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プー・ルイアイドル10年の変化語る
 アイドルグループBiSの元リーダーで、芸能事務所の社長兼アイドルグループのプロデューサー&メンバーという唯一無二の肩書を持つプー・ルイ。彼女がリーダーを務めるPIGGSがコロナ禍の7月1日にデビューアルバムをリリース、25日には35名の2部制で着席&声出し禁止という異例の環境下でのお披露目ライブも行った。これまで2グループの加入と脱退を経験し、デビューから10年以上をアイドルとして過ごしてきたプー・ルイ。

【写真】上目遣いで色っぽい表情を見せるプー・ルイ

■プロデューサーとアイドル兼任の苦悩 アイドルを育てることへの葛藤も

 プー・ルイは1990年生まれの30歳。BiSが音楽事務所WACK所属であったことから、社長の渡辺淳之介氏より「そろそろ30代だし、WACKの社員として働かないか」と声がけしてもらったそうだが、プー・ルイは「裏方ではなくメンバーとしてやりたい」と話した。

「以前、(女性音楽グループ)BILLIE IDLEとして活動していたのですが、その解散は結構突然訪れました。やりきった感が私の中に全然なくて…。だから渡辺さんの裏方への申し出も断ったのですが、すると渡辺さんから『出資するから自分が好きなことをやりなさい』と言っていただき、株式会社プープーランドを設立。アイドルグループPIGGSを起ち上げ、メンバーとしてだけではなくプロデューサーにも就任しました」

 プロデューサーも兼任するというのは大変なこと。「たくさんのスタッフが細かく計画してくれたことにメンバーが安易に不満を漏らすのは良くないと感じた」など裏方の重要性を経験したことは彼女にとって大きなプラスになった。だがその反面、苦悩もあったそう

「メンバーに『こうした方がよく見えるよ』などアドバイスをするうちに、自身の積み上げてきた経験を生かして、自分がアイドルとしてのライバルを育てるという謎の構図に。怒りたくないんですけど、怒るべきところは怒らないといけない。何より怒るということは、それ以上に自分はしっかりしていないと説得力がない。アイドルとしても大変になりましたね」

■アイドルが市民権を得た反面、なりやすい存在に 「なるのは簡単、でも売れるのは難しい」

 そんなプロデューサー、プー・ルイのアイデアでユニークなのが、メンバーと共同生活を送ることだ。一緒に住み始めたのは緊急事態宣言が出される前。現在は実家暮らしのCHIYO-P以外のメンバー4人で共同生活を送っている。

「これほど深刻なパンデミックであるとは完全に周知されていなかった時期ですが、もし緊急事態宣言が出されたら安易にメンバーとは会えなくなる。そこでいっそのこと…と、一緒に住み始めました。これもプラスになりましたね。現在はアイドルが市民権を得た反面、地下アイドルが乱立する飽和状態になっていて、女の子たちにもどこかアイドルは“なりやすい存在”に感じられている。メンバーにもやはりそういった甘えが見られた。アイドルになるのは簡単かもしれないけど売れるのは簡単じゃない。最初の共同生活でその辺りの価値観を共有できたのはよかったと思います」

 激しい言い合いに発展して、メンバーが泣いて家を飛び出してしまったこともある。だが、プー・ルイにはそれでも成し遂げたい夢があるという。BiSとして立った横浜アリーナ。PIGGSでは“自分たちの力”でそこに立ちたい。メンバーにあの景色を見せてあげたい。この夢があるからこそ、彼女は独立し、社長兼プロデューサー兼アイドルという誰もやったことのない道を選んだ。

 コロナ禍での不安も無縁ではない。元々は5月にはアルバムを出して、7月にはツアーもやっている予定だった。初期メンバーのCHIYO-PやUMIには、それらスケジュールを両親にも見せて納得してもらっていた。2月の時点では、夏頃にはコロナは収まるという見方があった。だが、想像以上に深刻な事態だと世間も分かっていく。

「いつデビュー出来るか分からない。何の活動もなく合格したメンバーたちのモチベーションが保てなくなってしまいました。そのモチベーションを保つためにも共同生活は良かったですね。そして、意を決して7月1日にデビューアルバム、25日には感染防止を徹底した環境下でお披露目ライブを。あの時のメンバーの喜びは忘れられません。例えばCHIYO-Pは普段あんまり喋らない子。なのにライブが終わって家に帰るまで、ひたすら喋っていて(笑)。やりたいという思いが爆発したんでしょうね。私にとっても忘れられない日になりました。」


■「NiziU(と日本のアイドル)は別物」日本に押し寄せる韓流アイドルの波に“共存”の可能性は?

 ところで、現在はAKBや坂道シリーズなどのほか、韓流アイドルも日本で活動。Nizi Projectなどのように、日本人が「韓国のあのプロデューサーにプロデュースされて、アイドルになりたい」と考える、グローバルな流れも生まれている。そうしたアイドル面での韓国の台頭をどう感じているのだろう。

「NiziUは私も結構ハマっちゃったタイプ(笑)。でも別物だという気がします。日本のアイドルってどちらかと言うと未完成なものが愛される。『ダンスちゃんと出来てないよ、頑張って』と応援できるような子が可愛いという風潮がある。韓国は完璧なものが格好良く、それが憧れにつながっている。なので、その二つはバトルにならないと言うか、住み分けが出来ていて、ファンを取り合ったりしないような気がします。共存していけるんじゃないでしょうか。PIGGSも完璧な方ではないので、その成長を応援してもらえるとうれしいです」

 10年前と現在のアイドル市場の違いは「“悲壮感”があるかどうか」だとも。「10年前は(青春スポ根的な)“悲壮感”が話題になりやすかったのですが、現在はYouTubeを見ていても感じる通り、“自己肯定感の強さ”や“ハッピーなもの”が人気。彼女らがそのまま大人になったとしたら、自己肯定&ハッピーの時代が来るかも知れない」

 そんなプー・ルイも先日30歳に。「本来の夢は、20代半ばで芸人さんと結婚して、30歳頃にはママタレになっている予定だったので、こんなはずではなかった(笑)」と自虐するが、「こうなった以上は、30代でもアイドルでいられる、ツインテールが出来ることを体現する存在になりたい。アイドルの賞味期限とか、女性のそういった年齢制限を取っ払って、もっと個人がやりたいことが出来るような世の中にしたい」と前を向いている。

「先日、メンバーのSHELLMEがギャルのような編み込みの髪型をしたいけど、アイドルファンはそういうの嫌いだから悩んでいると話してきたんです。でも、私は『自分にウソをつくのはやめよう』と。自分の好きなものを偽ると、それがバレた時にファンは離れてしまう。例えば処女を売りにして、恋人との姿を週刊誌に撮られるとファンは裏切られたと感じてしまう。自分の好きなものを好きと言って、それを好きになってくれるファンを大切にした方が良いと私は思います」

 自分を偽らず、裏方もメンバーもファンも、多角的な視点で常に前を見続けるプー・ルイ。そんな彼女の躍進は、30歳になった今もまだ始まったばかりだ。

(取材・文/衣輪晋一)

(提供:オリコン)
アイドルグループ「PIGGS」プロデューサー兼リーダーのプー・ルイ(撮影/逢坂 聡(C)oricon ME inc.)
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