Amazon Prime Videoが配信する恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』シーズン4に参加したシンディ(桑原茉萌)氏は、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)の摘出手術を受けたことを5月に自身のSNSでリアルタイムに報告していた。
【写真】酸素マスクをつけて…入院中の桑原茉萌
『バチェラー・ジャパン』シリーズ参加者の「今」について追求する本連載の第四弾(後半)ではシンディ氏が病魔と戦う姿と、手術を通して得た新たな目標についてじっくりと話を聞いた。
病気、そして手術への不安に打ち勝ち、多くの女性を勇気づけたいと笑顔で語るシンディ氏。その姿は、同じ悩みを抱える女性にとってパワーを与える存在になるだろう。
■術後3日で仕事を再開 インタビューは術後2週間
――闘病生活について聞かせてください。5月24日に卵巣のう腫の摘出手術をお受けになったばかりとのことですが、お身体は大丈夫ですか?
シンディ:全然、元気です。実は退院して3日目から仕事を再開しています。18歳のときに既に30センチほどの大きさののう腫摘出を経験しており、当時は精神的にも肉体的にもすごくつらかった。その記憶が鮮明に残っているからこそ、今回の8センチののう腫は自分の中では、かすり傷程度のことで、3日目からはもう元気でした。
――手術したら1ヶ月くらいは動けないイメージがあったので、まさか2週間でご本人とお会いできるとは思ってもみませんでした。
シンディ:皆さん手術となると、そういうイメージを持たれる方が多いと思います。そのイメージがあるからこそ、なかなか検診に行きにくいし手術を選択しにくいのだと思いました。インスタグラマーの私が手術終わりに活発に動いていたら誰かの勇気になるのではという思いもあり発信をしています。賛否両論ありましたが、同じ病気や手術を控えている方たちから「意外とすぐ動けるようになるというのを見て手術を決めました」という言葉が実際に届きました。自分の生き方をSNSで発信することで人の役に立てるのは嬉しいことです。手術という重いイメージをもう少し軽くして、意外と大丈夫だということが伝わったらいいなと思いますね。
■「手術の傷跡は勲章」と考えてほしい
――YouTubeの動画では改めて病気について女性に発信していきたいとおっしゃっていましたね。詳しく聞かせてください。
シンディ:卵巣腫瘍は子宮がん検診に参加すると見つかることが多いのですが、その子宮がん検診は市や区から無料で検診に参加できる受診券が届くということを多くの人に知ってもらいたいと思っています。実は無料で検診に行けるのに、多くの人がスルーしてしまっているのが現状で。無料で自分の命が助かるのであれば、やった方がいいと思うんですよね。だから市や区からくる子宮頸がんの検診のお知らせを無視せずに、一歩踏み出す勇気を持ってほしいと思っています。あと、やはり体に傷がつくことはすごく怖いと思うんですよ。私も実際にグラビアや、水着で踊る仕事をしていたので、仕事に支障があるから傷がつくのは嫌だという気持ちは強かったです。ですがそれを、「傷跡は勲章」と思うようにして「この勲章があるからこそ今の私がいる」と、多くの人がプラスの考えにシフトチェンジしてくれたらうれしいです。
――検診に行って早期発見することのメリットはなんだと思いますか?
シンディ:早期発見の一番のメリットは、手術での痛みがまるで違うというところですね。30センチのときと今回の8センチではかなり痛みに差があって、入院期間も異なります。わかりやすく言えば、30センチの時は1ヶ月入院しましたが、今回は1週間程度で退院できている。早期発見することにより体への負担が減るので、皆さんには絶対検診に行ってほしいですね。
――ちなみにシンディさんは何がきっかけで病院に行ったのでしょうか。
シンディ:私の場合は18歳の頃からずっと定期検診に通い続けているので、その中で発見し、経過を見ていました。『バチェラー・ジャパン』の配信が終わったタイミングで、お医者さんと相談し、そろそろ摘出したほうがいいとのことで手術を決めました。卵巣は痛みが出にくく気付かれにくいみたいで、私も痛みはありませんでした。だからこそ、検診に行くしかないんですよね。
――まさに実体験したからこその声ですね。
シンディ:医療従事者ではないのにこういう発言をすることについて、疑問を持つ方の意見も聞いています。でも経験しているからこそわかること、伝えられることが絶対にあると思うので、私がこの経験を語ることで、誰かの役に立てればと思っています。
■新たな夢は、子宮がん検診を促進する活動をすること
――病気を公表したことで、勇気付けられた体験があれば教えてください。
シンディ:私自身、2回目の手術で、これから妊娠できるのかという不安がありました。ある時少しだけストーリーズに載せたら、同じ病気を乗り越えた女性や、今同じ病気に立ち向かっている女性からのメッセージが何百通も届いて。実際に2回手術された女性からは「妊娠して今は子供を3人産んでいます」とか「男の子を育てています」とメッセージを頂き、すごく救われました。私が発信することで背中を押してあげられる女の子もいますし、発信することで届くメッセージに私自身も救われています。
――今後の活動についての構想があれば、具体的に教えてください。
シンディ:検診を促進している団体さんと活動していきたいと思っています。例えば、「子宮頸がん検診」という名前だと行きにくいと感じると思うんです。なので「ビューティー検診」など名前を工夫したら、多くの方が親しみを持って検診に参加できるのではないかと考えています。まだ手探りですが、自分にできることがあればボランティア活動やイメージガールのような仕事もやりたいですし、医療従事者の方と一緒に何かができたらうれしいなと思っています。
――最後に、同じような悩みや不安を持つ方に、エールをお願いします。
シンディ:試練は乗り越えられる人にしか与えられないと思います。私も18歳の頃に病気がわかったときは、死んでしまうんじゃないか、などマイナスな気持ちになってしまうことも。でもその経験があったからこそ、人生は1回きりだということに気付けて、こうやって色々な仕事をしようと思えました。乗り越えたら違う世界が見えてきます。「私だからこそ、この病気になっているんだ」と気持ちを切り変えることができれば、恐怖を乗り越えて活力が湧いてくるんじゃないかと思います。「君なら大丈夫だよ」って神様が背中を押しているんだと思います。
(取材・文:Nana Numoto)
(提供:オリコン) |