SDGsが伝えたいことは、「地球に住む以上、無関係の人間なんか存在せず、誰もが当事者で、全ての事象ははつながっている」ということ。だからその現状を知り、つながりを認識することで、選択肢が広がります。ついつい点でとらえがちな問題を、面でとらえる視点を持つこと。つながりを知ることで、旧来のジグソーパズル型からルービックキューブ型となった複雑化する問題を点ではなく面でとらえることができるようになる。
面でとらえることで生まれる視点、それがレバレッジポイントというもので、これは梃子の理論です。全然ビクともしないものが、ある一点で、ひっくり返る様子を言うもので、子どもの遊具のシーソーみたいな感じ。
具体的に言うと、前橋に”ワークスタジオ前橋”という就労支援施設があります。ここは、何らかの理由があって、一度は社会をリタイアされた方が、再び社会に戻って仕事をするためのトレーニングをするところです。そこの一つの取り組みが素晴らしく興味深い。本当であれば10万円からするオーダーメイドのスーツを、そこは大義で大幅値引きをしてもらい、そのオーダーメイドのスーツを利用者さんに購入してもらいます。生まれて初めてプロの採寸師さんの測定を受けて、ドキドキわくわくでスーツの完成を待つ。スーツが仕上がるまでの3~4か月、トレーニングを休まなくなるそうです。楽しみでしょうがない。
スーツが手元に届きました。それを身にまとい鏡の前に立つ。見違える自分。
次の日から、言わなくても「爪を切る」「あいさつをする」「髪を整える」「背筋を伸ばす」「シャワーを浴びる」「歯を磨く」などなど。それまでいちいち指導をして、一つ指導をすると一つが抜けていく、やらされているからこその脆弱さが、いとも簡単に解決されました。
世の中にいまだあふれる、効率重視の縦割りシステムが、今の社会の流れと合わなくなってきて、求められる総合的で横断的な視点。その意義が、SDGsのレバレッジポイントにあると思います。
さて今回の企業さんは、明星電気さんです。こんなにも素晴らしい技術が、この群馬で造られていたことを知らずに驚きました。僕たちの身近な気象情報や天気から、なんと宇宙にいたるまでの観測技術が、この明星電気さんから届けられていました。漫画「タッチ」の明星高校も、この明星電気さんから取られていたそうで、まだまだ知らないことがたくさんあります。
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