【オリコンニュース】
R-1優勝から3年 濱田祐太郎の現在地
 視覚障がいがありながら磨き上げた話芸で2018年の『R-1グランプリ』で優勝。一躍、時の人となった濱田祐太郎。松本人志や立川志らくらにその芸を認められる一方、現在は舞台やラジオを中心に活躍している。自身も「思い描いていた理想とは違う」と話すものの、当時とは異なる“視野”を持ち合わせ、さまざまな経験を積んできた。R-1優勝から3年、彼が見てきた世界とは?

【写真】R-1チャンピオンになって1年で5キロ増…衣装パツパツの濱田祐太郎

■「僕のネタを見て、笑えないと思っても、多少はしょうがない部分なのかなと」

――濱田さんといえば、未だ抜かれていない史上最多エントリー数だった2018年の『R-1グランプリ』優勝者です。優勝前と後で変わったこと、想像と違っていたことはありますか?

【濱田祐太郎/以下濱田】『R-1グランプリ』で優勝したころまでは、正直、テレビメインで活躍できたらいいなと思っていましたね。今もバラエティ番組にはたくさん出たいと思っています。でも、テレビはあまり増えなかったですね。ただ、思い描いていた理想とは違いますけど、今この現状がものすごく嫌なわけではないです。

――現代のバラエティ番組が、ひな壇やロケ、ドッキリが多いということもあり、どこか気を遣われていると感じることありますか。

【濱田】どうですかね。それは当事者の僕ではなく、作り手側に聞いたほうが良いと思います。制作の現場で「僕が出る」ということは果たして議論されているのか。されていないのであれば、それは面倒だからしていないのか、はたまた芸人として使えないからしていないのか。そこらへんは知りようがないので。僕は仕事の依頼があったら受けるだけなので、呼ばれればトークバラエティにも行きますし、なんなら『逃走中』(フジテレビ系)とか、ドッキリだって、仕掛け人として周りの人間を振り回します。

――濱田さんが『R-1グランプリ』で優勝してから3年という月日が経過しましたが、制作側の意識が変化していると思いますか?

【濱田】制作側やメディアの意識の持ち方はあまり変わっていないと思います。番組や記事を作る側の人は、SDGsとか多様性とかやたら言いますが、そのために自分が何か変えようとしましたか、と聞きたいですね。
 これは、仕方ないことなのかと思いますが、こういうインタビューなどでもだいたい「視覚障がい者とお笑い芸人」という2点で質問されるんですよね。昔、ネタ番組に出たときにも、「バリアフリー漫談っていうキャッチコピーをつけたいけどどうですか」と言われて、そのときテレビでネタをやるのがほぼ初めてだったので「わかりました~」と言ったけど、心の中では「ダッサいキャッチコピーやな」って。
 多様性と声高に言っている人たちが、それとは異なる矛盾することをやっているケースを見てきたので、そういう人たちのいう多様性は信用できないですね。

――なるほど。では、芸人仲間や視聴者の変化はどうでしょうか?

【濱田】僕の周りにいる芸人の場合は、わりとフラットなので、ネタになって面白いのであれば、見えているとか見えていないとか関係ないと思っていると思います。視聴者はどうでしょうか?僕のネタを見て、痛々しい、かわいそうということが先に来て、笑えないと思われても、多少はしょうがない部分なのかなと。ただ、僕自身は、自分が面白いと思うことをやっていくだけなので、それを見て笑ってくれる人が少しずつ増えていけばそれはいいかなと思っています。

■視覚障がいを持つ芸人がラジオに向いていない理由

――テレビ中心にお話をうかがいましたが、先ほどのお話の中で「思い描いていた理想とは違いますけど、今この現状がものすごく嫌なわけではない」とおっしゃっていました。それはどのようなことでしょうか?

【濱田】ラジオの面白さに気づけたことですね。テレビとか舞台上ではできない笑いができると思うので、これもすごいなと思います。

――もともとラジオは結構聴かれていたのですか。

【濱田】いいえ。それまであまり聴いていなかったんですが、R-1優勝がきっかけで聞くようになりました。優勝の副賞で冠番組の特番をもらえたんですが、僕、もともと爆笑問題さんの漫才が好きで、太田さんと対談したいと言っていたら、実際に対談させてもらえることになったんです。それで、特番のスタッフの人たちが資料として、爆笑問題さんのラジオの音源を送ってくれて、「なにこれ、ラジオめっちゃおもろいやん!」と思ったんです。

――今はご自身のラジオ番組のほか、YouTube『濱田祐太郎のはまゆうチャンネル』でも「ラジオ」を配信していらっしゃいます。

【濱田】昨年5月からラジオ関西で第5週の金曜日にやっている『濱田祐太郎のぽこいちラジオ』という番組があって、一人しゃべりを1時間ぐらいするんですね。それで一人しゃべりって面白いなあと思ったんですが、1年に4~5回しかないので。それを周りの人に話したら、「YouTubeでラジオをやっている人も結構いるよ」と言われたのがきっかけでYouTubeでも始めました。

――ラジオならではの良さはどんなところでしょう。

【濱田】言葉でしか伝えられない部分があるかわりに、言葉を使えば何をやってもいいところですね。

――ご自身の話芸とも親和性が高いと思うのですが、やってみて、ラジオがすごく向いているという手応えを感じましたか。

【濱田】周りの人からもたまに「目が見えてない人は、その分言葉で伝える技に長けてる場合が多いやろうから、ラジオに向いてるんじゃない?」と言われるんですけど、それはむしろ逆で。1時間とか2時間のラジオとなると、映画を観た、街に出かけてこういうものを見たなど、基本的に見たものを広げてしゃべることがほとんどだと思うんですね。だから、見えていない人間はラジオには向いてない、と。

――では、濱田流のラジオはどのように作り上げるのですか?

【濱田】それはもう、でたらめですね(笑)。ただ、何をどうしゃべろうかは、ずっと考えています。

■長寿トークバラエティをやりたいという目標は今も変わらず

――ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)に「案内人」として出演されるなど、活躍の幅を広げられています。今後どんなことをやっていきたいですか?野望をお聞かせください。

【濱田】ドラマ出演にあたって、「かっこいい感じでやりたいからスティーブ・ジョブズみたいなイメージでお願いします」と言われました(笑)。目が見えない世界を話す解説コーナーは台本ですが、「ちなみに」のあとは僕の実体験を自分で考えてしゃべっています。
 話がそれましたが、今後の目標はR-1グランプリで優勝したときに言ったことですが、今も変わらず「20年以上続くトークバラエティをテレビでやりたい」ということですね。例えば『踊る!さんま御殿!!』とか『ダウンタウンDX』(共に日本テレビ系)みたいな長寿番組を。ただ、今はそれがテレビだけじゃなくて、ラジオも視野に入ってきました。

――ドラマの役作りのモチーフは、スティーブ・ジョブズだったんですね(笑)。話をもどしますが、ラジオの長寿番組ですと、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)や『JUNK』(TBSラジオ)などが挙がります。テレビ、ラジオともに、奪ってやるぞという感じですか。

【濱田】そうですね、そうしておきます(笑)。それから、一人しゃべりのラジオが今はとても楽しいので、それを続けていきたいですし、最近は舞台でやる時事ネタも好きなので、時事ネタをもっと強みにしていきたいし、舞台もラジオもテレビもバランス良くやっていきたいですね。「そういえば濱田祐太郎、最近よう出てるなぁ」と思われるくらい、めちゃくちゃ売れた時期も経験してみたい。根も葉もない女性スキャンダルみたいなのが噂で出回れば、本格的にめっちゃ売れたということだと思いますから。「俺、そんなの心当たりないけどな」みたいなものが聞こえてきてほしいですね(笑)。

取材・文/田幸和歌子

(提供:オリコン)
濱田祐太郎
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