ホリデイ・シーズン・スペシャルファイナル・ウィーク『群馬県出身の声優 内田彩インタビュー特集』
UP DATE 20140114

〜「今が一番楽しい」と思えた2013年〜

内田彩「みなさん明けましておめでとうございます。内田彩です」

曲:「ぶる〜べりぃ♥とれいん」南ことり

●ただ今お聴き頂いているのは『ラブライブ!μ's Best Album Best Live! collection』より、内田彩さん演じる南ことりで「ぶる〜べりぃ♥とれいん」です。
『ライナーノーツ』ホリデイ・シーズン・スペシャルのファイナル・ウィークとなる今週は、群馬県出身の声優、内田彩さんのインタビュー特集をお送りします。『ラブライブ!』の南ことり役を始め、多くの話題作に出演された2013年は、内田さんにとって充実や飛躍という言葉が似合う1年だったはずです。まずはそんな1年を振り返って頂きました。
内田彩「内田彩です。よろしくお願いします。私にとっての2013年は、本当に濃い1年でした。この1年は、作品にも恵まれまして、『ラブライブ!』、『ビビッドレッド・オペレーション』、『宇宙戦艦ヤマト2199』、『DEVIL SURVIVOR 2 the ANIMATION』という作品にメインキャラクターとして出演させていただき、周りのお客さんからも『観たよ!』という反応の多い1年でした。それが次の作品や次の活力になっていたので、自分が今まで声優人生を送ってきた中で『今が一番楽しい』と思える充実した1年でしたね」
●お仕事の幅が広がる中でも、内田さんはお仕事の流儀を曲げることなく、常に全力で2013年を駆け抜けてきたようです。
内田彩「2013年は本当に頭の頃に作品が重なっていたので、収録も2012年の暮れぐらいから始まっていたんですけど、それはやっぱり大変でしたね。私たちの仕事はアニメの声優ということで、同じ時期に色んな役をやることがあったりするんですけど、そうすると役の切り替えとか、ひとつの作品にどれだけ愛情を注げるかということに対する自分との戦いにもなってくるんです。全部の作品に対して100(%)でぶつかりたいと思っているので、そのへんは自分の心の中身を整理するのがちょっと大変だったなというのもあるんですけど、その分、『今日はこの役をやれる日だ』、『今日はこの役になれる時間だ』と思うと、それがすごく楽しくて、辛かった分、幸せも倍増していました。やっている時は辛かったんでしょうけど、振り返ってみると、辛い思い出より楽しい思い出の方が大きかったですね。『ラブライブ!』という作品では、アニメの声優をやらせていただきながら、μ’sというユニットを組ませていただきました。アニメ自体がアイドルの子たちの作品なんですけど、『そのアイドルユニットを声優でもやろう』ということで、ライブ活動なども行っていまして、そのダンスの練習は大変でした(笑)。声優を目指して、私は高校を卒業してから勉強してきたので、ダンスや歌の本格的なお勉強はいっさいしてこなかったんですよ。南ことりちゃんという高校2年生の役なんですけど、今現在27の私が、10こぐらい年の離れた高校生の役を歌って踊って現実でも演じなくてはいけないということで、そこにはいっぱい葛藤もありました(笑)。丁度今年の2月(8日、9日)にさいたまスーパーアリーナでライブをやらせていただくので、今このラジオが放送されている時もリハーサルやダンスの稽古の真っ最中なんですけど、やっぱりダンス練習はいろいろと大変ですね(笑)」
●異なる役を演じるのが重なっている時、内田さんはそれぞれの役に対してどのように向き合っているのでしょうか。
内田彩「私はどちらかというと役に入り込むタイプで、そこは意図的に切り替えないと結構引きずってしまう部分があるので、そこはどうにかして切り替えるようにはしています(笑)。でも現場に入ってしまって、スタッフの皆さんとかに『おはようございます』と挨拶すると、気持ちはすぐに切り替わるので、現場ではそんなに混乱することはないです」
●『ラブライブ!』は個性の異なる9人の女子高校生たちがμ’sを結成し、スクールアイドルという目標へ向かってひとつになっていく過程が描かれています。各役の声優さんはリアル世界でもμ’sとしてCDの発表やライヴ活動を展開しているのですが、アニメのストーリーとμ’sとしての活動が重なることはあったのでしょうか。
内田彩「ありますね。特に『ラブライブ!』は今年で4年目ということで、作品が始まってからはだいぶ時間が経っているんですけど、皆の団結力というか絆が深まっていったのは、ライブに向けてのレッスンだったと思います。やっぱり初めての子も多かった分、大変で…。でも『ラブライブ!』という作品を良くしていきたいという気持ちは皆一緒なので、それに対して皆でぶつかったり、話し合ったりしながら、成功した時の喜びは本当に大きかったですね。皆20才を超えたいい大人なんですけど、ステージ上で涙をぽろぽろこぼしてしまうような経験って、生きていて滅多に出来ないと思うんですよ。そういった意味で、『ラブライブ!』の作品の中の女の子たちが正に青春という感じでスクールアイドルをやっているように、演じている私たちも同じ気持ちだったと思います。まだ作品が知れ渡っていない頃からコツコツやってきたものがアニメ化されることで知名度も広がって、すごくたくさんの人から愛される作品になったんですけど、そこまでの地道な努力が実を結んでいくのを、皆でその過程を見ることができたので、(作品に対する)皆の気持ちもどんどん大きくなっていきましたね。作品中の女の子も皆スクールアイドルで、本当に趣味というか『やろう!』というところから始まるんですけど、私たちもそれをどんどん積み重ねていって、次のさいたまスーパーアリーナでは『すごいステージを作るぞ!』というプロ意識というか、声優以外のパフォーマンスでもプロ意識と根性を持ってできるようになってきたので、そういう意味では、皆の団結がステージに現れているんじゃないかなって思いますね」
●『ビビッドレッド・オペレーション』も女の子たちが友情の輪を広げていきながらひとつの目標に向かっていくストーリーが描かれていましたが、『ラブライブ!』とはまた違う空気が声優さん同士の間に流れていたといいます。
内田彩「逆に『ビビッドレッド・オペレーション』は、2012年の段階で初めてお披露目イベントがあって、そこでアフレコの前に皆が会ったわけなんですけど、その時から皆の空気感がすごく良かった記憶があります。皆意外と人見知りの子が多かったんですけど、『チームワーク抜群だな』というのが初めて会った時から皆の思いの中にあったので、『ビビッドレッド・オペレーション』はすごく和やかというか、とてもいい雰囲気で作品を終えることができました。『ビビッドレッド・オペレーション』にも【友情】というテーマがあったんですけど、そういった意味では、『(初めから分かり合える)すごい5人が集まったなあ』と思って、あまり緊張せずに、すごく不思議な空間というか空気感が漂っていましたね」
●『ラブライブ!』も『ビビッドレッド・オペレーション』もアニメの世界観がそのまま声優さんの繋がりに反映されていようです。
内田彩「そうですね。作品と役って出会いがすべてなので、『この作品、この役に出会えてよかった』というのが、本当に2013年は多かったですね。声優になってよかったなというか、『幸せだな』と思える瞬間が多かった1年でした」
●『ビビッドレッド・オペレーション』のお話の中で人見知りというお話が出てきましたが、少し人づきあいが苦手な設定の四宮ひまわり役に共感をおぼえたところはあったのでしょうか。
内田彩「ありましたね。ひまわりは過去のトラウマから引きこもりになってしまうんですけど、元々はトラウマになってしまうくらい人との関わりを求めていたんですよね。友達との友情関係を大事に思っていたからこそ、傷ついてしまい引きこもるようになってしまったんです。『そういう部分は似ているな』と思っていて、逆にひまわりは仲良くしてくれる、気にかけてくれる子がいると、心を開くタイプなので、どちらかというと天の邪鬼だと思うんですよ。本当は大好きだけど…でも言えない部分が似ているなと思っていて(笑)。私も友達はそんなに多い方ではないんですけど、仲良くなった友達に関しては、すべてを見せられるくらい心を許してしまうタイプなので、そういうところはすごく似ているなと思いました」
●2013年は『内田彩Birthday Party♪』や2014年カレンダーの発売イベントなどの活動も大きな出来事だったと思うのですが、イベントへの思いの中にも内田さんがアニメに憧れるようになったきっかけ——つまり声優の原点が存在しているようです。
内田彩「元々イベント事とか、皆で楽しいことをするのが好きなんですよ。私たちは声優なので、役に出会わないと表に出ていくことはないじゃないですか。だから奇跡みたいな出会いで演じさせていただいたキャラクターを観て、『内田彩さんが演じているんだ』と知ってくれて、応援してくれるということは、巡り合わせがないとあり得ないことですよね。それってすごくありがたいことだし、嬉しいことだなと思うんです。たくさんいる声優の方から私が演じたキャラクターを観て、『気になるなぁ』、『好きだなぁ』と思ってくれたということは、それなりに私も人生をかけて声優をやっているので、私が込めた思いが伝わった相手なんじゃないかなと思うんです。だからファンの方は大事だと思っています。握手会でも…私の握手会って、すごく長くなっちゃうんです(笑)。どちらかというと、私がファンの方に話しかけてしまうので、どんどん時間が延びてしまって(笑)、たまに『疲れないんですか?』とか、『長い時間お疲れ様です』とか訊かれるんですけど、全然そんなことなくて。逆に『○○の役のこんなところが良かったです』という言葉で、私の方がパワーをもらっている感じがするので、全然疲れないんですよ。だからそういうイベントはできればどんどんやっていきたいですね。私が声優を目指したきっかけも、『普段の現実世界にはない、楽しい世界に入りたいな』というところだったので、『せっかく出会ったからには、一緒に楽しい空間を共有できたらいいな』という思いがあります。バーデイ・イベントも、企画から内容から、全部自分でやらせてもらって、それを『面白かった』と言ってもらえたのがすごく嬉しかったので、『また何かやれたらいいな』と思っています(笑)」

♪お送りしますのはアニメ『ラブライブ!』のオープニングテーマでもありますμ’sで「僕らは今のなかで」です。
曲:「僕らは今のなかで」μ’s

〜青春のキラキラをくれた作品『ラブライブ!』〜

●昨年の12月25日に『ラブライブ!』の第1期ダイジェストを収録したファンディスク『ラブライブ! 〜国立音ノ木坂学院案内〜』(Blu-ray)が発売されましたが、あらためてアニメの第1期を、役柄の南ことり目線で振り返って頂きました。
内田彩「第1期の『ラブライブ!』は、本当に(役が)できてよかったなと思える、素敵な作品になっています。アイドル作品ではあるんですけど、どちらかというと、青春スポ根ものみたいなお話に出来ていて、最初はちょっと不安があったんですよ。自分たちが長く関わってきた作品だったので、どんなアニメになるんだろうと、期待と不安でドキドキしていたんですけど、本当に素敵な内容になっていまして、(私も)何回も観ては涙を流しています。自分たちが今まで活動してきた思いもこもっていますし、一生懸命青春している女の子のキラキラ感がすごく出ていて、私もすごく大好きですね。南ことりちゃんから見たアニメ1期ということでは、ことりは主人公(高坂)穂乃果の幼なじみで、穂乃果の無茶苦茶なところというか、真っ直ぐに全力で走っていくところを小さい時からそばで見てきた子なんですよ。穂乃果の『アイドルやりたい!』というトンチンカンな話も(笑)、『きっとこの子だったら、一生懸命やるんだろうな。そこに関われたら私も絶対楽しい』とついていくんです。ことりも変なところでマイペースなので(笑)。でもふわふわしているように見えながらも、どうすれば皆がよくなれるかも知っているところもあって、うまくことりが、もうひとりの(幼なじみでヒロインのひとりの)海未ちゃんという、アイドル活動を反対していた子を結びつけたので、『ラブライブ!』というかμ’sの活動のきっかけを作り出した女の子なんじゃないかなって。陰の功労者みたいな感じで(笑)ことりに関しては思っています」
●『ラブライブ!』はアイドルグループの試行錯誤以外にも、等身大の高校生の内面が描かれることによって、青春ストーリーとしての深みが感じられる作品になっています。特に南ことり役は進路という岐路に立たされるという、第1期後半の重要な役柄を担っていました。
内田彩「色々あって、アニメ1期の後半では、ことりと穂乃果と海未ちゃんの幼なじみ3人が今後どうしていくかというお話になっていって——ことりがお洋服を作るという自分の夢を追って留学をするのか、留学をしたいけど、私が抜けちゃったらμ’sは続けられないという、アニメ的には結構大変な展開になってしまうんです。観ている方は、結構ひやひやしたりドキドキしたんじゃないかと思うんですけど、ことり的には元が幼なじみの些細な喧嘩なので、そんなに本人は難しく考えていないというか、もちろん将来の進路なので悩むとは思うんですけど、穂乃果ちゃんに『行ってほしくない』と言ってもらいたかっただけだったと思うんですよ。どちらかというとことりは小さい頃から穂乃果ちゃんに引っ張られていた部分が大きいと思うので、何かにつけても穂乃果ちゃんにくっついていったら楽しいこともあった…。でも留学に関してはひとりで決めなくてはいけなかったから、どうしても(穂乃果に言うことが)できなかったんですよね。その分、ことりに関しても大人になれる出来事だったと思いますね。穂乃果に頼らずとも、決断しなければいけない——穂乃果ちゃん離れしなきゃいけない瞬間だったという意味で(笑)。結局は、穂乃果ちゃんに『行かないで』と言ってもらえて、『うん!』と留学をやめるんですけど、なんだろうな…プロポーズを待っていた恋人かのような(笑)、そんな心境でことりはいたと思います。(ことりが)留学をせずに戻ってきて、私個人的には『良かったな』と思っているんですけど、『もうちょっと穂乃果ちゃん離れしようね、ことり』と思いますね(笑)」
●実は取材した時期が再放送のまさにことりが苦悩していた時期でもあり、作品を観ながら内田さん自身も辛くなったといいます。
内田彩「なんか分かるんですよね。17才の女の子に、留学するか、アイドルをやるか——アイドルをやるというより、仲のいい友達を裏切っちゃうことになるという選択の難しさは。友達を大事にするか留学するかって本当に難しいですよね」
●ことり目線で印象深かったシーンとは?
内田彩「あ〜どこだろうな…。でも9話の『ワンダーゾーン』という回ですかね。ことりは穂乃果ちゃんについていくだけで『私は何もできないから』と思っている節があったんですけど、こっそりバイトしていたメイドカフェで、自分の本当の良さに気づかせてもらえた、そんなシーンです。伝説のメイド、ミナリンスキーと呼ばれるくらいに、ことりちゃんにはメイドの才能があったんですけど、普段見せているのとは別の顔を持っていたことりを私はすごく好きなんですよ。そこが私にも通じるところがあるんじゃないかなという意味で、すごく好きですね。私も普段の自分に自信はないんですけど、だからこそ、別の世界に入っていける声優になりたいなと思ったので。ことりも普段『私は何もできないし』と思っていたのが、秋葉原に行ってメイドをやることで、すごく楽しく思えるようになって——というのが第2のステージみたいな感じで(笑)、自分にも通じるところがあると思いますね。ことりが輝いているのは見ていてもすごく微笑ましかったので、そこの9話は印象に残っていますね」
●では内田さん目線での『ラブライブ! 〜国立音ノ木坂学院案内〜』の見どころとは?
内田彩「アニメ本編でもメイドの舞台になった、キュアメイドカフェさんというお店でメイド体験をさせていただいております(笑)。ことりと穂乃果役の新田恵海さんと(西木野)真姫ちゃん役のPileさんの3人で行ったんですけど、実際に制服も貸していただき、そこで誰が一番メイドらしく振る舞えるかというメイド対決をしたり、実際に店内を歩いてみたりしています。私的にはリアル・ミナリンスキーになれたというのがあったので、ちょっとはしゃいでしまいました(笑)。でもちょっと恥ずかしかったですけど(笑)」
●4月には『ラブライブ!』の第2期がスタートしますが、内田さんが第2に期待することは?
内田彩「2期は私もどんなお話になるか知らないので、ちょっとドキドキしている部分があるんですけど、取り敢えずはことりが留学せずに戻ってきたという安心感はあります(笑)。『ラブライブに次は出場するぞ』というところで1期が終わったので、【ラブライブ】というアイドルの選手権というか大会に向けて、皆でいっそう努力したり、時には喧嘩をしたりと勝手に予想しています。その中で、より人間関係を深めたりするんだろうなと思いますね。ことりはどうなんだろうな…ますます穂乃果ちゃんのことが大好きになっちゃう出来事があるんじゃないかなとか思っているんですけど。あと1期は主に2年生の3人のお話が多かったので、1年生が成長する姿が見られたらなとも思っています。私は(星空)凛ちゃんが大好きなんですけど、「○○だにゃ」と呑気にいつもサボっている凛ちゃんが【ラブライブ】に向けて頑張る姿とか、(同じ1年生の)(小泉)花陽がどんどん開花する姿とか、真姫ちゃん(1年生)が皆と打ち解け合っている姿とかが見られたら嬉しいですね。(ことりと)他のメンバーとの関わり合いとかも、増えたらいいなと思っていて、穂乃果ちゃん以外のメンバーと親密になるシーンが増えたらいいなって。いつも穂乃果ちゃんばっかりなので、たまには他のメンバーとも仲良くしている姿も見たいなと思っています」
●ここからはリアル世界でも活動するμ’sのお話を。最新のナンバリング・シングル「Music S.T.A.R.T!!」はオリコンウィークリーチャートの5位を記録し、『ラブライブ!』の勢いがそのまま表れた結果となったわけですが、まずは楽曲の聴きどころについて伺ってみました。
内田彩「『Music S.T.A.R.T!!』は、タイトルを聞いてピンとくる方もいらっしゃるんじゃないですかね。『ラブライブ!』はいつもライブの前とか何か始める前に『μ’sミュージック・スタート!』と皆で気合い入れみたいなことをするんですけど、そこから取っているタイトルだと思っています。アニメの1期の放送が終わってから初めてのナンバリング・タイトルということで、『次のステージ向けての意味がこもっているな』とも考えています。あと曲中に『Love Live!』という単語が出てきたり、『Love Live!』とメンバーが人文字を作っていて、本当に『ラブライブ!』を象徴するような曲になっているので、アニメから入ってきてくれた方も、その前から応援してきてくれた方も、『待ってました!これぞラブライブ!』というすごく楽しい曲になっていると思います。本当にPVも可愛いので、『ラブライブ!』を見続けてくれた方にとっては最高の形で発表できたシングルですね。特にアニメシリーズをやってきた中で、メンバーの内面が掘り下げられていたり——例えば好きなものであったりとか、アニメの劇中でよくしていたポーズとか表情とかがPVにも盛り込まれているので、μ’sの歴史を彩る1枚になったなと勝手に思っています」
●「Music S.T.A.R.T!!」の歌詞には「ひとつになる心」、「熱いときめき」、「負けないキモチ」などの、『ラブライブ!』らしいポジティヴな言葉に溢れていますが、内田さん自身、『ラブライブ!』の楽曲に背中を押してもらうようなことがあるのでしょうか。
内田彩「はい。『ラブライブ!』の曲って、前向きだったり、元気だったり、希望とか夢とか本当に詰まっているので、いつも聴きながら涙がポロポロこぼれてしまうくらい、ぐっと来るものがありますね。特にテレビシリーズのアニメの1期の時のオープニング、エンディング、劇中歌もそうなんですけど、本当にその時のきらめきが歌詞から溢れているんですよ。レコーディング前にデモのサンプル曲をもらうんですけど、オープニング(「僕らは今のなかで」)を聴いた時は本当に泣いてしまったんです。歌とか歌詞とかに詰まっているこういうきらめきみたいなものを演技で出せたらすごく素敵だと思っているので、いつも『ラブライブ!』の曲はアフレコの前やイベントの前に聴いて、『よし頑張るぞ!』という元気をもらっていますね」
●12月25日にはラライブBlu-ray&DVD『ラブライブ!μ’s 3rd Anniversary LoveLive!』が発売されましたが、2013年6月16日のパシフィコ横浜 国立大ホールでのライブを振り返りながら、作品の見どころをお話頂きました。
内田彩「最初私はキャパシティが5000人ぐらいと聞いて、『すごく大きいところでやるな』と思っていたんですが、ありがたいことにチケットがソールドアウトになったんです。逆に『(チケット応募抽選に)当たらない』という悲鳴を方々からたくさん聞く結果になってしまい、それに対しては私もすごく残念に思いました。毎回本当に魂を注いで作り上げるステージなので、『観たい』と言ってくれる人には生で観てもらいたいんです。でもライブビューイングが(ユナイテッド・シネマ前橋を含む)全国約51カ所で開催されることになって、全国の皆に観てもらえるライブになったので、(ファンの方も含めた)皆の気持ちがこもったライブになったと思っています。もちろん会場で直接観られなかった人も遠くから応援してくれるのが私も分かったので、『全国の皆に届けられたらな』という気持ちであの日はやっていました。私が今まで生きていた中で一番幸せな時間だったというか、キラキラした時間でしたね。作品にはそれがきっと詰まっているんじゃないかなと思っています。ライブビューイングで観てくれた方はもちろん、会場で観てくれてた皆も、遠くでよく見えなかった表情とか、細かい動きとかが、ライブ作品ではまた違った角度で楽しめると思うので、『あ!この時、この子はこんな顔をしていたんだ』という発見もあったりして。実際9人もいるので、ライブの最中はなかなか全体が見づらいと思うんですよ。自分の応援しているキャラクターだったり、応援しているメンバーだったりを見たりしますし。やっている私自身も全員がそれぞれどういう動きをしているのかというのを把握しきれないくらい動きが細かいので、何回も何回もBlu-ray、DVDを観ることができる楽しい内容になっているんじゃないかなと思いますね。私が『一番ここが見どころだ』というのは、アニメの3話のシーンを再現させて頂いたところです。実は私はアニメの3話が一番大好きな話なんですよ。こと、ほの、うみの3人の幼なじみが初めて衣装を作って、初めてライブをするというシーンで、アニメではお客さんがいなくて涙をこらえながらライブをするシーンなんです。本当にそこのシーンは大好きで、『あの3話の『START:DASH!!』をやりたいです』と自ら意見してやらせていただきました——個人的にも思い入れの強い曲です。衣装もアニメとまったく同じものを作っていただいて、アニメのシーンも舞台上で再現させていただいたので、私も多分、DVD、Blu-rayで観たら涙がうるうるしちゃんじゃないかなと思います。本当に大好きなシーンをそのまま再現させていただいたので、皆さんには観てもらいたいですね。あとは最後ですね。アンコールが終わった後の最後なんですけど、アンコールが終わった後に皆が捌ける前に、客席の皆が歌ってくれて、私たちも本当に感動しまって…。本当は捌けなきゃいけないんですけど、去りたくなくて、9人のメンバーと客席の皆で曲を合唱するという、その時にしか生まれなかった奇跡的なシーンが多分収録されているんじゃないかなと思うので、是非そこは観てほしいですね」
●内田さん自身、歌うことは元々好きだったのでしょうか。
内田彩「歌は昔から小さい頃から大好きで、『歌手になる』と昔のビデオテープに残っているくらい、昔から歌は好きでした。よくお母さんとお風呂で歌ったり、妹とふたりでおもちゃのマイクを持ちながら歌っていましたね(笑)。カラオケも大好きなので、昔からカラオケボックスに行って友達と朝まで歌ったりしていました。『ラブライブ!』に関してはキャラクターソングなので、ことりとして歌っているんですけど、たくさん曲を歌わせていただいている分、歌うのは大変ではあるものの、そこに取り組むのはすごく楽しいです。4年も同じひとりのキャラクターとして歌わせていただけるのは滅多にない機会なので、そういった意味でも『ラブライブ!』には感謝していますね」
●2月8日、9日には、『ラブライブ! μ's →NEXT LoveLive! 2014 〜ENDLESS PARADE〜』が予定されていますが、ライブが行われるさいたまスーパーアリーナには、群馬出身の内田さんならではの思いがあるようです。
内田彩「実は私は専門学校の時に群馬から東京へ毎日電車で通っていたんですよ。その時にさいたま新都心駅を毎日、毎日通っていたんです。なのですごく感慨深いというか、群馬から夢を求めて東京に出る丁度合間ぐらいにさいたま新都心駅があったので、そこでできるのは嬉しいですね。あと群馬からも来易い駅になっているので、群馬の皆にも来てもらえたらなと思っています。本当、群馬まで届いたらいいなと思うんですけどね。だからいつか『ラブライブ!』に限らず、私が声優というお仕事を活動で続けていく中で群馬でも何かしら凱旋イベント的なものができたらいいなと、こっそり思っています。自分の生まれ育った地域に近いところでやれるというのは、凄く嬉しいですね」
●内田さんにとって『ラブライブ!』とは?
内田彩「青春を送れた作品ですかね。1から皆で努力して作り上げるって、大人になるとなかなかないことですよね。その意味でも『学生の頃にやれたら良かった』という夢を『ラブライブ!』で叶えてもらっている気がします。『ラブライブ!』は言い方はいろいろあると思うんですけど、かっちり作られた作品ではなくて、最初『これはどういう作品なんだろう』、『私たちはどういうふうにやっていったらいいんだろう』って思っていた部分も大きかったんですよ。だからこそ皆で試行錯誤して、1からダンスをやったり、ライブを作り上げるという過程が本当にリアル『ラブライブ!』というか、本当に青春だなと思っていたので、そういうキラキラをくれた作品ですね」

♪では『ラブライブ!』の中から内田さんの曲紹介とともにお聴きください。

曲:「Music S.T.A.R.T!!」μ’s

〜故郷・群馬への思いと音楽の履歴書〜

●先ほども故郷、群馬への熱い思いをお話頂いた内田さんは、20才で上京し、既に東京での生活が7年になったとのことです。そこで離れて分かる故郷の良さについてお話頂きました。
内田彩「私はもう群馬が大好きです(笑)。瞬間移動できたら、実家にずっといたいくらいに、やっぱり実家が好きで、群馬が好きですね。東京は忙しないので、田舎で育った私にとっては(ゆっくりと時の流れる)緑が恋しいですね。私が皆に言ってよく笑われるんですけど、畑とかねぎ畑が見えてくると安心するんです。緑とか畑とか田園風景に囲まれたところに行くとすごくホッとするので、東京でも公園に出掛けたりするとすごく落ち着きますね」
●あるあるネタで振り返る群馬の思い出は?
内田彩「群馬あるあるネタは、上毛かるたは外せないかなと思います(笑)。これを聴いてくださっている方は『うん、うん』と頷いてくれていると思うんですけど、意外と県外の人は知らない人が多いので、かるたの話をすると『なんだ、それ』と言われることが多いんですよ。群馬は上毛かるただけでなく、各地域にもかるたがありますよね。自分の通っていた公民館がかるたになっていたりとか、知っているお寺がかるたになっていると地元愛が湧くじゃないですか。そういう群馬の郷土かるた文化を私は愛していて、高校生の頃とかも、かるた大会の審判をやったり、ジュニアリーダーというボランティアでルールを覚えたりとかしていたので、かるた文化は私の体に深く刻まれています。握手会に群馬から来てくれるファンの方も多くて、『群馬のどこなの』と聞いたら、かるたの(読み札の頭)文字を言われながら『そこに場所から来ました』と言われたんですよ。でも『どこだっけ?』って瞬時に出てこなかったので、そこはまだまだ勉強が足りないなと思いましたね(笑)」
●さらに「勝手に群馬観光協会」と題しまして、内田さんオススメ観光情報を伺ってみました。
内田彩「群馬にはたくさん温泉があるので、是非スキーの帰りに温泉宿に泊まったりしていただきたいですね。あと水沢うどんが日本三大うどんなんですけど、県外の方はあまり知らないという方が多いので、水沢うどんをアピールしていきたいと勝手に思っています(笑)。あとぐんまちゃんのグッズが多かったり、ぐんまちゃんがいろんな所にあったりするので、そういうのを写真に撮ったりとか…私もぐんまちゃんを見かけると写真を撮ったりするんですけど、そういうキャラクター好きな方にも楽しんでいただけると思います。あと私は嬬恋が好きで、嬬恋のキャベツが美味しいので、是非いろいろ…ねぎとこんにゃくも群馬県の名産なので是非味わってみてください。群馬は北関東で都心からも近いので、ゆっくりしに是非群馬に来ていただけたらと思います」
●そんな群馬愛溢れる内田さんに、音楽の履歴書ということで、群馬時代に初めてハマった音楽について伺ってみました。
内田彩「そうですね。ハマった音楽…なんだろうな。やっぱり私はアニメソングですかね。ずっと昔からアニメが好きだったので、アニメのオープニングやエンディングを歌ったりとかが多かったですね。『セーラームーン』がちっちゃい頃から大好きだったので、『(美少女戦士)セーラームーン』の『ムーンライト伝説』というオープニングは昔からよく歌っていて、もう外せない十八番的な歌でしたね。あとその頃ってアニメが夕方帯とか夜帯にもやっていたので、『幽々白書』とか『スラムダンク』とか…そうですね『スラムダンク』は大好きでZARDが歌っていたエンディングも大好きでした。うちは母もZARDが好きだったのでZARDのCDを買ってもらったり、親戚のお兄ちゃんにWANDSのCDを借りたりしていました(笑)。そういう意味でもアニメソングが音楽のルーツなのかもって思いますね。そこから小学生の頃はSPEEDさんやモーニング娘。さんとか、アイドルも大好きだったのでアイドルさんの曲を聴きながら、よく友達同士で踊ったりしていましたね」
●アイドルつながりで、実は私が『ラブライブ!』に興味を持つきっかけを作ってくれたのが、以前この番組に出演していただいたSKE48の古川愛李さんでした。古川さんは握手会の際に、よくオススメ・アニメの台詞を合い言葉としてブログに告知するのですが、普段は『機動戦士ガンダム』や『ジョジョの奇妙な冒険』からのものが多い中、いきなり『ラブライブ!』の話題が出て、それがきっかけで作品を観出しというわけです。実際、48グループのストーリーに通じる世界観は、大人になって諦めるものが多くなった私に胸打つものあり、全話を完走してしまったのですが、そのことを内田さんにお伝えしたところ。
内田彩「(感慨深い感じで)嬉しいなぁ。私は元々AKB(48)が好きで、最初の頃(2006年のチームA 2nd公演『会いたかった』)から秋葉原の劇場に観に行っていたのですよ。可愛いし、歌もいいし、素晴らしいと思っていたのが、『ラブライブ!』をやることになって、『凄い!AKBみたい!』と思ってAKBのDVDを観てダンスの研究をしたりとか、逆にそっち側の子から『ラブライブ!』がいいと言ってもらえるなんて凄いですね」
●ちなみに内田さんの推しメンは既に卒業されたメンバーさんとのことですが、今でも小嶋陽菜さんのことは好きとのことです。お話は音楽の履歴書に戻り、内田さんにとって「無人島に持っていく曲」を選んで頂きました。
内田彩「今ぱっと思いついたのがJUDY AND MARYさんの『そばかす』という曲がずっと大好きですね。自分の中で歌い続けてきた記憶と原曲がちょっと違ってビックリした経験があるんですけど、それぐらい自分の頭の中で聴いた回数より歌っていた回数の方が多いんじゃないかなって。カラオケじゃなくてもお風呂で歌ったりとか、妹とおうちで歌ったりしていた曲です。専門学校の学生だった時に歌の資料として『カラオケに行って歌を録ってきなさい』という課題があったんですけど、その時にも『そばかす』を歌ったくらい大好きな曲ですね」
●では『ラブライブ!』から曲を選ぶとしたら?
内田彩「『ラブライブ!』うん〜アニメのオープニングですかね。『僕らは今のなかで』は最初聴いた時に泣いちゃったくらいキラキラが溢れている曲だったので、歌詞も凄く素敵なので、本当に頑張ろうと思える1曲です。あとことり的に言うと、南ことりの『ぶる〜べりぃ♥とれいん』が個人的にはすごく好きです(笑)。ソロ曲だから思い入れが強いというのもあるんですけど、ソロだとキーがことり用に高くしてもらえるんです。9人の曲はどうしても全員で歌うためのキーが設定してあるんですけど、ことりらしさを出して歌うにはちょっと低過ぎるので、ソロ曲を歌う時は、ことりとして歌う最適なキーにしていただき、あとはのんびりとイメージしたものをわがまま言って出せたというのがあるので、そこはことりらしさが出せた満足感のある1曲です」
●本日は成人の日ということで、20才の内田さんを振り返って頂きました。夢を追いかけていた当時は、今の自分が想像できたのでしょうか?
内田彩「20才の頃は絶賛養成所時代ですかね。事務所の養成所に入って勉強中だったので、あの時はひたすらガムシャラにやっていたなと思います。そんな7年前の私は…今の私を想像…していましたね。『仕事していたいな』と思っていたので、願望ですけど、今のように声優の仕事をやっていられる自分は描いていたというか、ビジョンとして持ってはいました。でも正直、本当に厳しい業界なので、『本当になれるかな』という不安も持ち続けてはいたんですけど、今20才の自分に会えるとしたら『そのまま頑張れ!』(笑)って言ってあげたいですね」
●2013年の経験をさらに形にしていくという意味で、2014年は内田さんの声優キャリアとって大事な1年になりそうですが、そんな2014年の抱負とは?
内田彩「2013年は本当にいろんな役をやらせていただいたり、イベントをやらせていただいたりして、少しずつ歩き出せたかなというか、自分のやりたいことをできるようになってきた感じがしたので、2014年はさらにそれを広げて、さらに楽しいことをやっていきたいなと思っています。誕生日イベントをそうなんですけど、私が声優になりたかったのって、非現実的な面白いことが溢れているアニメの世界だったので、それに携わっている以上は、面白いこととか、普段味わえないことをどんどんやっていきたいと思っているので、誕生日イベントの次はもっと大きいことをやりたいですね。皆で雪合戦大会とか(笑)、いわゆる普通のイベントでない感じのものをやりたいですね。それこそ群馬のスキー場に行って皆で雪だるまを作ったりとか、面白いことを出来たらと常々考えています。2013年は2014年カレンダーも発売させていただいたんですけど、そういう声の仕事以外の——カレンダーだと写真のみの作品になるので、そういうことにも新たにチャレンジさせていただいた1年でした。そんな経験を踏まえた上で、写真とか声以外のお仕事でも面白いことをできたらいいなと思っているので、干支の着ぐるみを着たりとか(笑)、『アニメの二次元と三次元を融合させた面白いことができたらいいな』と思っています。だから2014年も皆さんに『面白いな。うっちーまた変なことやっているな』と言ってもらえるような年にしたいですね。役柄としては、デビュー作というか初レギュラー的に(役の)名前をしっかりといただいてやったのが男の子の役だったんですけど、それから男の子の役はやっていないので、2014年は男の子の役に巡り会えたら嬉しいなと思っています。今までにないことにチャレンジする2014年にしていきたいですね。あとは2014年もひとつ年をとるんですけど(笑)、そういう子供らしさというかばかばかしさは失わない大人の女性になっていけたらいいなと思っています(笑)」
●最後に内田さんからのお知らせです。
内田彩「最後に内田彩から告知をさせていただきたいなと思います。1月から始まります新番組『Z/X IGNITION』という作品にリゲルという役で出演しています。放送開始しておりますので、是非皆さん観てくださいね。そしてOVA『絶滅危愚少女 Amazing Twins』という作品にヒロインの等々力あまね役で出演しております。こちらのOVAも2月に1巻が発売されますので、是非応援してください。宜しくお願いします」

曲:「そばかす」JUDY AND MARY

(outro)
『ライナーノーツ』ホリデイ・シーズン・スペシャル〜成人の日スペシャル〜は如何だったでしょうか?
声優のお仕事は役との出会いと内田さんはおっしゃっていましたが、その役と、役を好きなってくれるファンを大切にする内田さんだからこそ、出会いはいつも素晴らしいものになっているのではないでしょうか。
またこのインタビューから故郷の群馬を愛する内田さんの素顔も伝われば幸いです。
今後も番組では内田さんを応援していきますので、内田さんと群馬の出会いの機会が広がればと願っております。

お送りしましたのは
南ことりで「ぶる〜べりぃ♥とれいん」
μ’sで「僕らは今のなかで」
μ’sで「Music S.T.A.R.T!!」
JUDY AND MARYで「そばかす」でした。