【オリコンニュース】
精神科医に聞く“孤独”の影響
 新型コロナウィルス第3波の影響もあり、閉塞感の漂う昨今。ただでさえ少子化、晩婚化の進む日本で暮らす人々が、さらに孤独に陥りやすい状況に。相次いだ芸能界での自死報道にも、“孤独”が引き金になったとの見方もある。現代人にとって、避けては通れない孤独について、メンタルヘルスとしてはどのように扱うのか? 著書『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)が好評の精神科医・樺沢紫苑氏に聞いた。

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■孤独であることが、メンタルや健康をむしばむ原因に

――昨今は少子化や晩婚化が進み、さらにコロナ禍も重なって、孤独を感じている人も多いと聞きます。孤独が招くひきこもり、孤独死などの問題もありますが、樺沢先生はどのようにお考えですか?

 「日本のある調査によると、『本当の友だちが0人だと思う』と答えた人は、男性で約4割、女性で約3割にも及びました。親友や信頼できる友だちがいない人は意外に多く、『深い友だちがほしい』と願う反面、コミュニケーションの面倒くささや苦手意識との葛藤も見受けられるように思います」

――精神科医として、友だちは必要だと思いますか?

 「メンタル疾患の患者さんに、『今まで友人や家族など、誰かに相談しましたか?』と質問すると、ほとんどの患者さんが『していない』『相談できるような友だちがいない』と答えます。誰にも相談できないから1人で抱え込まざるを得ず、それが心をむしばみ、メンタル疾患に陥る例は多い。ガス抜きになるアウトプットが必要という意味では、友だちは必要でしょう。ちなみに、友だちや家族がいない孤独な状態は、健康にも悪いことがわかっています。孤独による健康へのリスクは、タバコを1日15本吸うことや、肥満者の死亡率の2倍に匹敵するとも言われます。

――とくに大人になると、友だちを作るのは難しいと思うのですが。

 「友だちは勝手にできるものではありません。友だちも恋人も、自分がしかるべき行動、アプローチをしない限りできないんです。何回も会って親密度を上げていく。積極的に人と関わる姿勢を持たない限りは、そのままになってしまいます。逆に言えば、孤独な人は友だちや恋人が欲しいと思っている人が多いので、最初は同じような状況の人たちと仲良くなればいいのではないかと思います」

――同じ孤独な人と、ということですね。

 「外交的で陽気な人はコミュニケーションの中心にいるので、ついついその人の周りに集まろうとしてしまいます。でも、そうじゃなくてもいい。その輪から外れている人たち同士で、仲良くなっていいんです。内気な人同士、コミュニケーションがとりやすいということもあると思います」

――先生の著書にあった「仲間がいれば友だちはいらない」という言葉は目からウロコでした。

 「友だちというと、敷居が高いと感じる人もいるでしょう。友だちの場合は、つながりの原動力が友情ですが、仲間はビジョンや夢、目的が原動力になります。つまり、共通の目的を持って集まっている人たちですね。だから部活に入れば、その部活の目的のために仲間で一緒にがんばることができる。趣味サークルでも、同じく仲間は作りやすいと思います」

――「仲間がいれば友だちはいらない」理由はなんですか?

 「たとえば誰かとバンドを始めるなら、それはバンド仲間になります。仲間関係が深まれば、そこから親友が見つかることもあります。さらには、仲間がいれば寂しくないし、目的が一緒なので精神的にもつながりやすい。逆説的に、友だち関係よりもプライベートに踏み込みすぎない分、重たくない。つまり、仲間がいれば、『友だちを作らなければいけない』『友だちがいないから孤独だ』という悩みから解放されるんです。仲間を中心にした人間関係を意識してみてください。友だちを作るのはそもそも難しいものなので、何かのコミュニティに所属することで仲間を増やし、うまくいけば友だちに変化する。そうでなくても、孤独ではなくなるはずだと私は考えます」

(文:衣輪晋一)

Profile
樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家。1991年、札幌医科大学医学部卒。樺沢心理学研究所を設立。YouTube登録者25万人、メルマガ10万人、Facebook12万人、Twitter12万人など、インターネットメディアで圧倒的なフォロワー数を抱える。YouTube『精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル』では、2500本以上の動画をアップしている。『アウトプット大全』など著書多数。

■「日本いのちの電話」
ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)
フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)

(提供:オリコン)
著書『ストレスフリー超大全』が話題の樺沢紫苑氏
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