今こそグリーンウイングスらしく。

大詰めを迎えるリーグはラスト3試合。だが、ここに来て3連敗を喫したグリーンウイングスは、優勝争いから大きく後退した。初めて挑む過酷なリーグ戦に、気持ちも、体も傷つき、目標も見失いかけそうだが、不退転の決意で歩みはじめたこのリーグでの戦いを簡単にあきらめるわけにはいかない。わずかだとしても、可能性が残されている優勝へ向け、チームはひとつとなり、自分たちのバレーボールを出し切り、力の限り羽ばたこうとしている。

混沌とする優勝争いの中で、3連敗。しかも、先日の愛知・豊田大会では、2日連続のストレート負けを喫し、首位とのポイント差が8に広がった。ラストは3試合。グリーンウイングスが優勝するには、フルセットにしないで3連勝の上で、相手の結果次第という厳しい条件だ。

チームは、リーグ戦の難しさにぶち当たっている。連戦で、疲弊した状況でどう自分たちのバレーをするのか?データによる自チームや相手チームの分析、研究が進む中で、戦術の活用とデータにとらわれない状況に応じたプレーの判断、日増しに大きくなるチームへの期待というプレッシャーなど、今までに経験したことがないものがチームにのしかかっているのだ。

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そんな状況下で、結果につながらない理由について佐藤智美は、「相手が何をしたわけでなく、自分たちのミスが原因。」と話し、谷内真美も「アタッカーに打たせ切る事が出来ず、相手のチャンスになってしまっている。」と、相手云々ではなく、自分たちのバレーができないことが結果を悪くしていると考えている。

それでも、初めてのVリーグ参戦、不利と言われた9人制からのチャレンジ、そうしたことを考えれば、ここまでの戦いは、「チームは十分な戦いと結果を見せてくれている。」「よくやった1年目だったじゃないか。」「今にも消えそうな「優勝」を追うことよりも、いち早く、来シーズンへつながる準備をしようじゃないか。」そんな声も聞こえてきそうだが、彼女たちにそんな思いはない。あるのは、ラスト3試合、自分たちのバレーを今一度、出し切り、戦い抜くということだけだ。

キャプテンの須﨑杏は「みんなの気持ちは、3つ勝ち抜こうということでまとまった。石原監督からも『優勝の可能性はゼロではない。可能性があるならそこに懸けてやろう。』言われている。」とラスト3試合の決意を力強く語ってくれた。

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そして、各選手もやり抜く思いを語ってくれている。

佐藤は、「思い切ってやるしかない。弱気なプレーでなく、相手を上回るプレーをしたい。」と話し、谷内も「1レグの時は強気で戦えた。その時以上に、強気で戦いたい。相手のアタッカーの決定率を下げるためにも、向かっていくレシーブをしたい。」とラスト3試合へ向けた思いを話してくれた。また、内定選手の小林愛里も「先日の2連戦ではストレート負けをした。あんな悔しい思いはしたくない。レシーブをしっかり上げて、スパイクで打ち切りたい。出ることになれば、試合に出られない選手の思いも、いろいろ背負ってやりたい。」と限られた帯同時間の中だが、チームと思いをひとつにしてくれている。

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リーグ戦を戦う中で、選手たちは着実にレベルアップをした。だが、多くの事を学ぶ中で、チームの武器である直向さ、懸命さが、なかなか出し切れない試合が増えているように感じる。彼女たちはエリートの集まりではない、だが、大好きなバレーボールに実直に取り組んできた選手の集まりだ。そんな選手たちが集まるこのチームの根底にある強さはやはり粘り強さではないだろうか?

強い決意を持って歩みだしたあの日から1年が過ぎた。チーム結成から、不安を乗り越え、サマーリーグを経て、がむしゃらでつかんだ大泉での勝利は、まさに群馬銀行グリーンウイングスらしい勝利だったと思う。綺麗なプレーはいらない、派手なプレーも必要ない、ラスト3試合、結果以上に欲しいのは、そんなグリーンウイングスの姿ではないかと思う。そして、そんなバレーこそ、このチームのカラーとして、ここから先にも繋がるはずだ。