【オリコンニュース】
「変なホテル」がコロナ禍で注目
 2015年のオープン以来、ロボットが接客を行うことで話題を集めている「変なホテル」が、8月に韓国・ソウルに1号店を開業し、海外初進出を果たした。新型コロナの影響で売上は減少しているものの、ロボットによる非対面、非接触のサービスは、図らずも利用客が求めるソーシャルディスタンスに合致。9月には仙台に国内19棟目を、さらに海外2棟目もニューヨークでのオープンに向け準備中だ。“世界初”ロボットホテルを生んだ経緯と、コロナ禍での戦略、収束後を見据えての展望を聞いた。

【写真】【画像】一瞬わからない!?人にそっくりなロボットが受付する『変なホテル』全貌

■従業員数は3分の1、ロボット接客で高い生産性とエンターテインメント性を実現

 4ヵ国語を話すロボットがフロントで出迎え、客室ではロボットのコンシェルジュが接客する――2015年、長崎・ハウステンボスに第1号店をオープンすると、「史上初、ロボットが接客するホテル」としてギネス世界記録に認定された。この斬新なホテルを誕生させたのは、1980年の創業以来、格安航空券のパイオニアとして、個人向け海外旅行商品で成長を遂げた旅行大手のH.I.S。今回も、常識にとらわれないベンチャーならではの発想力と機動力で世界初のロボットホテルを実現させた。

「きっかけは、ひとつの会社内でインフラを整備できたらという思いでした。96年に新規航空会社のスカイマークを立ちあげ、“足”の次は“宿”ということで、トライしたのがホテル業です。テーマパーク事業と親和性が高いことも、新事業に挑戦する後押しとなりました」(HISホテルホールディングス広報担当者 以下同)

 ロボットを採用したのは、エンターテインメント性と人件費削減による高い生産性を狙ってのことだった。

「新規参入する以上、既存のホテルと大きく違うコンセプトを打ち出さなければ成功には時間がかかるだろうと思い、お客様に楽しんでいただける何か面白いことをやってみようと考えたことが発端でした。ロボットの活用を決めたのは、マンパワーを削減し、業務の効率化と生産性を上げることにもトライできると考えたからです」

 その狙い通り、オープン直後から話題を集めるとともに、生産性においては、通常、100人規模のホテルで従業員30~40名が必要といわれる中、接客や掃除など多くの業務をロボットが担う「変なホテル」は、10名前後。客室数によって人数は異なるが、どのホテルも通常の3分の1ほどの従業員数で運営できている。

■奇しくもロボットがコロナ禍にマッチ 非対面、非接触が選ばれるキーワードに

 さらに特筆すべきは、現在コロナ禍で大打撃を受けているホテル業界において、「変なホテル」が究めたコンセプトが、図らずも客の求めるソーシャルディスタンスに合致、注目を集めていることだ。

 コロナ禍で旅行者や出張者が減っていることから、「変なホテル」も最大で前年比3割程度まで売上が減少、現在も前年比5割前後が続いている。しかし、母数が減っていながらも、非接触であることにスポットが当たり、他のホテルに比べ、予約は入っている状況だという。

「お客様からのアンケートでは、非接触であることを理由に当ホテルを選んだという声を多くいただいています。公式HPでも、コロナ禍になってから“非対面”というワードを必ずトップページに出し、説明を入れるようにしたのですが、やはり反応はいいですね。社内でも、オープン当初は『ロボットによる対応では不安になるお客様がいるのではないか』とか『そもそも対面での接客が当たり前なホテル業界で、ロボットホテルへの需要があるのか』という懐疑的な意見もあったのですが、今となってみれば、『トライしておいてよかったね』という声に変わりました」

 コロナ禍におけるロボット採用の利点はほかにもあった。

「ランニングコストの中で最も大きいのが人件費です。ロボットを入れることで圧倒的に削減できていますから、その点も結果的には良かったと思います」と語る。

■「変なホテル」の“変”は「変化」の“変” 最新テクノロジーを次々取り入れる未来のホテルへ

 ところで、「変なホテル」という名称だが、「変な」には「おかしな」ではなく、「変わり続けることを約束する」という意味が込められているそう。

「そのときの最新のテクノロジーを取り入れ、変化していくことをモットーにしています。ですから、これまでオープンさせた20棟はすべてが同じわけではありません。通常、大手チェーンホテルは同じ形式に統一され、どこでも同じサービスを受けられることが基本ですが、弊社では、建設時にトライ出来そうな、お客様に喜ばれそうな新しい技術があったら取り入れ、不評なものは撤去するというようにしています」

 その代表例がフロントだ。15年に開業した第1号店の「変なホテル ハウステンボス」は人型や恐竜のロボットがチェックイン・チェックアウトをサポートするが、19年開業の14棟目「変なホテル東京 浅草田原町」からは、壁に映像を投影する光のホログラムを世界で初めてフロントに導入。恐竜・忍者・執事のキャラクターが業務を担うとともに、チェックイン後には、キャラクターと連動して、客室へ移動するエレベーター前までプロジェクションマッピングの映像が案内する。

「ロボットは1回置いてしまうと、コストの関係上、簡単には変えられませんが、光のホログラムは、キャラクターを作って、言葉を作って、システムに組めばいいので、ロボットより変更がスムーズで、コストもかなり抑えられます」

 現在、ロボットも光のホログラムも日本語、英語、中国語、韓国語の4ヵ国語に対応しているが、今後、海外からの観光客を再び迎え入れられるようになったときに向けて、スペイン語やタイ語、インドネシア語等にも対応できるように考えているという。

 さらに利用者からの声を受けて、こんな壮大な構想も抱いている。

「お客様から『ロボットともっと自由に会話ができるといいな』という声をよくいただきます。実現のためにはAIの技術が必要で、開発にもお金がかかりますし、そう簡単にはできないですが…、ゆくゆくはそういうこともできるようになったら面白いなと考えています」

 感染対策がしやすく、奇しくも“コロナ禍に対応できるホテル”という側面が浮き彫りになった「変なホテル」。今後、時代とともにどんな進化を遂げ、新たなエンターテインメントを提供してくれるのか、期待したい。

(取材/文・河上いつ子)

(提供:オリコン)
恐竜が受付をしてくれる『変なホテル』
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