【オリコンニュース】
ニッチな調味料の秘めたるチカラ
 「紹興酒」と聞いて「ああ、中国のお酒ね」とピンと来る人は多いはず。料理をよくする人であれば、中華料理の調味料に使われることも知っているかもしれない。しかし、実際に料理に使った経験がある人は少ないようだ。ハードルが高そうなイメージとは裏腹に、チョイ足しするだけでおうち中華を本格中華的にしてくれる紹興料理酒。料理系YouTuberの台頭が示すように、世間の料理への興味は年々増加傾向にある。紹興料理酒の奥深いポテンシャルとお手軽な使い方について知ることで、簡単に“お店の味”を再現できる、まさに“プロ泣かせ”の調味料といえるだろう。

【グラフ】料理紹興酒ってみんな使ってるの? 認知率&使用経験を調査

■自宅で紹興料理酒を使用したことがある人は25%と低認知

 具材をサッと炒めて調味料を振るだけで、立派なメインの1品になる…そんな中華メニューが「食卓の定番」になっている家庭は多い。しかし、昨今はおうち時間を楽しむため、料理をする人が増えたことから、本格志向のスパイスや調味料がよく売れている傾向があるそう。

 家で作る中華料理にも変化はあるのだろうか? ORICON NEWSでは、全国の20~60代の男女1781人を対象に、本格中華料理に欠かせない調味料である「紹興酒」の利用実態調査を実施。ところが、「飲料の紹興酒」については全体の85.1%が【知っている】と回答したものの、「料理用紹興酒」はグンと下がり25%と低い認知度に止まった。

 この結果を受けて『日の出 紹興料理酒』を製造・販売するキング醸造株式会社のマーケティング戦略課リーダー・馬場達也さんは「ニッチな商品ですので、おおよそ予想はしていました……。でも逆を言えば、まだまだ伸びしろがあるということだと捉えています!」と前向きに答えてくれた。

 ちなみに料理用紹興酒を【知っている】と答えた層に利用経験を質問したところ、全体の28.5%が【使ったことがある】と回答。その中でも「毎日料理をする人」に絞ると36.6%が【利用経験あり】とやや高い傾向になった。

 この結果から、紹興料理酒を使っている人は、たまに作る凝った本格中華だけでなく、ごく普通の“おうち中華”にも利用しているのでは? と推測できる。実際はどうなのだろうか。

■ただ炒めるだけでお店の味? ひとかけで高まる“美味しさのポテンシャル”

 料理用紹興酒の利用経験者に「作ったことのある料理」を尋ねたところ、1位が【青椒肉絲】、2位が【麻婆豆腐・麻婆茄子】、3位が【酢豚】という結果となった。同社の製品開発課チーフ・安井優さんはこの結果に深く頷く。

「油との相性がいいですから、炒め物には本当によく合いますね。加熱工程にひと回し入れてあげるだけで、本格中華ならではの香りが立ちます。アンケートには上がっていませんが、普通の野菜炒めに使うだけで『お店の味になる』とおっしゃった方もいました。普段、清酒系の料理酒を使ってお料理されている方なら、すぐに違いに気づいていただけると思いますよ」(安井さん)

 たしかに清酒系の料理酒ならだいたいの家庭にあるため、中華料理にも使う人は多いだろう。それでも紹興料理酒でしか出せない「美味しさ」があるはずだ。

「紹興酒には『3年以上貯蔵熟成させる』という製造上のルールがあります。紹興酒はアミノ酸や有機酸などのうまみ成分を豊富に含むのが特徴ですが、熟成期間を経ることによりメイラード反応(糖とアミノ酸による反応)が起こり、コクや香りが増します。熟成による香やうまみ成分が、中華料理の複雑な風味と深いコクを生みます。一方で清酒はフレッシュさが大切ですので基本的に熟成期間は設けません。そんな淡い味わいが和食に合うんですね。そして中華ならではの重厚な味わいを引き出すには、やはり紹興酒が合うんです」(安井さん)

 ちなみに「料理用紹興酒で作ったことのある料理」アンケートの4位は、おうち中華の基本中の基本とも言える【チャーハン】だった。

「チャーハンもいいですね! 仕上げに鍋肌に沿って加えると香ばしく仕上がります。もっと簡単な使い方ですと、市販の中華の素やお惣菜にプラスするのがオススメです。紹興酒を大さじ1ほどかけて加熱するだけで、さらに本格的な味わいが楽しめますよ」(馬場さん)

■ニッチが故に売上は低空飛行…それでも発売し続けた理由「根強いユーザーが支え」

 紹興酒には厳格な定義があり、浙江省・紹興地方の鑑湖の水を使って醸造すること、3年以上貯蔵熟成することなどを守らなければ「紹興酒」を名乗ることはできない。さかのぼること35年前、『日の出 紹興料理酒』はそこにさらに塩を加えて醸造し、調味料としての効果をアップさせた。

 しかし当時は現在よりもさらにニッチな調味料だったため、売上は難航。一時は製造・販売を休止する憂き目にもあっている。その後、家庭料理が多様化した2000年頃に再発売したところ、主に料理にこだわる層から大いに歓迎された。

「そこから約20年、売上が大きく伸びることも下がることもなく現在に至ります。再発売以来、継続して使っていただいている愛用者さんたちに支えられているとも言えますね。販売店さんが取り扱わなくなると、『あれがないとうちの味にならないんです』といった問い合わせがよく入る商品でもあります」(馬場さん)

 とは言え、根強いユーザーがいても新規利用者が増えない商品はいつかは存続の危機を迎えるもの。家で料理をする人が増えた今、キング醸造では「もっと気軽に使ってもらいたい」と同商品を従来品よりもコンパクトサイズにリニューアル。家庭でより使いやすい300mlのペットボトルで全国発売したばかりだ。

「もっとサイズを小さくしてもいいんじゃない? という声は愛用者さんたちからもいただいていました。紹興料理酒は清酒系の料理酒よりも個性が強いので、少量でもしっかりした風味がつくんです。だから使い始めはチョイ足しで十分。使い慣れたら唐揚げの下味に揉み込むなど使う量もだんだん増えていくかもしれませんが、まずは試していただけたらうれしいですね。あくまで料理酒ですので、普段からお料理をしている方であればすぐに応用がイメージできると思いますよ」(安井さん)

 外食がままならない昨今、家庭料理を少しでもおいしくしたいと思っている人は多いはず。かと言って、毎日の料理に凝りまくるのも難しい。そんな今こそ、普段のおうち中華を簡単にグレードアップできる紹興料理酒の秘めたるチカラは、ある意味「気づいちゃったモノ勝ち」の“禁断の調味料”なのだ。

(取材・文/児玉澄子)

(提供:オリコン)
ニッチな調味料?おうち中華を本格的な味に変える『紹興料理酒』とは
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