【オリコンニュース】
米倉涼子の“居場所”とは?
 俳優の米倉涼子が主演するAmazon Original ドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(全6話)が、動画配信サービス「Prime Video」で3月17日より168の国や地域で配信が始まった。海外で亡くなった人の遺体を、国境を越えて遺族に送り届けるスペシャリスト「国際霊柩送還士」たち活躍を描いた“一話完結”の感動のヒューマンドラマ。米倉は、海外で亡くなった日本人や、日本で亡くなった外国人の遺体を母国へ搬送する国際霊柩送還士・伊沢那美(エンジェルハース社社長)を演じる。

【動画】ドラマの魅力を5分にまとめた特別映像

――原作のノンフィクション(著:佐々涼子/集英社文庫)をご存じだったそうですね。

【米倉】この本、読んだことあったけ?と忘れちゃうことも多い中、この原作ノンフィクションは10年くらい経っても忘れられない1冊です。「国際霊柩送還士」という職業があるんだ、というところから、ご遺体を扱うことの大変さ、海外から日本へ、または日本から海外へ運ぶ事務手続きの煩雑さを知りました。ご遺体は物理的に重いので、ご遺族に届ける前に修復したり、死化粧をしたり、着替えさせたりするのも一苦労です。誰もがやりたいと手を上げるような仕事ではないけれど、誰かがやらなければならない必要な仕事。それを「自分の仕事だと思えた」ときっぱり言える境地にまで行きついた女性のストーリーに衝撃を受けました。事務的な対応をすることだってできるけど、彼女は思いっきり泣いて、思いっきり頑張る。心を込めてご遺体と向き合い、故人とご遺族のパイプ役を果たし、ご遺族が前向きに人生を歩めるように手助けをしている。その仕事ぶりに感銘を受けました。

――米倉さんが演じる那美は、国際霊柩送還士の仕事は「自分の仕事」と誇りを持っていらっしゃる原作の主人公・木村利惠さんがモデルですが、どのように演じようと思いましたか?

【米倉】100%全力でなりふり構わず仕事をする一方で、お買い物も好きで、おいしいものにも目がないおばちゃん、という感じを出せたらと思いました。モデルとなった利惠さんがまさにそうで、革ジャンやスカジャン、原色の洋服を着こなし、さりげなくブランド品を身につけ、食事にもすごくこだわりがあって、手作りのお弁当の差し入れをしてくださるなど気配り上手な方でした。普通の人の3倍ぐらいパワフルで、フレンドリーで、人をフィルター(色眼鏡)にかけてみない。生身の人間だからきっと弱いところもあると思うのですが、それにもひるまない人なんだろうな、と感じたので、私も心のエネルギーを満タンにして表現したいと思いました。

――ドラマは、『コンフィデンスマン JP』シリーズや、大河ドラマ『どうする家康』の脚本でも注目されている古沢良太氏と、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』シリーズや『緊急取調室』シリーズなどヒットドラマを手がける香坂隆史氏による、涙と笑いと感動に満ちたオリジナルのエピソードが紡がれていきます。第1話で、大企業で働くも“自分の居場所”がないと感じ転職してきた新入社員の高木凛子(松本穂香)に、那美が「居場所なんてどこにもない、みんな無理やり作っているんだ」と言うせりふがあり、“居場所”というテーマを感じました。ご遺体がどこにあるかという“居場所”から、亡くなった後の“居場所”、ありのままの自分を受容される場としての“居場所”などです。

【米倉】そのせりふを読んだ時にハッとしたんですよね。就職活動をして会社に入っても、向き不向きとか、好き嫌いとか、やってみないとわからないですよね。私も、この仕事に落ち着くなんて、思ってもみなかったことです。でも、ほかに何かあっただろうか、と考えると、トリマーになりたいと思っていたけど、なったとしてちゃんとやれてるかな?と思うし、デスクワークは…きっとできてないと思うし(笑)、やっぱりこの仕事なのかもしれないな、と思います。自分のスキルが足りているかと言われると、まだまだですが。

 人それぞれ居場所を見つけていくのが人生なのかもしれないし、割と早く一発で見つかる人もいるかもしれないし、一生見つからずに終わるかもしれないし、そう考えると、「居場所なんてどこにもない、みんな無理やり作っているんだ」というせりふも腑に落ちるというか。結局、自分が請け負ったものをどれだけ一生懸命やれるか、ということだと思います。

――那美は「死を扱うことは、生を扱うってこと。残された人は前を向いて生きて行かなければならないから」という信念を持って、自分が請け負った国際霊柩送還士の仕事に、全力を尽くしている人ですね。そんな彼女が主人公の本作について、視聴者にメッセージをお願いします。

【米倉】このドラマでは、誰も予期していなかったことが、毎話、起こります。自分の身にも起きるかもしれない、というのはわかるんだけれど、それを期待している人はいないわけで、「死」に至るまでは「生」があるわけだから、「生きる」ということを無駄にしてはいけない、と思いました。そして、どんな仕事にも、誇りを持って、心を込めて働いている人たちがいるということに思いを馳せていただけたらと思います。

(提供:オリコン)
Amazon Originalドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(全6話Prime Videoで配信中)主演を務めた米倉涼子(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.
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