8/15 いせさき銘仙の会 代表世話人 杉原みち子

杉原みち子さんは「いせさき銘仙の会」代表世話人。会では、伊勢崎銘仙の魅力をPRし、後世に伝えるため様々な活動を行っています。

そんな中のひとつとして、伊勢崎銘仙のひとつ・併用絣を復刻するプロジェクトがありました。1年半前に完成しましたが、併用絣の復刻は簡単ではありませんでした。スタート当初、関係者は口をそろえて「50年間途絶えていて、絶対にできない」と言っていたそうです。しかし、会の熱意あるメンバーが職人ひとりひとりのところにお願いしてまわり、ある職人さんのところには9ヶ月通い続けたところ、ついにその熱意が伝わり、職人さん達のGOサインが出たそうです。

そして平均年齢80歳という20人の職人さんたちによって、14段階の工程を経て、見事なまでに美しい併用絣が完成します。デザインは”赤煉瓦”、”時報鐘楼”、”つつじ”の3柄で、世界的に活躍するテキスタイルデザイナー須藤玲子さんがボランティアで手がけたものです。須藤さんがイギリスにある国立博物館・ビクトリア&アルバート博物館に連絡したところ、博物館側から「復刻した伊勢崎銘仙・併用絣を博物館で永久保存したい」という申し出が届いたそうです。この朗報に杉原さんは「私たちのみならず伊勢崎銘仙に関わった先人の方々を含めた全部を評価してくれたことが本当にうれしかった」と語ります。

ビクトリア&アルバート博物館では、2020年3月中旬~7月初旬に開催される「ジャパンフェア」で、復刻した伊勢崎銘仙・併用絣が展示される予定です。杉原さんたちはツアーを組んで大勢で喜びを分かち合おうと計画しているそうです。

杉原さんは「今後は、消えてしまう伊勢崎銘仙のアーカイブ化・記録とともに、日本人として着物文化の伝承、そして銘仙の価値をスイス、アメリカ、フランス、ドバイなど多くのところに伝えていきたい。」と目を輝かせています。

インタビュー:川上直子