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ゲロのどぶ、ネーミングの真意とは
 『ゲロのどぶ』という強烈なネーミングのお酒がSNSを賑わせている。飲んだ人によると、その味わいはネーミングに反してさわやか。製造販売するのは日本有数の名湯・下呂温泉で知られる岐阜県下呂市で、創業340年の歴史を誇る老舗の天領酒造で、「至って真剣に考えて付けた名前」だと言う。コロナ禍で観光地や酒造業が打撃を受けるなか、「酒造りはまちづくり」という気概で新たなチャレンジを続ける9代目で専務取締役の上野田又輔さんに話を聞いた。

【画像】自然豊かな下呂温泉で厳選した原料で丁寧に作られる製造工程も

◆コロナ禍で直面した老舗として守るべきことと、未来に向けて柔軟に変えていくべきこと

──『ゲロのどぶ』とは、どんなお酒なんですか?

【上野田又輔さん】 いわゆる“どぶろく”です。といっても若い方は馴染みがないかもしれませんが、お米と米麹、水だけで発酵させ、濾過しないお酒です。ここ飛騨地方では白川郷でどぶろく祭があったりと、昔からよく飲んできたお酒です。下呂温泉は年間110万人が訪れますが、若い方も多く、そんな方たちに観光地で地酒を味わう楽しさや文化に触れてもらうきっかけになればと考えて作ったのが『ゲロのどぶ』です。

──やはり気になるのは、そのネーミングですが。

【上野田又輔さん】 たしかに他の地域の方からしたら、強烈なニュアンスかもしれないですね(笑)。ただ下呂市では慣れ親しんだ響きで、学校給食でも下呂牛乳が出ますし、『下呂の香り』という銘菓もあります。最近では、下呂プリンが新たな名物として人気です。

──とは言え、お酒で「ゲロ」「どぶ」という商品名を、しかも老舗酒造が付けることについて不安はなかったのでしょうか?

【上野田又輔さん】 社内で反対意見はなかったです。「下呂」か「ゲロ」かといった議論はありましたが、ひと目でインパクトを残すならやはり「ゲロ」だろうと。不安はたしかにありました。ただ多くの方も感じているように、今まで当たり前だったことが、コロナ禍で当たり前ではなくなってしまった。老舗として大切に守るべきことと、未来に向けて柔軟に変えていくべきこと。コロナ禍では、そのことをずっと考えてきました。『ゲロのどぶ』という商品名もその1つです。弊社では、これまで奇をてらった商品名をつけたことはなかったのですが、至って真剣に考えて付けた名前です。

◆“酒造りはまちづくり”という想いが、コロナ禍でより一層強くなった

──コロナ禍による御社への影響はいかがでしょうか?

【上野田又輔さん】 昨年はいつもの4割程度しか出荷できない月もありました。飲食店の営業自粛もさることながら、観光地ですのでお土産需要、そしてホテルや旅館の宴会がなくなってしまったこと。あとお祭りに献酒は欠かせないものですが、下呂温泉祭り、飛騨高山祭り、飛騨古川祭りなどが中止になったことの影響も大きかったですね。

──御社では飲むお酒以外にも、手指消毒用の高濃度エタノール製品『Clear Stream』を製造販売しています。これはコロナ対応なのでしょうか?

【上野田又輔さん】 それも1つありますが、飛騨地方は毎年のように激甚災害に遭っています。今夏も豪雨で国道が崩落しました。そこに拍車をかけたコロナ禍で、医療資材が非常に不足したことから、少しでもお役に立てればと作ったものです。おかげさまで下呂市内の学校や市役所など、皆さん消毒用に使ってくれています。

──老舗酒造として地元との繋がりを強く意識されているんですね。

【上野田又輔さん】 はい。これまで地元産の酒米『ひだほまれ』のほかに、兵庫県から『山田錦』も買い酒造していたのですが、今年から『山田錦』も地元で栽培するという新たな挑戦を始めました。12月にはいよいよ初のオール地元産の原料による清酒の仕込みをします。特に海外の品評会ではワインにように“地元産の原料”が評価されるところもあり、アフターコロナに向けた取り組みでもあります。コロナ禍で長らく帰省できていない人たちが、久しぶりに帰ってきたときに、改めて「いい町だな」と思ってもらえるように、地元を守っていきたい。“酒造りはまちづくり”という想いは、コロナ禍でより一層強くなりました。

──『ゲロのどぶ』も大いに地元PRになっています。

【上野田又輔さん】 おかげさまでいろいろなところで話題にしてもらいましたが、やはり下呂に来ていただくことが『ゲロのどぶ』の一番の目的。お店での販売は下呂市内の土産屋や酒屋限定で、それ以外では公式サイトの通販のみとこだわっています。

◆女性の方にもワインのようにカジュアルに楽しんでもらいたい

──『ゲロのどぶ』の特徴を教えていただけますか?

【上野田又輔さん】 どぶろくはクセが強いイメージがありますが、それはワイルドな環境で造って雑菌も混ざるからなんですね。『ゲロのどぶ』は、造り酒屋の造るどぶろくとして、雑菌が混ざらない整えられた環境で造り、多くの人に親しんでもらうために飲みやすさにこだわりました。飲んだ方が「喉越しさわやかで、名前とのギャップがすごい!」という感想をいただいたことが印象的でした(笑)。

──甘口と辛口、どちらなのでしょうか?

【上野田又輔さん】 お米本来の甘さがどぶろくの特徴なので、甘口ですね。大人の甘酒といったところでしょうか。また米麹由来のビタミンが豊富で、腸活にも良いとされています。ただし飲みすぎには注意です。お米をたっぷり使って造っているので太ります…。

──1本260mlの瓶入り。ちょうどいいサイズですね。

【上野田又輔さん】 お土産にお持ち帰りいただきやすいように、手のひらサイズにしました。弊社でいうと『天領』など、日本酒は質実剛健な商品名が多いんですね。それに酒豪というイメージを持たれる方もいます。ただ、そうすると女性の方はなかなか手に取りづらかったりもする。もっとワインのようにカジュアルに楽しんでもらいたいので、商品名はもちろんパッケージの色合いもこだわりました。ちなみに、「どぶろくはシュワシュワしているんでしょう?」と言う方もいますが、瓶が割れないように発酵を抑えているため、ごく控えめな微発泡となっています。

──オンライン販売もありますが、やはり下呂温泉で味わいたいです。

【上野田又輔さん】 こちらでは観光プログラムの一環として、自分だけのどぶろくが造れる『Myゲロのどぶ』体験ツアーも実施しています。ぜひ多くの方に訪れていただきたいですね。

(文/児玉澄子)

(提供:オリコン)
創業340年の天領酒造が販売する『ゲロのどぶ』
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