、自信を持って本作を世に送り出す。

【動画】吉岡里帆『ハケンアニメ!』特別映像

――アニメと実写の違いはあっても、劇中のセリフにもある「10年先にも心に残る作品を」「刺され、誰かの胸に」という思いに共感したのではないでしょうか?

【中村】10年と言わず、何十年と心に残ってほしい。普遍的なテーマのある作品も、今まさにドンピシャな現代的な要素を追求した作品もいろいろありますが、何十年経っても楽しんでもらえるような作品にしたいと常に思います。名作と呼ばれるものに、時代は関係ないですから。

【吉岡】私にとっての『ピンポン』(2002年)や『花とアリス』(2004年)のような、何回でも見返したくなるような、いつでも見られるようにDVDを持っておきたくなるような、そんな作品を残していきたいと思っています。この『ハケンアニメ!』も10年先も心に残る作品になったと、私は思っています。

――お二人は、昨年上演された劇団☆新感線の『狐晴明九尾狩(きつねせいめいきゅうびがり)』で共演していますが、本作の撮影はその前に行われ、瞳と王子が一緒に登壇するアニメイベントのシーンが初対面の場になったそうですね。

【中村】吉岡さん、泣いていたんですよ。

【吉岡】感極まってしまって(笑)。中村さんと共演が初めてなのもありましたし、私が演じている斎藤瞳自体も王子に会うのは初めてで、すごく緊張していました。王子は、瞳がずっと憧れていていた人、彼女の人生を変える作品を作った神様みたいな人、この人のおかげで瞳は自分の人生を肯定することができたんだ…、と思ったら、胸が張り裂けそうになりました。同じ舞台に立って作品の発表ができる喜びと恐怖で震えました。でも、一番大きかったのは、やっぱりありがとうの気持ちです。そして、王子の長ゼリフは印象的でした。

――あの場で瞳は「覇権をとる」と啖呵(たんか)を切り、王子は自身も含めたアニメを愛する“オタク”への思いをまくし立てる。

【中村】あの場で王子はどんなヤバいことを言ってもカリスマとして称賛される、それを成立させられるだろうか、とすごくプレッシャーを感じていました。そして、ふと吉岡さんを見たら、『えっ? 泣いてる?』って。現場で吉岡さんは『涙が出るとは思ってなかった』と言ってて、僕もそんなになると思っていなかった。台本で読んでイメージしていたものより、台本に書かれていた情報量より、あの日生まれたあのシーンの芝居は、すてきなものになったんじゃないか。現場でもそう思いましたけど、完成した映画を観て確信しました。僕らでちょっと名シーン作っちゃったなって、思っています。

――本作のキャッチコピーは「好きを、つらぬけ。」。お二人とも、自身の中の「好き」を貫き続けた結果として“いま”があるのでは?

【中村】役者で食っていこうと思って、今こうして役者をやらせてもらえている。ここまでくるのに、僕は十数年かかっています。その期間を考えると、腐っていた時期もありましたが、頑張ってよかったと思える。吉岡さんも、きっとはつらつとした笑顔の裏ですごく努力してきたんだろうな、雑草魂みたいなものがあるな、と勝手にシンパシーを感じていました。今、それを口に出してみました(笑)。

【吉岡】ありがとうございます。確かに、周りからどう思われていたとしても、いろいろ頑張ってきたから今があるんだ、という自信があります。おっしゃる通り、雑草魂です。転んでもただでは起きぬというのがモットーです(笑)。

――最後に、吉岡さんから完成した映画を観ての感想を含め、本作のことが気になっている人へメッセージをお願いします。

【吉岡】『ハケンアニメ!』を試写で観たとき、素直に、良い作品ができたからたくさんの方に観てほしいと思いました。撮影中はまだ完成していなかった劇中アニメを観て鳥肌が立ち、どれだけ多くの人の手で完成したんだろうと密度の高さに参加者として誇らしい気持ちになりました。頭の中で描いていた物が少しずつ具現化する感動を、作品が人々に届く感動を、ぜひ観に来ていただきたいです。アニメクリエイターたちのカッコ良さが詰まっています。

(提供:オリコン)
映画『ハケンアニメ!』(公開中)で共演した吉岡里帆、中村倫也(撮影:松尾夏樹)(C)ORICON NewS inc.
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