【オリコンニュース】
シュールなサイレント4コマ人気
 限られたコマ数で起承転結をつけ、オチまでたどり着かなくてはならない4コマ漫画。シンプルさゆえに、テンポの良さやオチのセンスが問われるが、セリフを一つも登場させない「サイレント4コマ」という手法も存在する。読み手は登場人物の表情などから物語の背景を想像するため、ストーリーの印象は強くなるが、絵だけですべてを表現するスキルも必要になるだろう。そんなサイレント4コマがTwitter上で話題になった作家たちにインタビュー。彼らは「絵もセリフも極力シンプルに」することを心がけていると話す。作品に込められた思いや、ネタ作りのハウツーを聞いた。

【4コマ漫画】”希望の光”を求めて脱走を図る囚人が見たものは? モノモースさんの漫画

■セリフや絵を必要最小限に抑えた方が読み手のストレスがない

 囚人の視線の先には光が差し込む独房の小窓。そこから脱獄を図ろうとするも、絶望的なオチが待っていて……。この4コマ作品を描いたのは、Twitterなどで作品を発表しているモノモース(@mono_moosu)さん。セリフなしだからこそ、ラストの登場人物の表情がひときわ虚無感を呼ぶ。コメント欄には「現代風の絶望感w」「この発想はなかった」などの声が寄せられている。

 「絵の情報だけで状況を説明するのはなかなか難しいですが、希望が絶望に変わる瞬間を上手く描けたと思います」と、自身もお気に入りの作品だと話す。

 モノモースさんの作品は、セリフも絵もごく最小限にとどめているのが特徴だ。「セリフや絵を必要最小限に抑えた方が読み手のストレスがない」と本人も話す通り、シンプルでゆるめな画風から繰り出される納得感のあるオチが人気を集めている。どのようにネタを作っているのだろうか。

 「日々のニュースの出来事や、街を歩いていて目にする疑問をネタにすることが多いですね。「もしもこんな人たちがいたら……』が作品のテーマ。登場人物たちは一見おかしなことをやっていますが、彼らなりの行動原理で動いていて、ただ変なことをしているわけではなかったりします。『なんでだよ』よりも『なるほど』と納得してもらえる4コマが描きたいですね」(モノモースさん)

 素顔は設計の仕事をしているというモノモースさん。「描いてみたいネタはまだまだたくさんあるので、もっと多くの人に読んでもらえるよう続けていきたいです」と話してくれた。

■ほっこりから一転、ラストのシュールさはセリフナシだからこそ活きる

 犬ミサイル(@inumissile51)さんの代表作『卵かけご飯』も、セリフなしのサイレント4コマだ。卵かけご飯を食べようと卵を割ったら中からひよこが……! 誰もが一度は妄想するほっこりシチュエーションから一転、ラストの落差に思わず噴き出してしまう。セリフがないからこそ、ラストのコマのシュールさがより活きてくる。

 「できるだけ絵は読みやすいように簡単にしていますし(ただうまく描けないだけですが)、セリフも少なくしています。そういうシンプルさが自分の作品のウリなんじゃないかと思います」(犬ミサイルさん)

 素顔は20代後半の会社員。ネタは基本的に仕事中に考えているという。

 「仕事に集中しろって話ですが、仕事よりも4コマの方が大事なのでネタを絞り出しています。単語から連想ゲームのようにネタ出しをすることが多いですね。「鳥」→「鳩」→「伝書鳩」みたいな。そこからふくらましてネタにします」(犬ミサイルさん)

 漫画を描き始めたのは7年前。まとめサイトなどで4コマが取り上げられているのを暇つぶしに見ているうちに、「自分でも描けんじゃね?」という気持ちが湧いてきたのだという。「今思えば漫画をなめているとしか思えませんね」(犬ミサイルさん)

 4コマという限られたコマ数でストーリーを展開させるのは「めちゃくちゃ大変で、常に悩まされている」と話す。アイデアが浮かばないときは温泉に行ったり、料理をしたりして、いったん4コマから離れて、脳に休息をあたえるのだという。

 「4コマ漫画を描くことは、現段階で一番楽しいけど、一番苦しい。ご機嫌で地獄のような暇つぶしです」(犬ミサイルさん)

(提供:オリコン)
 画像提供:モノモースさん(上)、犬ミサイルさん(下)
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