それぞれの1年、そして、その先へ

初めてのVリーグでの戦いを終えた選手たちは、銀行主催のママさんバレーボール大会の運営を行い、今シーズンの主たる活動を終了し、チームはわずかながらオフ期間を迎えた。

9人制から6人制へ。群馬銀行という名門チームの歴史を繋ぎ、新たな時代に進むべく、未知なる戦いに挑んだグリーンウイングスの選手たちに今シーズンを振り返ってもらった。

須﨑 杏 選手

「ここまでしんどいとは思っていなかった。でも、ここまでこれたのは周りの力。新たな一歩を踏み出すのにこんな自分がキャプテンをやらせてもらえ、ありがとうと言いたい。」

松尾 由紀子 選手

「悔いが残っていないと言えばウソになるが、初めてVリーグに挑戦していい勉強になった。バレーを続けたことは間違っていなかった。やめてしまったらこの経験ができなかった。頑張ったかいがあった。充実した時間を過ごせた。」

佐藤 智美 選手

「Vリーグは簡単じゃなかった。力不足、経験不足だった。できることに嬉しかったが、ダメなことに悔しかった。課題も多くて悩んだが、Vリーグにチャレンジしてよかった。来シーズンは、チャレンジⅠに行きたい。そのために、持ち味を伸ばして、苦手を克服したい。」

小宮 眸 選手

「出られないことが多かったが、最後にチャンスが来た。『小宮、行ってこい!』って言われて不安より、やってやろう!っていう気持ちで楽しかった。リーグは辛かったが、仲間がいてここまでこれた。」

先崎 早織 選手

「チーム作りから始まって、リーグが始まるまでの期間が大変だった。前例がない分、答えもわからず突っ走るしかなかった。答えは、自分たちで考えるしかなかった。」

矢萩 ももこ 選手

「プレーも変えたり、生活面も大変だったが成長できた。チームでも上の年齢になるので、来季は、周りの事も見てプレーできるようにした。リーグを優勝して、チャレンジマッチにも出たい。」

鬼頭 朋子 選手

「シーズン途中から内定選手が入り、チーム力は上がったが、出番は減ってしまった。来シーズンは負けないように頑張りたい。」

谷内 真美 選手

「個人賞については、実感はないが、トレーニングの結果が出てうれしかった。チームとしても、個人としても課題が出たシーズンだった。克服できるようトレーニングしたい。来シーズンは、チャレンジⅡを優勝して、チャレンジⅠに上がりたい。」

丸山 佳穂 選手

「悩んでばかりだった。今までは、バレーが楽しいだけだったが、こんなに考えたことはなかった。とてもやりがいがあって、充実した。1stリベロになりがいが、やるべきことをやらないとなれない。そのために、プレーを磨きたい。」

柿沼 杏奈 選手

「純粋にバレーだけを考えた1年だった。だが、段々、気持ちの面で負けてしまい、レフトの仕事を果たせなかった。できないことがあるのが悔しいし、本当に厳しいなと感じた。来季は、期待、プレッシャーを乗り越えて、チームを勝たせる選手になりたい。」

齋藤 朱音 選手

「入部してから時間が流れるように去っていった。自分を使ってくれたのに期待に見合うプレーができず反省している。でも、チームは先輩・後輩関係なく助け合い、一体感を持って戦えた。」

今シーズンを振り返れば、思ったよりできたが、望むものまではつかむことができなかった。そんなシーズンだったように感じる。国体・関東ブロック予選での激戦を制し、国体へ出場、そして、初勝利。Vリーグでは、開幕節・大泉での連勝スタートと想像以上の好スタートを切ることができた。

だが、石原監督がシーズン前、「リーグ戦は長い戦いの総合力が問われる厳しい戦い。」と話していた通り、各チームの分析が進む中で、チームは特徴を消され、推進力を失った。ライバルを上回る右肩上がりの力をつけることはできず、むしろ、引き離される結果となってしまった。

そして、勝てない、負けが続く、けれども試合はやってくる。心身ともに疲弊する中、選手たちは想像以上の苦しみを味わうことになった。

それでも、投げ出すことなく戦い抜いた。内定選手の加入で変化が生まれたこともあるが、このチームが持つ一体感がチームを崩壊させなかった要因であると思う。スタメンでも、控えでも、先輩でも、後輩でも、常にあるのは仲間のため、チームのため、勝利のため。シンプルだが難しいそのスタイルは決して崩れることはなかったように感じた。どんな時でも、ひとつになって戦える。これは強い武器だと思う。チームのスタイルとして、これからも大切にしていって欲しい。

そして、2年目のシーズンだ。各選手ともにリーグ優勝、そして、チャレンジⅠへの昇格へ向け、意欲を示している。4月には新たな仲間を迎え、戦力も厚みを増した中で、新シーズンがスタートする。

石原監督は、チーム強化において「上手いは強いに勝てない。強いというスキルを身につけさせたい。」と話しており、身体的、技術的、精神的、勝負所、様々な場面での「強さ」をいかに身につけられるかが新シーズンを勝ち抜くためのカギとなりそうだ。

今シーズン得た自信と手応えをより確かなものにし、課題の克服、悔しさを乗り越えるバレーボールができるかどうか?群馬銀行グリーンウイングスにとって大事な2シーズン目がもうすぐ始まろうとしている。

そして、個々選手、次なる場所へ向かって進み出す時期でもある。

今シーズンのチャレンジは、バレーボール選手としてだけでなく、ひとりの女性として大きな経験を得たシーズンだったのではないだろうか。この1年の経験は、新たなスタートが始まる新シーズンにおいても、チームだけでなく、それぞれに大きな力となるはずだ。彼女たちの活躍を期待しよう。

そして、我々にもこれまでに味わう事のできなかったバレーボールの魅力、楽しさ、感動を届けてくれた。新シーズンも、ここから先も、同様に、いや、それ以上のものを届けてくれると期待しよう。

いずれにせよ、大いなる一歩を踏み出してくれた彼女たちに伝えたいのは、「ありがとう」その言葉以外ない。